中国メディアは17日から18日にかけて、石原慎太郎東京都知事が訪問先の米ワシントンで現地時間16日、都が尖閣諸島を購入する考えを示したことを次々に伝えている。ニュースサイトに寄せられたコメントでは、日本を非難するだけでなく、自国政府の姿勢を“弱腰”と責める意見も目立つ。日中だけの問題ではなく、「米国を駆逐」することで、自国の主張を通せるとの主張もある。

 「愛国主義」的な論調を“売り物”とするニュースサイト「環球網」には「われわれは戦争を恐れない」、「強力に出撃して島を回収するのみ」など日本に対して強い反発を示す意見が多く寄せられた。しかし「反日コメントで埋め尽くされた」という状態ではない。

 一方で、自国政府の“弱腰”を責める「今の中国は廃物だよ」、「中国は(日本側の措置に対して)何度も、違法、無効と言ってきた。日本は安心しきっているね」、「お前ら(中国政府)のごみ外交のせいだ」などの書き込みが目だつ。

 これまでと異なるのは、尖閣諸島の問題を日中間の懸案としてだけではなく、「世界戦略の一環」とする見方が増えだしたことだ。

 まず、石原都知事の「尖閣諸島買い取り」を、「日本の『あせり』のあらわれ」とする主張がある。日本に「あせり」が見られるようになったのは、「2010年に国内総生産(GDP)が中国に抜かれてからだ」という。

 中国政府はこれまで、尖閣問題について「日本側の主張と措置は不当。自国側は正当」などと繰り返してきた。しかし、「理屈を主張しても無駄」との観点から、「世界は結局、強い国の望むとおりになる」などとする主張が目立つようになった。

 尖閣諸島についても、「日本側の動きに反応する必要はない。米国を(東アジアから)駆逐すれば、尖閣は戻ってくる」と書き込んだ読者もいる。書き込みを全体的にみれば、米国への対抗意識と「力への信仰」が高まっている傾向を読み取ることができる。(編集担当:如月隼人)