年収500万円グウタラ社員の24時 VS 年収1500万テキパキ社員の24時

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経営者、外資コンサル、大企業の部長……高収入の地位に上りつめた“デキる”人。24時間はみな同じなのに、生み出す結果が違うのはなぜなのか? 生産性を高める時間術の秘密を、調査結果から導き出した。

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【調査概要】楽天リサーチの協力を得て実施/対象:ビジネスマン600人(20〜50代男性、年収層は半分ずつ)/期間:2014年8月1〜4日

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限られた時間の中で高い成果を生み出している1500万以上の層は、残業をほとんどせず、仕事後は公私の友人たちとゆっくり交流を深める時間に使っていることも見えてくる。ほかにも、空き時間があると定期的にエクササイズをしたり芸術に触れる時間をつくったりと、仕事から離れプライベートを充実させる時間に割いている。

「上に立つような魅力ある人というのは、仕事でもプライベートでもネットワークが広く、豊富な話題を持つ人が多い。自分の専門とは異なる分野の話ができてこそ、仕事の話も広がるのです。コミュニケーションとは、相手と過ごす頻度と話す中身の相乗効果があるからこそ意味がある。この調査でも、高収入となるほどの仕事の成果を出している人は、忙しい中でも自分を高める時間を惜しまず、芸術鑑賞や友人との情報交換など、きちんと定期的に計画の中に組み込んでいるなど、意識の高さが表れていますね」

では、限られた時間での生産性を上げるために、すぐに実行できることとはどんなことだろうか。エイチ・ピィ・ピィ・ティ代表取締役の坂本裕司氏は時間の使い方を3段階に見直すことを提案する。

「計画→実行→振り返りの3つがきちんとできてこそ、無駄な作業を減らし、時間の使い方を向上できます」

「実行」については、前述の課題への取り組みや会議の参加姿勢の例にあるが、「計画」と「振り返り」とは。

「まずは週単位、そして1日単位での業務計画を立てましょう。その際、計画は8割以下にしておき、柔軟性を残すことで、計画通りに進まないときも残業せずに終えることができます。また、週の終わりには振り返りの時間を持ち、自分の作業時間や工程などを見直す。そうすれば、次回さらに効率的で効果的な時間の使い方へとつながります。この3つのプロセスすべてにおいて成果と時間のバランスを意識する積み重ねが、大きな差を生んでいくでしょう」

■習慣編

新法則18▼TO DOリストは、デジタル管理
1500万以上は約半数が作っているTO DOリスト。500万以下では、基本的に作らない人が7割近く。さらに、1500万以上はアプリなどでデジタル管理派が優勢で、500万以下はメモや記憶するなどアナログ派が多かった。

新法則19▼できないヤツほど「1人」「休息」重視
プライベートで重視していることを尋ねたところ、1500万以上では、家族・恋人との時間が1位だったが、500万以下は休息。「1人時間」も3位に。低年収層ほど、人との接触時間を減らしたい傾向にあるようだ。
[プライベートで重視していること]
・1500万以上……1位:家族・恋人との時間/2位:休息/3位:遊び/4位:1人の時間/5位:情報収集
・500万以下……1位:休息/2位:家族・恋人との時間/3位:1人の時間/4位:遊び/5位:情報収集

新法則20▼やっぱり飲み会はネットワーキングの場
1週間のうち週2日以上、社外の人と食事や飲み会をする人は、1500万以上では約2割。500万以下では、1割にも満たなかった。飲み会ネットワーキングは、まだまだ仕事の成功に効果的であるようだ。

新法則21▼1%のひらめきも絶対逃さない
「99%の努力と1%のひらめき」。その1%さえ逃すことなくつかむ人もいる。思いついたことをメモする習慣がある人は、1500万以上は67.8%、500万以下では59%だった。
[思いついたことをメモする習慣がある]
・1500万以上……68.7%
・500万以下……59%

