後発「ヨドバシカメラ マルチメディア館」が人流を確保(提供)筆者

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 6月30日に池袋駅東口で「ヨドバシカメラ マルチメディア池袋」が開業した。地下1階から地上5階がヨドバシの売り場で、6階から8階の専門店フロアにはスポーツショップや飲食店などが並ぶ。

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 以前は西武池袋本店があった場所だが、2025年から段階的にリニューアルを実施し、ヨドバシに生まれ変わった。西武池袋本店は面積を縮小し、繁華街から離れた南側に移る形で営業をしているが、かつての面影は薄い。

 西武池袋はなぜヨドバシに変わったのか。

 ことの発端は23年9月のセブン&アイ・ホールディングスによる傘下そごう・西武の売却劇だ。セブン&アイは百貨店事業の苦戦を背景に、そごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却。その後、フォートレスは西武池袋など一部店舗の不動産をヨドバシに売却した。この売却劇でフォートレスは1000億円もの巨利を得たとされる。

「そごう・西武の企業価値は2200億円とされたが、2000億円近い負債を抱えていた。そのため、フォートレスは負債を肩代わりする代わり、実際の株式売却額としては、たったの8500万円で百貨店を手に入れた。その後、一部の不動産をヨドバシに3000億円で売却した。投資会社とはいうが、小売りの経験は浅く、実態は不動産会社に近い」(経営コンサル会社の幹部)

 ヨドバシはそごう千葉店の別館も取得し、24年11月に同地で出店している。今回のヨドバシ池袋の開店により、池袋では量販店大手の3社が激突する構図となった。

 ビックカメラは1978年から店舗を構え、現在では駅周辺で4店舗を展開。このうち3月に開業した西口の店舗は、旧池袋マルイ跡地に誕生した再開発ビルの中にある。

 一方、郊外立地が強みのヤマダデンキは09年、旧三越池袋店の跡地に店舗を構えた。

 都内では00年代から百貨店の量販店化が進んでおり、今回の件もその潮流の一環といえる。

「衣類の低価格化が進んだことで、アパレルに依存する百貨店は駅前一等地でも儲からなくなった。国内外の富裕層向けに特化した百貨店は生き残るが、池袋の立地では難しい。そもそも西武池袋も開業当初から庶民向けが売りだった。服より家電やスマホの方が集客力は大きいのが現実だ」(小売業界関係者)

 消費者が比較購買を目的に集まるため、秋葉原のような量販店の集中は競合同士に利益をもたらす相乗効果があるとされる。だが池袋ではヨドバシが駅と直結しているため、他社への人流が抑制される可能性もある。

 安さか、独自商品の開発か。ビックとヤマダの2社は今後、ヨドバシの立地条件を上回るメリットを訴求しなければならない。

(山口伸/ライター)