ここ最近になって急増している、ご近所トラブルの原因のひとつ「悪臭」。この対策として、これまで行われていた機械による測定から、人の嗅覚を使って測定するシステムを導入する自治体が増えているという。その悪臭判定の現場では、「臭いのプロ」が活躍しているという。でもそれっていったい、どんな人たち?

 悪臭の判定に、人間の鼻による測定が導入されている背景には、悪臭原因の多様化がある。これまで悪臭というと、工場や畜産農家から出る臭いが中心で、アンモニアなどの特定物質を機械で測定してきた。しかし、最近では飲食関係の店舗や家庭など、身の回りから出る悪臭が増加。このような身近な悪臭は、さまざまな臭いが交じり合っているため、機械による物質ごとの測定では対応しきれなくなっているのである。

 そこで導入されたのが「臭気指数規制」というシステム。これは国家資格を持つ「臭気判定士」が6人以上の一般人を使い、悪臭であるかどうかを判定する。機械では対応しきれない臭いの元を、人の鼻によって判定しているのだ。

 この時、活躍しているのが臭いのプロたちである「臭気判定士」。この資格は、国家試験で18歳以上なら誰でも受験することができるという。

 でも、具体的にどんな資格なの? この試験を行っている社団法人におい・かおり環境協会に詳しいことを聞いてみた。

 「試験が行われるのは、年に1回、毎年11月頃に行われます。試験の内容は、主に筆記試験で、臭いの測り方や計測した数値の統計・分析の仕方、悪臭防止法に関する問題などが出題されます。この試験の後、鼻の検査を行い問題がないと判断されれば合格となります」(同協会・担当者)

 測定の仕方から法律まで、まさに臭いのプロフェッショナル。悪臭による苦情の増加などにより、さらに今後、自治体などでの需要は高まりそうだ。やはり、最後に頼れるのは、機械の出す数字より人間の感覚ってことですかね。(文/verb)