【ライブドア・ニュース 24日 東京】 − CB MarketWatchによると、独検察当局は独総合電機大手シーメンス(本社・ミュンヘン)の現職・元従業員10人を含む計12人を業務上横領と贈賄の疑いで取り調べを進めているが、スイスなど外国の銀行口座にこれまで把握していた金額の10倍にあたる2億ユーロ(約300億円)もの巨額の疑惑資金があることが明らかになった。これは米有力経済紙「ウォールストリート・ジャンーナル」(WSJ)の電子版が23日付で、検察関係者の話として伝えたもの。

  また、WSJによると、新たにシーメンスの通信子会社の従業員2人が拘留され、これで今回の事件での逮捕者は6人となった。これら容疑者は、スイスなど外国で開設した秘密の銀行口座を利用し、シーメンスに対して、繰り返し横領行為を働いていたとされる。

  欧州の株式市場では、株価が軟調に推移する中で、この報道を受け、フランクフルト証券取引所では、シーメンスの株価は22日午後の取引で、前日比0.9%下落した。

  検察当局が取り調べている12人のうち、10人までがシーメンスの現職、または元従業員。これら容疑者による横領行為は2002年から始まり、最近まで続いていたという。

  検察当局は15日、クラウス・クラインフェルドCEO(最高経営責任者)を含むシーメンス関係者のオフィス約30カ所を業務上横領と贈賄の疑いで家宅捜索したが、その際、2000万ユーロ(約30億円)に達する疑惑資金の動きをつかんだという。ミュンヘン検事局のクリスチャン・シュミット・ゾマーフェルド局長によると、検察当局はこれら疑惑資金の行き先を捜査中という。

  独検察当局は、スイスとイタリア両国の捜査関係者と協力し、シーメンスのどの程度の上層部までが横領に関係していたかを捜査している。独当局は先週、これら疑惑資金が新規契約の受注のための贈賄資金に使われていた疑いがあるとしていた。

  WSJによると、シーメンスの広報担当者は、同社が捜査に協力している、と述べる一方で、横領容疑はあくまでも、固定電話子会社の従業員による「個人の犯行」とし、会社ぐるみの犯行を否定している。【了】

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