50代は親の介護や子どもの進学などの家族の問題、そして自身の健康不安など、さまざまな課題が重なりやすい年代。不安や葛藤を抱えることも少なくありません。今回、ヒット作を次々と生み出してきた脚本家であり、占い師としても50年のキャリアをもつ中園ミホさん(66歳)に、そんな「50代の危機」を乗り越えるコツについて伺いました。

仕事をする気にならない…50代で突然訪れた「不調」

今ではとてもお元気そうに見える中園さんですが、50代のときには不調に見舞われたことがあったといいます。

【写真】50代で「突然の不調」に見舞われた脚本家の中園ミホさん

「そのとき、脚本家の先輩である大石静さんに、『仕事をする気にならないんです』と打ち明けました。すると、大石さんは話を聞くなり『すぐにクリニックに行きなさい』と言って、更年期治療の専門医を紹介してくださったんです」

受診して薬を処方してもらったら、その日のうちに回復したという中園さん。

「気分が晴れて、『あれ、洋服が欲しいな』『仕事がしたいな』と思えるようになって、そのくらいガラリと変わりました。自分の体って、こんなにホルモンに左右されていたんだと、本当に驚きましたね。あのまま放っておいたら、私はうつ状態になっていたと思います。でも、あれは全部ホルモンのせいだったんですよね(笑)」

この経験から、中園さんは同じような不調を抱える人たちに「とにかく自分の体を放置しないで、と伝えたい」と語ります。

「もし心当たりがある人は、自分が弱いせいだと思ったり、我慢したりしないで、ぜひお医者さまに行ってみてほしいです。注射や薬といったケミカルな治療が苦手な人にも、漢方などいろいろな方法があると思います」

中園さん流「中年クライシス」への向き合い方

また、自分自身の年齢に対する焦りや、若い人に対して怒りっぽくなってしまう、いわゆる「中年クライシス」には、どのように向き合っているのでしょうか。

「脚本家として、『このドラマ、どうしてヒットしているんだろう』と、理解できないことが私にもあります。でも、その感情の裏には、嫉妬や妬みが入っているかもしれないですよね。そこはよく自分で冷静に分析して、自分の正義を振りかざしていないかどうか、チェックするようにしています」

さらに中園さんは、嫉妬の感情をユーモアに変える独自の工夫を凝らしているそうです。

「若い人が書いているものに嫉妬しているなと思ったら、本人に『私、あなたに嫉妬してます』と直接言ってしまうことも。言われた人も悪い気はしないと思いますし、そうやって口に出してしまうのが、自分にとっていちばんラクな方法だと気づきました」

おもしろがることで新たな発見や参考にすることもできる、と語る中園さん。

「そもそも若い人に嫉妬するなんてつらいだけですし、どうしたって自分は歳を重ねるのだから、そこは意識的に考えをずらすようにしています。ちなみに、今私がいちばん嫉妬しているのは、バカリズムさんです!」

「人生の困難」が重なりがちな50代を乗り越えるヒント

50代という時期は、職場での責任ある立場や親の介護といった家族の問題、そして自身の健康不安など、さまざまな課題が重なりやすい年代でもあります。そうした苦しい時期を乗り越えるためのヒントを教えてくれました。

「私は、占い師として『すごくつらい時期は2年しか続かない』と考えています。どんなことも、2年耐えられたら、必ずなにか新しい流れが生まれるものです。たとえ自分では変えられないと思っていても、潮目が変わるときが必ずきます。たとえば介護も、『これが10年続く』と思うとつらいですが、『まずは2年』と思えば耐えられますよね。実際に2年で終わらないとしても、その頃には状況や周りの環境が変わっているはずです」

今まさにつらい状況に直面している人たちへ、中園さんは温かいエールを送ります。

「『これは自分の人生の修行なんだ』と思って踏んばってほしいと思います。そこを乗り越えた先には、必ず新しい景色が待っているはずですから」

40〜50代は「60代の自分」への助走期間

中園さんにとって、40代や50代という年代は、「60代の自分」へと向かうための大切な助走期間だったといいます。この時期にやっておいてよかったことは何だったのでしょうか。

「それは、60代の自分を、ありありと思い浮かべることです。40代、50代は本当に忙しい時期ですけれど、だからこそ『ああいう60代になりたいな』と思えるお手本の人を見つけて、そのイメージを心に持っているかどうかで、実際に60代になったときに全然違ってくると思います」

中園さん自身も、未来の自分をイメージすることをずっと習慣にしてきたそうです。

「私は毎年誕生日に、『3年後、5年後の自分はこうなっていたい』と心に強く思い浮かべてきました。わざわざノートに書き出さなくても、ただ節目に思い浮かべるだけでもいいと思います。たとえそのイメージの通りにはならなくても、軌道修正しながらやっていると、少しずつでもちゃんとなりたい方向に向かっていきます」

「ご機嫌でいることが、中高年になったらいちばん大切なこと」と語る中園さん。自分の体をしっかりと整え、上手に行動して感情をきり替える。そして、少し先の素敵な自分をイメージする。そうしてご機嫌な自分でいることが、60代、そしてその先の人生をきっと豊かなものにしてくれるはずです。