10月1日に「大パニック」が起こりかねない…郵便料金「大幅値上げ」の実情と対応策

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混乱必至の郵便料金値上げ

来る10月1日に郵便料金が大幅値上げされる。しかし、筆者の知人などにそのことを言うと、知らない人も多かった。9月になって郵便局から自宅のポストに値上げ案内のチラシが入っていたり、郵便ポストにもすでに告知文が張られていたり、全国で周知が進められているが、それでも知らない人や、値上げ以降もうっかり、旧料金で投函してしまう人も多いだろう。

当然、10月1日以降に投函される郵便物に旧料金の切手しか貼っていなければ、郵便局は差し戻すか、配達先に不足分の料金を求めることになるから、郵便を差し出す側も受け取る側も面倒だ。そして郵便局の業務も甚大になり、場合によっては配達遅延も起こることが予想される。

総務省の令和6年度版情報通信白書によれば、2023年の総引受郵便物等物数のうち郵便物は136億通(ほかに荷物39億個)だ。単純に365日で割れば、一日あたり約3726万通となる。年賀状の配達が多いだろうし、値上げ直後は投函量が減ると思われるので、この半分としても1878万通となる。仮に1%、100通に1通が旧料金で投函されただけでも、18万通ほどの郵便物への対応が必要となる。

そもそも、対面販売でモノを販売する場合、10月1日から値上げということになれば、その日の開店時間からは強制的に新価格での販売となり、もし値上げを知らなかった顧客がいても、その場で説明すれば済む。いやなら買わなければよいというだけだ。

一方、郵便物は切手を貼って投函するものであり、郵便局の窓口で出すのであれば、局員から新料金の説明を受けられるが、街中の郵便ポストに投函する場合は、旧料金で出してしまうこともあり得る。

しかも、10月1日から新料金といっても、郵便ポストには24時間投函可能であり、投函されたのが9月30日の深夜なのか、10月1日の未明なのかは区別がつかないだろう。郵便局は一体どのような基準で判別するのだろうか。

また、間違えて10月1日以降に旧料金で投函してしまったときの対応や、旧料金のはがきや切手を持っている場合、差額分ちょうどの切手は販売されるのか、往復はがきはいつから新料金が適用されるか、など疑問も多い。

「間違えて旧料金で出してしまい、大切な郵便物が届かなかったらどうしよう……」と心配している人のためにも、郵便局の公式HPを参照しつつ、今後の対応を確認しておこう。

9月30日の夜に投函したらどうなる?

・そもそも今回の料金引上げの理由は何か

郵便物数は、2001年度をピークに大きく減少しており、今後も、右肩下がりの傾向が継続していくことが見込まれている。他方で、人件費、燃料費などの上昇、協力会社への適正な価格転嫁その他の調達コストの増加など、営業費用の増加が見込まれる。

郵便サービスを安定的に提供し続けていくためには、郵便料金の引上げを決断せざるを得なかったとした。

・10月1日の前日、9月30日の最後の取集後に郵便ポストに投函された郵便物の料金はどうなるか

9月30日の取り集め終了後でも、10月1日の最初の取り集めまでに郵便ポストに投函された郵便物については、旧料金が適用される。

・10月1日以降に、旧料額の通常はがきに差額分の郵便切手を貼らずに出した場合はどうなるか

旧料金で差し出された場合は、料金不足の郵便物として差出人に返却されるか、郵便物を配達する際に受取人から不足分を徴収する。

これについては実際のところ、引き受け郵便局が消印前に気づいた場合は返却し、消印後の場合は受取人に配送した上、請求するのが一般的なようだ。

受取人に配達される場合、郵便料金不足の案内が郵便物とともに配達されるのが通常で、受取人は不足分の切手を案内に貼って投函するか、支払いたくない場合はその旨を添えて受け取った郵便物を投函することになる。したがって、差出人、受取人、郵便局にとって手間がかかる事態となる。

・旧料金の切手をまだ持っている場合、差額はどうやって支払うのか

差額用の郵便切手として、次の4種類の郵便切手が9月2日から販売されている。

1.  16円切手(定形郵便物25g超50g以下用(94円→110円))

2.  22円切手(通常はがき用(63円→85円))

3.  26円切手(定形郵便物25g以下用(84円→110円))

4.  40円切手(速達用(260円→300円)、定形外(規格内)50g超100g以下用(140円→180円))

・過去の料金改定の際、切手類の交換手数料が無料で行われたことがあるが、今回も同様の対応をするのか

今回の料金改定においては、切手類の無料交換は行われない。

郵便局によれば、過去に無料交換を行った際は、料金改定の周知期間が40日程度と短かった、料金の引下げであった、差額切手を発行しなかった、といった事情があった。

しかし今回は、(利用者にどれだけ周知されているかはさておき) 実施の約3か月前に新料金を通知するとともに、新料額の切手類や差額切手を料金改定の約1か月前(9月2日)から行っていることから、無料交換は行わないとしている。

手持ちの郵便切手を新料額の郵便切手に、あるいは手持ちの63円の通常はがきを新料額の85円の通常はがきと交換するには、新料額との差額および所定の手数料(1回当たりの交換請求枚数が100枚未満の場合、郵便切手1枚につき9月30日(月)までは5円、10月1日(火)以降は6円)を支払うことにより交換できる。

・料金改定前に差し出す往復はがきについて、返信部の差し出しが料金改定後になる場合には、新料金が適用されるのか

返信部の差出しが10月1日以降となる場合、新料金(85円)が適用される。そのため往信部の差出人があらかじめ返信部に85円分(会社製往復はがきを使用する場合は新料額との差額22円分)の郵便切手を貼付して差し出すか、返信部を差し出す際に差額分の郵便切手を貼付して差し出す必要がある。

・10月1日以降に、料額が63円の通常はがきを大量に差し出す場合、不足料金を一括で支払うことはできるか

郵便物1通ごとに不足料金分の郵便切手(63円の通常はがきの場合は差額の22円分)、または証紙を貼り足す必要がある。まとめて一括で支払うことはできない。

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物価上昇が生活を脅かしており、今回の郵便料金の大幅値上げも影響が大きい。一方でこうした値上げは、メールやオンライン通話が当たり前の今日、投函郵便物数のさらなる減少をもたらす可能性があり、ユニバーサルサービスとしての郵便事業は曲がり角に来ているともいえる。

消費者には新料金を踏まえた上で、郵便を利用する、しないの選択肢はあるが、利用する以上は新料金の金額、適用時期等を把握し、トラブルに巻き込まれないようにしたい 。

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