ホンダ「“新型”シビック」に大注目! 走りのスポーティ仕様「RS」に“本命モデル”登場! “6年目の進化”で「めちゃ楽しいシフト」も採用した「e:HEV RS」の実力は?
シビックの「本命モデル」に追加された「RS」の実力は?
ホンダは2026年6月5日、「シビック」のマイナーチェンジモデルを発表しました。最大のトピックは、スポーティグレード「RS」に2モーターハイブリッド「e:HEV」搭載モデルが追加されたこととなります。
モデルイヤー6年目となるシビックに設定の「e:HEV RS」、その走りはどうなのか。自動車研究家 山本シンヤ氏がレポートします。
2022年に50周年という偉大な節目を迎えたホンダ「シビック」。2021年に登場した現行の11代目は、販売台数こそ主力のSUV系には敵いませんが、毎月安定したセールスを記録し続けています。
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日本市場のシビックシリーズを力強く牽引しているのは最高峰の「タイプR」なのは言わずもがなですが、実は1.5リッターターボ+6速MTを組み合わせたスポーティグレード「RS」が、販売台数の3割を占める“隠れた人気モデル”となっています。
しかし、その一方でシビックの“本命”なはずのハイブリッドモデル「e:HEV」は苦戦を強いられていたのも事実です。そこでシビックのスポーツイメージを活かしたハイブリッドとなるのが、今回追加設定された「e:HEV RS」になります。
ガソリン車で築いたスポーツイメージを、シビックの“本命”たるハイブリッドへ水平展開ですが、その実力はどうなのか。先立って行われた「伊豆サイクルスポーツセンター(静岡県伊豆市)」でのクローズド試乗に続いて、今回はリアルワールド(公道)での試乗となります。
エクステリアは、メッキガーニッシュなどの“ヒカリモノ”を排してブラックパーツで引き締めたRSガソリン車の精悍な佇まいを踏襲しながらも、足元にはe:HEV RS専用となるマットブラック仕様の18インチアルミホイールを採用。
個人的には控えめだけどカッコいい無限製のテールゲートスポイラーをプラスすれば、前後バランスはさらに整うかなと感じます。
インテリアは、スポーティカーのド定番コーディネイト「ブラック×レッド」内装こそベタな印象ながらも、レッドの使い方が上手なので子供っぽさはありません。加えて、「プレリュード」と同形状のDシェイプステアリングで特別感が増していますが、個人的にはメーターもプレリュードと共通化してほしいところでした。
ところが開発者に聞いてみると、「水平展開は想像している以上にハードルが高い」とのことでした。
パワートレインは最高出力104kW・最大トルク182Nmを発生する2リッター直噴エンジンに同135kW・315Nmを発生させる2モーターを組み合わせた「スポーツe:HEV」です。さらに、ここにプレリュード譲りのパワーユニット制御技術「ホンダS+Shift(以下、S+シフト)」が組み合わされます。
プレリュードでは各ドライブモードで作動するS+シフトですが、シビックではスポーツモード専用(他モードでONにすると自動でスポーツモードに切り替わる)として割り切った設定になっています。
まずは一般道を走ります。アクセルを踏んで感じるのは、応答性と直結感の高さに驚かされます。そして加速がいつまでも続くような伸びの良さ、さらにドライバーの意図を組んだシフトアップ/ダウン制御はパドル操作が不要なくらい。このように、ハイブリッドというよりも「よくできたガソリン車」のようなフィーリングなのです。
この辺りはプレリュードも同じ印象ですが、パワートレイン出力や車両重量はほぼ同じにも関わらず、シビックe:HEV RSはプレリュードより「力強さ」と「キレの良さ」が際立っているように感じました。
その要因は「ASC(アクティブサウンドコントロール)の領域拡大」と「音量拡大」、スポーツ方向にセットされた疑似シフトの「ブリッピング音」や「応答速度」などの、シビックe:HEV RS専用チューニングが効いています。
一見すると「ギミック」のようにも思えますが、ここまで完成度が高いと納得せざるを得ません。「本気でふざける」時のホンダの底力は本当に凄いです(笑)。
個人的には高回転域でさらに盛り上がるパワー特性や6000rpmでレッドゾーンとなる許容回転数を除けば、滑らかで澄んだエンジンフィールはかつての「アコード ユーロR」に搭載されていたバランサーシャフト付き「K20A」エンジンに近いモノがあるなと思います。

フットワークに目を向けると、ガソリン車のRSに対して約100kg増加した車両重量やバッテリー搭載による前後バランスの変化に合わせ、バネ、ダンパー、スタビライザー、ブッシュ類をe:HEV RS用にリセッティング。
また、装着タイヤはグッドイヤー「イーグルF1」と同銘柄を継続採用しながらも、「アシメトリック2」から最新の「アシメトリック6」に進化しています。
一般道を走ると、ノーマルのe:HEVに対してすべてがシャキッとした印象で、まるで車重が50〜70kgほど軽くなったかのような軽快感すら覚えます。
そういう意味ではガソリン車のRSに近い印象ですが、自然かつ素直な「フロントの回頭性」とドシっと粘る「リアの安定性」とのバランスは、現行シビックベストと言っていい仕上がり。
その結果、日常の速度域であっても、“気負いなく”意のままにクルマが動く愉しさを味わうことができます。その印象は速度域が上がるワインディングで走らせても変わりません。
「ハイブリッド」が「走りの楽しさ」を犠牲にしない!
