24日午前、「村上ファンド」の村上世彰代表が新日本無線のTOBについて説明に訪れた東京都中央区の日清紡本社。(撮影:常井健一)

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半導体メーカー新日本無線<6911>に株式公開買い付け(TOB)を仕掛けたM&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)の村上世彰代表は24日午前、今月はじめから同無線に友好的なTOBを実施している日清紡<3105>本社(東京都中央区)を訪ね、指田禎一社長と会談した。村上氏は午前10時に同本社に到着、指田社長にTOB開始について約40分間説明した。

 会談を終えた村上氏は、同本社前で、記者の取材に応じ「本来、会うべきではないが、今回の私の気持ちをちゃんとわかってもらおうと思い、無理なお願いをして説明の機会を頂いた」と会談の趣旨を話した。その上で「新日本無線の株主価値向上のためなら何でも受け入れる用意がある」「もっと多くの株主が平等に応募できるような(TOBの)やり方をとるべきだった」と従来の主張を伝え、「私の買い付け価格の方が高いため、日清紡から買い取らせて頂く可能性もあるので、将来、新日本無線のいい取り引き先になってもらうことをお願いした」と述べた。

 また、村上氏は、指田社長に対し「日清紡の役員からすると1円でも安く株を買い取ることが、日清紡の株主に対する責務。(買い付け価格を)すぐ上げるのは間違い」と指摘したという。

 日清紡は11月8日に、自動車向けエレクトロニクス事業の強化を目的に新日本無線をTOBで子会社化すると発表。これを受け、新日本無線は賛同を表明し、同無線株50.49%保有する親会社の日本無線<6751>も日清紡のTOBに応募すると内諾している。日清紡と日本無線は04年4月から、ハイブリッド車の電源などに使われる電気二重層キャパシタ(蓄電装置)を共同開発し、05年10月に量産・販売を開始。日清紡は新日本無線株2.04%、日本無線株19.32%を保有し、両社に取締役を派遣していた。

 新日本無線株をめぐっては、日清紡側は50.49%を1株840円として総額約166億円、現在2.56%保有する村上ファンド側は47.45%を1株900円で総額167億円を、それぞれ買い付けの条件としている。買い付け期間は、日清紡側は9日から29日までの21日間、村上ファンド側は11月21日から12月15日までの25日間。大株主の日本無線が、どちらのTOBに応じるかが焦点になる。

 村上氏は、買い付け価格の差を強調して「日清紡に応じたら、日本無線の取締役が大変だと思う。日本無線の株主から代表訴訟を受ける可能性はある」と、日本無線の動きをけん制した。【了】

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