サツマイモを食べたら「オナラ出ちゃった」なぜ?

写真拡大 (全4枚)

 秋の味覚の一つ「サツマイモ」。今年も各社からはサツマイモに関するスイーツなど商品が展開され、サツマイモ商戦は盛り上がっています。さてサツマイモといえば、昔は漫画などで「食べた人がオナラをしてしまう」という描写をよく見かけたものですが、一体なぜのでしょうか。国民的認知度を誇る漫画・アニメ作品『ドラえもん』にも、食べるとオナラで音楽を奏でることができる「音楽イモ」というひみつ道具が登場していました。

 実際、食べたらオナラが出たという人もいるのでは? なぜサツマイモを食べるとオナラが出やすくなるのでしょうか。管理栄養士の野口知恵さんに聞きました。

ほくほくおいしいサツマイモ

☆☆☆☆

「この時期になると『サツマイモを食べるとなぜオナラが出るのか?』と聞かれることが多いですね」と野口さん。サツマイモにはオナラが出やすい条件が揃っていると説明します。

「まずサツマイモに多く含まれる食物繊維は、小腸に消化吸収されないまま大腸に達します。ほかにも吸収されづらく大腸に達する食物残渣(ざんさ)となる栄養成分を含んでおり、これらが腸内細菌の栄養源となります。栄養源となる一方で大腸内細菌により分解される過程においてメタンなど腸内ガスが発生、つまりオナラとなるのです」(野口さん)

サツマイモでおならが出る理由は様々

 また、サツマイモに含まれる“珍しい成分”もオナラの出やすさに関係しているのだとか。「『ヤラピン』という栄養成分を含有していることも、オナラが出やすい条件と言えます。ヤラピンは腸の蠕動(ぜんどう)運動を促す作用があるとされており便秘改善の効果に期待ができますが、同時にオナラも出やすくなると考えられます」(野口さん)

 ちなみに、サツマイモの断面から出てくる白い液体の正体がヤラピン。主にヒルガオ科の植物に含まれていますが、食用の植物ではサツマイモだけが持っている成分なのだそう。

オナラが出やすい条件 サツマイモの断面から見える白い成分が「ヤラピン」

 オナラといえば「ニオイ」も気になるところ。野口さんいわく「サツマイモを食べたことによって出るオナラは臭くない可能性がある」とのこと。ただし普段から肉や乳製品などの動物性たんぱく質を多く摂取している人は腸内の悪玉菌が多い傾向にあり、その限りではないと語りました。

☆☆☆☆

「基本的にサツマイモを食べて出るオナラは臭くない」という説が有力なのであれば、旬のこの季節、たくさん食べても心配なさそうです。ただし、音に関しては別問題。細心の注意を払うようにしたほうがいいかもしれません。

(取材・文=宮田智也)