記事のポイント
グルナンダはアルタ・ビューティ300店舗で販売を開始し、美容市場での認知拡大を図っている。
TikTok Shopでの売上が急減したことを受け、インフルエンサーを活用し再エンゲージメントを狙っている。
アルタ・ビューティはオーラルケア市場拡大を背景に、ウェルネス部門を強化し新たな成長カテゴリーとして注力している。


TikTok Shopでトップのオーラルケアブランドであるグルナンダ(GuruNanda)は、販売戦略の多角化を進めるべく、アルタ・ビューティ(Ulta Beauty)の300店舗での戦略的ローンチに踏み切った。

「最初は大きな売上になるわけではないかもしれない。しかし、我々にとってこれはゲームチェンジングなビジネス上の決断だ」と、グルナンダの創業者兼CEOのプニート・ナンダ氏はGlossyに語った。「セフォラ(Sephora)が米国の富裕層を対象としているのに対し、アルタは中間層の米国人を対象としている。このようなビューティの専門店から認知されることにより、ウェルネスとビューティのギャップを埋め、グルナンダを美容領域へと進出させることができると信じている」。

アルタ・ビューティのウェルネス担当バイスプレジデントのローラ・ベレス氏はGlossyに対し、アルタの顧客のあいだでオーラルケアへの関心がホリスティックケアとともに高まっており、成分への意識も向上していると語った。グルナンダは、オイルプリングなど複数のアーユルヴェーダの実践に基づいており、ココナッツオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイルなどの成分を使用している。「我々は、従来の美容の枠を超える自己ケアソリューションへの関心の高まりに対応すべく、ウェルネス商品のラインナップを進化させていくことに尽力している」とベレス氏は述べた。

グルナンダは、アルタ・ビューティの300店舗およびUlta.comでの販売を開始した。これは、アルタ・ビューティが今年1月に発表したウェルネス部門拡大の一環として行われたものだ。アルタ・ビューティのマーチャンダイジング担当シニアバイスプレジデントであるペニー・コイ氏はGlossyに対し、今年初め、すべてのアルタ・ビューティ店舗に専用のウェルネス売場を設けたと述べた。その売場では、オーラルケア、栄養、睡眠、ホルモンの健康、マインドフルネス、ストレス解消が主要なフォーカスとなっているという。

調査会社ミンテル(Mintel)によれば、オーラルケア市場は今年108億ドル(約1兆6900億円)に達する見込みで、年間6.3%の成長率が予測されている。

グルナンダ、売上急減と回復への模索



グルナンダは、D2C型の販売に加え、Amazon、CVS、ターゲット(Target)、ウォルマート(Walmart)でも製品を展開している。Glossyが1月に報じたところによると、2024年におけるTikTok Shopでのもっとも売上が高かった日は、グルナンダのオーラルケア製品が約100万ドル(約1億5600万円)売れたという。

アルタ・ビューティにおいて、グルナンダは5種類のSKUでローンチされた。内訳は、従来型の製品2種とホワイトニング製品3種である。たとえば、歯磨き粉は9.99ドル(約1560円)、オイルプリング用のマウスリンス(Oil Pulling Mouth Rinse)は14.99ドル(約2340円)、ホワイトニングストリップは9.99ドル(約1560円)、ホワイトニングマウスウォッシュは12.99ドル(約2030円)、2本入りのホワイトニングペンは17.99ドル(約2810円)で販売されている。

ナンダ氏は、かつて家族が営んでいたオーラルケア製品の製造会社を2012年に売却したのち、2015年にグルナンダを創業した。その会社は長年にわたり、主要ブランド向けに歯ブラシやその他のオーラルケア製品を製造していた。グルナンダの創業後、ナンダ氏はソーシャルセリングに注力し、ブランドのインスタグラムのフォロワー数を10万人、TikTokのフォロワー数を17万2000人にまで成長させた。なお、彼自身のアカウントでは、インスタグラムに13万3000人、TikTokに36万6000人のフォロワーがいる。

しかし、ナンダ氏はGlossyに対し、かつて記録的な売上を誇っていたTikTok Shopでの販売が、2024年初頭に前大統領のジョー・バイデン氏がTikTok禁止の可能性を再び持ち出した後に急落したと語った。「我々はひどく落ち込んだ」とナンダ氏は述べた。2024年末までに、グルナンダのTikTok Shopでの売上は70%減少した。その後、2025年初頭に大統領のドナルド・トランプ氏がアプリの禁止を検討していると発言したことで、売上はさらに下がり、ピーク時の10%程度にまで落ち込んだ。

「最近、少しずつ回復し始めている」とナンダ氏はGlossyに語り、TikTokが米国市場から撤退し、新たなM2アプリに置き換えられる可能性についても楽観的な見通しを示した。

アルタ出店で認知拡大を最優先



アルタ・ビューティへの進出は、ナンダ氏にとって、失われたTikTokの顧客との再エンゲージメントのチャンスでもあるという。「(SNS上での)反応は驚くほどよかった。ターゲットに出店を発表した時よりも好反応だった」と同氏は述べた。「アルタ・ビューティで我々を見つけられることに、顧客は非常に喜んでいる」。

ナンダ氏は、TikTokユーザーとアルタ・ビューティの顧客層には大きな重なりがあると考えている。「ターゲットの顧客はインスタグラムユーザーであり、アルタやウォルマートの顧客はどちらかといえばTikTokユーザーだ」と彼は述べた。

ナンダ氏はGlossyに対し、現在、グルナンダのホワイトニングストリップがウォルマートにおいて販売量でトップの製品になっていると語った。ただし、グルナンダの販売額は、同カテゴリーで製品価格が3〜4倍のクレスト(Crest)には及ばない。アルタ・ビューティにおいても同様の成功を期待している。アルタ・ビューティでは、ビーチハウスグループ(Beach House Group)が展開するムーン(Moon)ブランドのホワイトニング製品が39.99ドル(約6250円)で販売されており、クレストと同水準の価格帯である。

その実現に向けて、ナンダ氏はグルナンダの社内TikTokインフルエンサー400名を積極的に活用しているという。彼らは月額報酬を得てコンテンツを制作しており、アルタ・ビューティ店舗への集客を目的として活動している。

「我々はアルタ・ビューティに相当数のトラフィックを送るつもりである」とナンダ氏は語った。彼にとって、ローンチ時の認知拡大は何よりも重要であり、アルタ・ビューティでの展開で利益を出すことや収支を合わせることは、現時点では二の次なのだ。これら400名のコンテンツクリエイターは、8月よりアルタ・ビューティの店舗に入り、来店促進を目的としたコンテンツの制作を開始する予定だ。ナンダ氏は、同ブランドがオーラルビューティを今後のビューティリテールにおける主要カテゴリーとして確立させる役割を果たすことを望んでいる。

[原文:How GuruNanda is leveraging its runaway success on TikTok Shop into an Ulta Beauty brick-and-mortar debut

Lexy Lebsack(翻訳・編集:坂本凪沙)