日本はメキシコに0-2で敗戦【写真:©JFA】

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日本はメキシコに0-2で敗戦「欠点が露わになったのは前線だった」

 日本代表は現地時間17日、国際親善試合メキシコ戦で0-2と敗れた。

 前半は日本が立て続けにチャンスを演出したものの、後半に霧が発生して視界が劣悪な環境になると、立て続けに失点を喫し、実力差を見せつけられる格好となった。

 かつてAFC(アジアサッカー連盟)の機関紙「フットボール・アジア」編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、20年以上にわたってアジアサッカーを追う英国人記者マイケル・チャーチ氏は、日本とメキシコの差を分析している。

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 日本が失速し、メキシコ相手に敗北を喫したのは、後半にエスプリ・アレーナを横切った霧が原因だったのかもしれない。もっとも、視界が絶え間なく悪化し、オレンジ色のボールが投入される前でさえ、日本は中米チームとの対戦に苦しめられていて、文字通り「(前半と後半)二つのハーフがあるスポーツ」という格言を象徴していた。

 パナマ戦はPKで1ゴールを確保する手堅いパフォーマンスで正当化した面白みのない一戦だった。そのなかで、森保一監督はフォーメーションを変更し、スタメンも9人変更に踏み切ったことで、メキシコ戦前半の日本は感銘を与えていた。パナマ戦の後半を受けて、柴崎岳と遠藤航のボランチコンビを引き続き起用したことは、チームを機能させる安定した基盤をもたらすうえで賢明な判断だった。

 欠点が露わになったのは前線だった。鈴木武蔵に大迫勇也の穴埋めはできないことが強調されたのは今回が初めてではなく、トップクラスのセンターフォワードの欠落が改めて浮き彫りになった。森保監督が4-2-3-1システムを採用したことで、鈴木は少なからず鎌田大地と大きな負担を分散することができ、鎌田は幾度となくパートナーのサポート役に回り、その役割は見事なものだった。しかし、鈴木が相手GKギジェルモ・オチョアを打開する術を見出す能力がなかった。

 そのなかで、前半を通してポジティブになれる理由があった。鎌田がうまくプレーしていた一方、中山雄太は左サイドバックとして自信を強めており、原口元気と前途有望な連携で力強いパフォーマンスを示した。逆サイドでは伊東純也が輝きを放ち、堂安律が不在のポジションで存在感を強調するチャンスを得て、攻撃志向を示した。

「ロサーノの冷静なフィニッシュは、鈴木にとって教訓となったはず」

 しかし、日本は握った主導権をゴールに還元する能力がなく、常に仕留める力を持つメキシコのクオリティーを目の前に後悔することになった。パナマ戦もそうだったが、もし日本が得点力の問題を解決できなければ、ビッグゲームではより一層危険に晒されることになるだろう。1時間が経過する前に原口がピッチを退き、橋本拳人が投入された直後から、メキシコが主導権を握ることになった。

 橋本が投入される前からメキシコが優位に立ち始めていたため、二つの事象をリンクさせるのは不公平かもしれないが、パナマ戦で失望させるパフォーマンスの後、定位置確保に本格的なアピールを示したいのであれば、改善の必要があるという提案にはなるだろう。後半18分に相手FWラウール・ヒメネスの先制点は吉田麻也の弱点を捉えたものであり、常に最高のストライカーとしての手法を見出す。日本が今年対戦した他の試合に比べて一流であり、この試合のクオリティーは重要なステップとなった。

 その5分後に訪れたFWイルビング・ロサーノの追加点も似たようなことが言えるだろうが、メキシコが試合を終わらせてしまったため、ピッチで何が起き始めていたのかを把握するのは事実上不可能になった。

 ナポリのエースは俊足を生かし、FWエンリ・マルティンのパスを合図としたレースで日本の守備陣は置き去りにされた。ロサーノの冷静なフィニッシュは、鈴木にとって教訓となったはずだ。鈴木は交代していたため、メモを取ることができる恩恵を受けたことだろう。

 確かなのは、メキシコの落ち着きは、森保監督と日本にとって重要なレッスンをもたらしたということだ。(マイケル・チャーチ/Michael Church)