最新の騒音規制に対応するために採用されたアシメトリック6ですが、その優れた環境性能が副産物としてロードノイズの大幅な低減と、乗り心地の向上に大きく寄与しています。
サスペンションの味付けはノーマルより引き締め方向ですが、一般道の継ぎ目や荒れた路面からの突き上げは、まるでゴムの厚みが増したかのような丸みがあります。さらに衝撃を「シュッ」と不快に遮断するのではなく、「スッー」と綺麗に減衰して収束させる吸収性の高さも、実にお見事です。
思わず「ノーマルのe:HEVも、もっと頑張れ」と言いたくなるくらいの高い静粛性とフラットライド感は、週末のスポーツドライビングだけでなく、毎日の通勤やロングドライブでも満足させてくれるはずです。

そろそろ結論に行きましょう。筆者(自動車研究家 山本シンヤ)は、ホンダの「スポーツe:HEV」こそが、今世の中にあるハイブリッドの中で「もっとも“クルマ好き”が納得できるシステム」だと思っています。
しかし、これまではその本質的な魅力がユーザーに十分に伝わりきっておらず、世にあるハイブリッドの1つで止まっていたように感じます。
ホンダのエンジニアは、よく「乗ればわかりますから」と言いますが、ユーザーが買うのは“システム”ではなく“クルマ”というパッケージ全体です。つまり、クルマの魅力が伴っていなければ、その価値は伝わりません。
そういう意味においては、シビックe:HEV RSは「スポーツe:HEV+S+シフト」のパワートレインに見合った、内外装とフットワークを手に入れました。結果、これまで多くのメーカーがトライするも成就しなかった「ハイブリッドスポーツ」をリアルに体現したモデルと言えます。
カッコよく言うと、時代が電動化へとシフトし、環境や規制との戦いを強いられる令和の時代において、「もはや我慢するハイブリッド」ではなく「乗るたびにワクワクするハイブリッドスポーツ」です。
追加モデルなので手を入れる範囲に限りがあったはずですが、「最小限の変更で最大限の効果」は出ていると思っています。
価格はノーマルのe:HEVに対し、約21万円アップに抑えられた465万9600円(消費税込)。ネットでは「シビックも高くなった」と言う声も聞かれますが、残クレなどを賢く活用すれば、月々の支払いは想像以上にリーズナブルな範囲に収まります(ホンダはもっと言うべき)。
6月5日に正式発売されて以降、販売は好調で、これまで全体で約3割だったRSの比率が現在は7割近くにまで跳ね上がっているそうです。さらに興味深いのはそのユーザー層です。
ガソリンのRSは20〜30代の若い世代が中心。いっぽう、e:HEV RSは40〜50代のミドル世代を中心に支持されています。
結果として現行シビックは、現在のホンダのラインナップの中で「唯一、全年齢層のクルマ好きから熱い支持を集めるモデル」という、極めて理想的なポジションを確立しています。
ガソリン車とe:HEVというラインナップで、すべての世代のクルマ好きを全方位で笑顔にするシビックRSシリーズ。これこそが、現代における「市民のクルマ(=シビック)」の新たな再定義なのかもしれません。
![ホンダ「シビック e:HEV RS」[マイナーチェンジモデル/2026年6月発売]](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/8/7/87f66_1730_805e7e12_fb24abe1.jpg)
