9日にスタッド・ド・フランスでフランス対ブラジルの親善試合が行なわれたが、この地でこのカード、とくれば思い出されるのが98年W杯の決勝、そして2ゴールでフランスを初優勝に導いたジネディーヌ・ジダンだ。試合前日にレキップ紙が、観戦に訪れたジダン氏のインタビューを行なった。

 ジダン氏は、ブラジル戦を感慨深く振り返ったあとで、2022年W杯のカタール招致について質問を受けると、とたんに気分を害したようだ。同国の招致大使を務めたジダン氏は、巨額の成功報酬を受け取ったと報じられた。

 インタビューの中でジダン氏は「メディアは1000万だの1300万ユーロ(約14億7000万円)だのと言う。はっきり言うが、デタラメだ。その額の4分の1ももらっていない」と怒りをあらわにした。なおも「1300万の4分の1?」と食い下がる記者に、「私には守秘義務があり、答えられない」と回答を拒絶した。

 ジダン氏は“カネのため”に招致大使を引き受けたのではないことをあらためて強調し、その理由としてこんなエピソードを明かした。「私が引退したとき、カタールでプレーしないかという誘いを受けた。白紙の小切手を見せられてね。私はそこにどんな金額でも書き込めるというわけだ。しかし私はそれを断った。レアル(・マドリー)で現役を終えるのを望んだからだ。その代わり、彼らにはこう言った。もしあなた方にサッカーを将来のため役立てるような計画があれば喜んで協力したい、と」。

 ジダン氏自身によれば、4年後にこの約束を果たしただけ、ということになるのだが、とりわけ“オイルマネー”がからむと人々の反応は敏感。巨額報酬のことが報じられた当初、ジダン氏と並ぶフランスきっての人気者ヤニック・ノア氏(元テニス選手)までが辛辣な批判を行なった。親交のあるノア氏とは電話で直接話してケリをつけたジダン氏だが、自分を「売春婦」などと揶揄したコメディアンに対しては、「断じて許せない。自分の発言の報いを受けるだろう」と裁判に持ち込んでいる。