最近よく聞く「スルーする」という言葉はあらゆる場面で日常的にこの言葉が使われている。「スルー」とは面倒なこと、ややこしいこと、トラブルが起こりそうな出来事が起こった時、自分への負担を天秤にかけて見なかったことにしたり、聞かなかったことにするという行為のことを指すようだ。

 どちらかと言えばネガティブなこの「スルーする」という行為が今、ビジネスマンに必要な力とされているようだ。プログラミング技術についてのブログ「いやなブログ」では、スルーする力=スルー力(スルーりょく)についてこのような定義がされている。

 「“人生の大半の問題はスルー力で解決する”とはスルー力研究の専門家の間では共通のコンセンサスですが、昨今頻発するネット上での炎上事件、人間関係上のストレス問題、あるいは仕事上での燃え尽きの多発などの事情から、スルー力に対する社会的、特にITエンジニアの間での認知度が足りないのではないか・・・」(「いやなブログ」から抜粋。中略)

 ふむふむ。確かに上司から言われることにいちいち腹を立てたり、落ち込んだりしていては仕事もはかどらないし何よりストレスが溜まるばかり・・・。上手に気持ちをコントロールすることができたら、もっと賢い生き方ができるのでは?なんて思ってしまうものである。スルー力がある人というのは、気にすることと気にしなくてよいことの区別がきちんとできるから、スルー力のない人に比べて余計な負担を背負わずに済むのである。でも、仕事でスルー力の使い方を一歩間違えたら、ただの無責任なヤツになりかねないんじゃ・・・?

 「今世の中で使われているスルー力は、単語の意味“かわす・避ける”という意味だけが前面に出て、とても軽々しい意味になっているせいで、必要な情報と不必要な情報を区別してうまく処理する、という本質的な意味が伝わっていない気がしますね」(元ビジネスコンサルタントのSさん)

 Sさんいわく、一度物事を懐に入れてから区別をするという姿勢は、それなりの経験を経て備わるものだという。まず、問題の前を通りすぎないで立ち止まり、目の前にある情報を受け入れることが前提。その結果、本当の意味でのスルー力を高めることで、視野や見識が広がることになるんですね。(坂井あやの/verb)

■関連リンク
いやなブログ - 文中で紹介した「スルー力」を解説したブログ