しかし、日本の女子サッカーは、愛だけで続けている人が多くを占める。基本的にはアマチュア。なでしこジャパンは、いわば趣味の延長上にあるものだ。

W杯決勝の舞台とは、バランスが悪い。趣味の延長上でプレイしてきた人にとって、あの舞台は巨大すぎる。巨大産業にガッチリ組み込まれた中で、なでしこジャパンは試合を行い、世界一の座に就いた。世界各国のメディアから祝福を受けた。日本のテレビの視聴率も、放送が深夜から早朝という特殊な時間帯にもかかわらず、20%を超える数字を記録した。アンバランスとはこのことだ。即刻、解消されるべきものでなければならない。

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最後にお知らせをひとつ。僕の新刊本『ザックジャパン「頭脳的サッカー」で強豪は倒せる』が、明後日、21日、全国の書店で発売されます。いまとなっては、タイトルを「なでしこに学べ」に変更したい気分です。その方が売れそうだからってこともありますが、嘘偽りない正直な気持ちであることも確かです。「パスを繋ぐサッカー」というより「パスを奪うサッカー」。これこそが、なでしこの真髄だと思います。ボールの奪い方が最も洒落ていたチーム。それこそが痛快さの源だった。

強者のサッカー、マイボールありきのサッカーを連想させるパスを繋ぐサッカーより、弱者のサッカー、相手ボールまずありきのサッカーを連想するパスを奪うサッカーの方が、強調されるべきポイントだと思う。

まとめれば「奪って繋ぐサッカー」だ。これをいかに「頭脳的」に行えるか。日本のあるべき道だと僕は思う。

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