韋駄天ピエールにやられた黒田博樹|2011年MLBペナントレース

写真拡大

摂氏30度と言う真夏並みの暑さの中、黒田は今日の自分の調子をどのように感じたのだろうか。この日もシンカーではなく、スプリッターからはいった。その出鼻をファン・ピエールがくじいた。

一昨年まで黒田の同僚だったピエールは、イチローと同系のうるさ型。黒田の5球目、球速の無いシンカーをセンター前にはじき返した。続くアレクセイ・ラミレスが4球目の変化球を左翼席に運んで早々に2点。この時点で分かったのは、伝家の宝刀シンカーが遅く、動きが悪いということ。ダン、コネルコは打ち取ったもののピアジンスキー、リオスに連打されてもう1点を失った。どちらもシンカーだった。

今年のシカゴ・ホワイトソックス=CWSは、アダム・ダン、ポール・コネルコ、AJピアジンスキーと言う分厚い中軸の前後にピエール、ラミレス、アレックス・リオスと曲者を配している。生きの良いゴードン・ベッカムも怖い存在になりつつある。前戦のピッツバーグ・パイレーツ=PITとはモノが違う。特に、ダン、コネルコは長打力だけでなく、ボール球に手を出さない点でもリーグ屈指の存在だ。

2回にもベッカム、ラミレスに打たれて1失点。点には結びつかなかったがダンが四球を選んで球数を投げさせる。

4回、ベッカムがエラーで出塁、ピエールがまた快打を飛ばして1失点。ダンはまた四球を選ぶ。そしてコネルコが犠牲フライ。黒田にしてみれば、出てくる打者出てくる打者がなかなかアウトになってくれないと思ったことだろう。シンカーはあまり投げなくなり、スライダーを多投し始めた。夏のような暑さの中、じりじりと消耗していく。

ここからやや立ち直るが、6回2死、105球に達した時点で降板した。

一言で言うと、自分のペースを作る前にピエールにかき回されたと言う感じ。シンカーが良くなかったのは大きいが、悪いなりに試合を作ることが出来るはずが、ピエールに3度も出塁されて自分を取り戻すことが出来なかった。

ベテラン黒田にとって、「球数を増やす」作戦は一番痛い。CWSはなかなか味のある攻略をした。