若い頃は生理痛がなかったのに、更年期にさしかかると生理痛が起こることも。慣れていない痛みに耐えられない…! そんな悩みをもっている方は、今回紹介する産婦人科医・高尾美穂先生に聞いた「更年期の生理痛」に関する解説を参考にしてみてください。

※ この記事は『高尾美穂のオトナ世代のこころとからだ相談室』(扶桑社刊)より一部抜粋、再構成の上作成しております。

夫が更年期かも?原因は男性ホルモンの急激な減少

女性の更年期障害の理解が広まると同時に、男性の更年期障害についてもメディアで取り上げられるようになりました。それだけにパートナーである夫がイライラしたり、怒りっぽくなったりすると、更年期障害ではないかと心配する人もいます。しかし、現状は男性で更年期障害と診断される人は女性のおおよそ3分の1。つまりそこまで多くはありません。

男性の更年期障害の原因は、ストレスなどによる男性ホルモン(テストステロン)の急激な減少です。イライラや落ち込みなどの精神症状、疲労感、発汗やほてりなどの身体症状、性欲減退などの性機能症状などが見られます。

男性の更年期障害は、女性の更年期と違って生理がなくなるといったわかりやすいサインがなく、発症には個人差があります。なお、女性と同様、几帳面でまじめな人ほど不調が重いといわれています。

●まずは心身を休める時間をつくる

日常的にイライラしたり、怒りっぽくなったりする原因の多くは、ストレスや睡眠不足です。「男性の更年期?」と疑う前に、家族で協力して夫の心身が休まる時間を意識的につくるのも対策のひとつです。

もし、男性の更年期障害を疑うのであれば泌尿器科の受診をおすすめします。ただ、性欲減退などデリケートな問題を含むため、本人が受診をためらうケースも少なくありません。仮に、調子が悪そうな状態が長く続くのであれば、「一度専門家に相談してみては?」と優しく背中を押してみてくださいね。

Q:40代後半なのに、ここ数年で生理痛がつらくなってきました

そして、更年期に起こった生理痛についての質問も届きました。

「更年期のせいかは不明ですが、若い頃は生理痛がなかったのに、ここ数年、生理痛がひどくて薬が手放せません。どんどんひどくなっている気がします。これからどうなるか心配です」(47歳)

A:生理痛がひどくなるのは病気のサイン。早めに病院へ

生理痛の痛みのもととなるのは、子宮をギュッと収縮させるプロスタグランジンという物質です。多く産生されれば痛みを強く感じるようになります。子宮の出口が未成熟な10代の頃は、経血を外に排出するために子宮を強く収縮させる必要があるため、プロスタグランジンの産生量も多く、生理痛を強く感じることは珍しくありません。

しかし、体が成熟すれば生理痛は軽くなることが多く、さらに40歳を過ぎると女性ホルモンの減少から、経血の本体である子宮内膜が薄くなるため、生理痛は軽くなるのが一般的です。それにもかかわらず年齢を追うごとに生理が重くなるようであれば、それは生理痛を重くする病気。

考えられる主な疾患として、子宮内膜に似た組織が子宮以外にできる「子宮内膜症」、子宮の筋層内に良性のこぶができる「子宮筋腫」、子宮の筋層内に子宮内膜に似た組織ができる「子宮腺筋症」があります。これらの病気は女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けるため、少しずつ悪化している可能性があります。

●更年期に起こりやすい「子宮腺筋症」に注意!

なかでも子宮腺筋症は、オトナ世代に多く見られ、更年期以降進行しやすいとされています。相談者さんの年齢を考えると、飲み薬のホルモン治療や、黄体ホルモンを少しずつ放出する「ミレーナ」という器具を子宮内に装着して症状を抑える治療法、あるいは子宮を摘出する選択肢もあります。

痛みはQOL(生活の質)を大きく低下させます。我慢しないで病院で相談してみましょう。様子を見るだけでなく、前向きな選択をおすすめします。