レギュラーでもリッターあたり10円近い差がある

 ゴールデンウイーク、ドライブ旅行や帰省した際に「ん? 普段のガソリンスタンドと価格が違いすぎる」と感じたことはなかっただろうか。ガソリンの価格は、近隣店舗では価格が揃っているものの、地域によって価格差が発生しているものだ。安くて有名なのは千葉県で、資源エネルギー庁の石油製品小売市況調査によるとレギュラーガソリンで144.0円/Lとなっている。

 一方、同庁のエリア分類では同じ関東局となる長野県は154.7円/Lと高値になっている。さらに全国的に見ると同じ九州でも熊本県で148.4円/Lなのに対して、長崎県では158.2円/Lになっていたりする。近県であっても、リッターあたり10円以上の差がついているのだ。
(いずれも数値は2019年4月24日14時 公表値)(https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html )

 この資源エネルギー庁の発表値というのは各都道府県における平均値であるので、さらに細かく見ていけば、都道府県内での差異もある。はたして、これほどの価格差が生まれてしまう理由は何があるのだろうか。

 まず、千葉県の安さについてよく指摘されるのは、原油を精製してガソリンや軽油などにする製油所が近いということだ。たしかに東京湾沿いには製油所が何か所も存在している。製油所からの距離が近ければ、輸送コストが下がるので小売価格も抑えることができるという理屈だ。逆に、製油所から遠い場所では輸送コストが上乗せされるので小売価格は上昇しがちになる。

 とはいえ、東京湾沿いの製油所は千葉県だけにあるのではなく、神奈川県側にも存在する。しかし前述した資源エネルギー庁の発表データを見ると神奈川県のレギュラーガソリン価格は146.3円/Lと千葉県よりは高めとなっている。あらためていうことでもないが資本主義経済における値付けというのは競争によって変わってくる。千葉県のガソリン価格の安さは競争がきびしいという地域性によっても生まれているのだろう。また、コストでいえば立地によって異なる土地代も影響してくる。同様に東京湾に面している東京都は149.3円/Lとなっているのは、そうした場所のコストによるものと予想される。それでもライバルの多い街道沿いなどでは価格競争をしいられることになる。

今後ガソリン価格は均一化されていく可能性も

 一方で、ロングドライブをしたりすると高速道路のSAにおけるガソリン価格が高めになっていることを肌で感じるだろうが、あれは競争相手がいない、その場における独占企業であることから自分たちで価格を決めることができるという面もある。もちろん、インフラとして営業しなければいけないので、そのための人員確保など求められている要素が異なるという面もあるだろう。

 ところで、「ガソリンが安い」というとホームセンターなどに併設されているオリジナルブランドのガソリンスタンドを思い出す人もいるだろう。ノーブランドのガソリンといっても、国内の製油所で精製されているのは同様で、けっして粗悪品というわけではない。インターネットの普及に合わせて、かなり有名になった「業転玉(ぎょうてんぎょく)」という業界用語を目にしたことはないだろうか。これは、各社の余剰在庫をそうした業者に通常よりも安値で卸すことを指す言葉だ。

 ただし、ガソリンの元売り各社は統合整理されてきている。いまや日本に石油元売りは3社(グループ)しかない。「エネオス」ブランドに統一化を進めているJXTGグループ。2019年4月に経営統合した出光昭和シェル、そしてコスモ石油だ。これによって製油所も整理され、生産性も向上している。こうした動きは、ガソリン価格の違いを生む要素を減らしていると捉えることもできる。ある地域における独占化が進むと、価格決定権を売り手が握ることになる。ネット販売などにも不向きなガソリンという商品だけに、安売りしているガソリンスタンドを見つけることは難しくなっていくかもしれない。