新法則22▼低年収ほど1次会で逃げ帰る
食事会や飲み会で、2次会以降に残ると答えた人は1500万以上では49.7%。500万以下では44.7%。5ポイント程度の差ながら、全体的に年齢層が低いと見られる低年収層のほうが飲み会の付き合いが悪い結果だった。

新法則23▼未来予想図なしに明るいキャリアなし
自分の将来のキャリアプランを見据えていれば、今後の時間の使い方が大きく変わってくる。1500万以上では、3年後は41.7%、10年後は35.3%の人がプランを描いていた。

新法則24▼知識のインプットは止めることなく
1カ月のうちで新たな知識を得るためのインプットの時間を決めている人は、1500万以上では38%。500万以下では、26.3%に過ぎなかった。高いアウトプットを生み出すには、継続的なインプットが必要だ。

新法則25▼休みの日は芸術鑑賞
仕事もプライベートも“本物”に多く触れることで、自分の内面も磨かれていく。美術館や博物館など、毎月定期的に芸術に触れる機会を持っている人は、1500万以上では23.7%。500万以下では14.3%だった。

新法則26▼突然のスキマ時間を持て余さない
ぽっとあいたスキマ時間の5分や10分も日々の積み重ねで大きな結果を生むことも。スマ時間に行うことを決めている人は、1500万以上では41.3%。500万以下は28%。
[スキマ時間に行うことを決めている]
・1500万以上……41.3%
・500万以下……28%

新法則27▼常にビジネス書を持ち歩く
1500万以上の半数は、普段から1冊ないしは複数の本を持ち歩いて読んでいるが、500万以下では半数の人が、本はあまり読まないと回答。読んでいる本の内容も、1位の小説は同じだったが、2位以降に差の出る結果となった。
[読んでいる本ランキング]
・1500万以上……1位:小説(48.7%)/2位:仕事関係のビジネス書(18.3%)/3位:仕事以外のビジネス書(9.6%)
・500万以下……1位:小説(43.9%)/2位:マンガや雑誌(12.9%)/3位:スキルアップの本(9.7%)仕事以外のビジネス書(9.7%)

新法則28▼日経新聞は基本のキ
普段読んでいる新聞を聞いたところ、1500万以上は日経新聞、朝日新聞、読売新聞の順に多かった。500万以下は、全く読まない人が多数。日経購読者は5%程度だった。
[普段読んでいる新聞ランキング]
・1500万以上……1位:日経新聞(35%)/2位:朝日新聞(29.3%)/3位:読売新聞(19.3%)
・500万以下……1位:全く読まない(36.7%)/2位:地方新聞(23.3%)/3位:読売新聞(17%)

新法則29▼スイッチ1つでリチャージ万全!
何でも緩急が大事。集中して仕事をするには、上手な気分転換も必要だ。短い時間でもリラックス法を持っていると答えた人は、1500万以上では59%、500万以下では49.3%だった。
[短い時間でもリラックスできる]
・1500万以上……59%
・500万以下……49.3%

新法則30▼愛用品とは長い時間を共に
高年収層には、長い期間苦楽を共にしている愛着品があるようだ。時計や名刺入れなど10年以上愛用している人は1500万以上では72%、500万以下では45.7%だった。
[時計や名刺入れなど10年以上の愛用品がある]
・1500万以上……72%
・500万以下……45.7%

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坂本裕司(さかもと・ゆうじ)
エイチ・ピィ・ピィ・ティ代表取締役。統計士。1973年、奈良県生まれ。96年鐘紡(現クラシエHD)入社後、2001年英国ノッティンガム大学経営大学院修士課程修了(MBA)。米国ISPI(生産性向上研究団体)の日本支部プレジデントなどを経て現職。著書に『ホワイトカラーの生産性を飛躍的に高めるマネジメント』など。

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(岩辺みどり=文 坂本裕司=監修 竹井俊晴=撮影)