「緑を見ると目にいい」って本当?

2019/06/02 04:24 ウェザーニュース

さわやか初夏の季節、みなさんのまわりにも、木々や草花の瑞々しい緑色があふれ始めているのではないでしょうか。昔から緑色は目にいいと言われています。青葉繁る木々を見ることで、スマートフォンやパソコンで疲れた目も癒されそうですよね。……が、ちょっと待ってください。本当に「緑色」は目にいいのでしょうか。

緑色は、人間にとってもっとも見やすい色

結論からいえば、「イエス」です。目が色を知覚する仕組みからも、緑は「目にいい色」なのです。私たちは「光」によってモノを見ています。光の性質のひとつに、波長があります。地球上にはさまざまな波長の光が届いていますが、その中で私たちが見ることができるのは、380nm(nm:ナノメートル)〜780nmの範囲の波長です。それぞれの波長について、それを見た私たちの目は特定の色を知覚します。たとえば、波長の短いものは紫や青、波長の長いものは赤やオレンジという具合です。

そして、上図からもわかるように、「緑色」に見える波長は、可視光線の中で真ん中あたりになります(中波長)。これが、緑色が目にいいとされる理由の一つです。波長の長さが中間にあることで、波長の長いものや短いものに比べて、目に負担をかけずに知覚することができるのです。また、人間の目は、明るいところでは555nm、暗いところでは507nmの波長に対してもっとも感度が高くなる、つまり「見えやすくなる」と言われています。これらの波長にあたるのが「明るめの緑」や「黄緑」です。この点からも、緑が他の色より知覚しやすい目に優しい色だということがわかります。

目の緊張をゆるめる効果も期待できる

その他、色彩心理学においても、緑色は気持ちを安定させ、心や体の緊張をゆるめる効果があるとされています。体の緊張がほぐれれば、目も筋肉もゆるみやすくなります。緑色は、心理的な作用として、目の緊張をほぐし、その疲れを癒してくれる効果も期待できるのです。

「遠くの緑」なら、疲労回復効果がさらにアップ!

そうとなれば、目の疲労回復のために、緑あふれる今の季節を利用しない手はありませんよね。そこで、積極的に外出して、身の回りの自然が織りなす緑を堪能しながら、日頃の目の疲れを解消してみてはいかがでしょうか。その際、目の前の木々や草花の緑を見るだけでなく、できるだけ「遠くの緑」を見るのがお勧めです。というのも、近くよりも、遠くを見るときのほうが、目の筋肉をゆるめることができるからです。私たちはモノを見るとき、「水晶体」と呼ばれる、カメラでいえば「レンズ」にあたる部分の厚みを変えることで、ピントを調節をしています。その際に使われるのが、毛様体筋という筋肉です。たとえば、近くにピントを合わせるときには、毛様体筋を収縮させて水晶体を厚くします。遠くにピントを合わせるときは、毛様体をゆるめて、水晶体を本来の厚さに戻します。つまり、近くを見ているときより、遠くを見ているときのほうが、毛様体筋はゆるんでいるのです。スマートフォンやパソコンを見続けた後、ふと遠くを見ると、目が楽なったように感じたりしませんか。それはこうした目の仕組みによるのです。目に入る自然の緑を見つめながら、日頃酷使している目を楽にしてあげて、ときどき遠くの緑にも目をやって緊張をほぐしてあげる。新緑の今の季節は、そんな目の疲労回復を実践してみてはいかがでしょうか。ただし、いまの時期は紫外線もたっぷりなので、紫外線が特に多い時間帯(10〜14時)を避けたり、日陰を利用するなど、その対策もお忘れなく。

参考資料など

『脳にきく色 身体にきく色』(入倉隆、日本経済新聞出版社)、『徹底図解 色のしくみ』(城一夫・編著、新星出版社)