ただ、アメリカツアーにK氏を帯同させなかったことは、結果的には正解だったという。宮崎氏が続ける。

「アマチュアキャディーをアメリカに連れて行っても役に立つわけがない。現地の環境に精通しているわけでもなく、コースや芝、風のことも知りませんから」

 その点、ハウスキャディーは、そのゴルフ場を知り尽くしている。なのに5戦中3戦で予選落ちという結果を招いたのは、やはりプレーヤーの力量によるものではないのか。

「K氏はあくまでサラリーマンキャディー。成績の悪さには、そんな人材登用も影響しています。給料も出さずにそんな人物に責任を押しつけるのは間違っている」(宮崎氏)

 さて、不協和音が鳴り響く「チーム遼」でもう一人、攻撃の的となったスタッフがトレーナーのN氏。阪神タイガース・桧山進次郎など、数々のアスリートを指導する、業界では名の知れた人物だ。事件が勃発したのは、先の米ツアー(〜6月24日)を終えた時だった。日本プロゴルフ協会(PGA)関係者が明かす。

「予選落ちのショックや体力的な問題もあり、N氏は『(石川を)1週間休ませてください』と勝美氏にお願いしたんです。ちょうど次戦(7月5日〜8日、セガサミーカップ)まで空いていましたからね。ところが勝美氏は、ゴルフ場でのCM撮影を入れた。N氏がそれに苦情を言ったところ、勝美氏は『誰のおかげで飯を食えてるんだ。偉そうなことを言うな!』と罵声を浴びせ、関係が悪化したそうです」

 急速に冷えきっていく関係。もはや「チーム遼」は崩壊寸前なのである。

 こうした「環境」に加え、決定的なのはコーチ問題。現在のコーチは、一介のアマチュアゴルファーである勝美氏だ。宮崎氏が言う。

「一度、テレビ番組の企画でラウンドする勝美氏を見ましたが、この人が教えているのか、と愕然としました。普通の素人のスイングですから」

 何より、石川自身がそれに気づいているはずである。

 スポーツ紙デスクは言う。

「勝美氏は石川にアドバイスをしますが、当然、もうそんなレベルのことなど聞く必要がなくなっている。それでも勝美氏がティーチングプロをつけないのは、『俺の言うことさえ聞いてりゃいいんだ。俺がいちばん、遼のことをわかっている』と言うからです」

 その溺愛がゴルフ界の至宝をダメにし、かつての「ハニカミ王子」が「予選落ち王子」と化していることは、もはや隠しようがない。