日本が南極海における今期の調査捕鯨の継続を断念したことで、反捕鯨団体のシー・シェパードは、米国時間17日、「勝利宣言」を発表した。同日を、鯨のための「VSO Day(Victory in the Southern Ocean Day=南海の勝利の日)」と名づけ、「日本が来期に戻って来るなら、再び違法な捕鯨活動の阻止を進める用意がある」と表明した。

 シー・シェパード代表のポール・ワトソン容疑者は日本の調査捕鯨の妨害を指揮した疑いが強いとして国際指名手配されている。ワトソン容疑者は日本の調査捕鯨に対する「暴力的妨害活動」を繰り返す一方で、「捕鯨など自然破壊に反対しているだけで、日本そのものに対する偏見を持つわけではない」と主張してきた。「勝利宣言」も、今期の活動で「日本を含む23の国から来た、88人の幸せな乗組員が参加した」、「彼らはとても興奮した。南極海の鯨の聖域が、本当に聖域になったからだ」との談話を掲載した。

 シー・シェパードは「勝利宣言」で、「鯨にとって(今日は)偉大な日だ。人類にとっても偉大な日だ」などの、メンバーの声を紹介した。

**********

◆解説◆ シー・シェパードはこれまで、日本の調査捕鯨への妨害活動を撮影し、自らの都合によいよう編集して制作したテレビ番組を米国で放映してきた。「ワトソン容疑者が日本の暗殺者に銃撃された。弾丸が胸のバッジに当たって助かった」などとする「創作」も多いという。シー・シェパードはテレビ番組を宣伝材料として使い、多額の寄付金を集めている。今期の調査捕鯨で、それほど派手な妨害シーンは撮影されていないと見られ、日本政府には「これ以上、PRのための材料を撮影されることは避けるべきだ。資金源を締め付ける方が、長期的にみて有利」という判断もあったとされる。(編集担当:如月隼人)



■最新記事
シーシェパード:新迎撃船「ゴジラ(Gojira)」を導入」
シー・シェパード:東京地裁の“温厚判決”ねじまげ宣伝材料に
シー・シェパード:逮捕の船長支援で「メールと寄付お願いします」
シー・シェパード声明「人を傷つけないのが、われわれの誇り」
シー・シェパード、日本船に“ワニの卵”投げる―声明文「冗談さ!」