兵庫県定例議会に出席する兵庫県知事

 失職か辞職か、議会の解散かーー。

 疑惑告発文書を巡る不信任決議案が県議会で可決された斎藤元彦兵庫県知事が、9月20日にMBSの情報番組『よんチャンTV』に出演し、同日『かんさい熱視線』(NHK大阪)には中継で生出演。さらに翌21日の日本テレビ系『ウェークアップ』(日本テレビ系)にも生出演した。連日のメディア登場にSNSでは様々な声が上がっている。

《斉藤知事の1対1対談、生出演番組チラッと観たんやけど,なにあれ。やり方が怖すぎる。違和感しかない》

《読売テレビは維新の広報局と言われても仕方が無い内容。関西の人間に洗脳を仕掛けている。ここは平壌かと思う内容。》

《とても疑問です。兵庫県の斎藤知事、辞職するのか解散するのか結論を出していない現段階で、テレビに出まくって勝手な持論を繰り返しているのはなぜ?》

 斎藤知事のメディア出演の目的はいったい何なのか。

「斎藤さんとしては、自分の口から説明をしたかったんでしょう。中継なら編集をされる心配もありませんからね。特に、今回の事態を招いたのは議会にあるという主張はしたかったはずです。斎藤知事の疑惑告発文書への対応は、確かに問題があります。

 ただ、そもそも論から言えば、百条委員会を設置したのは議会です。その結論もないのに、いきなり不信任案を提出するのは、さすがに場当たり的過ぎだということでしょう。斎藤さんでなくても、当事者なら不満が生まれるのも仕方がありません。また、テレビでは何度も自身の“実績”に言及していました。なんとか世論の風向きを変えようともがいているということですね。

 いずれにせよ負けを認めることになるので、斎藤知事が辞職する可能性はほとんどないでしょう」(兵庫県政担当記者)

“パワハラ&おねだり疑惑”で日本中から総スカンを食らっている斎藤知事だが、再出馬は確実だという。

日本維新の会が関西でここまで支持を伸ばした背景は、“公務員天国”といわれる関西圏での県、市町村職員に対する有権者の反発が大きいんです。

 特に兵庫県は1972年に就任した金井元彦知事から井戸敏三前知事まで、4代に渡って知事が副知事を後継指名する、という流れが続いています。とくに多大な公共投資で県財政をひっ迫させたことへの批判があった井戸前知事に対しては、今も批判的な県民がほとんどでしょう。

 もし、斎藤知事が辞職か失職したとして、知事の立候補者が井戸前知事の県政を継承する人なら、有権者がそっぽを向く可能性は高いです。斉藤知事と県知事選を争った金澤和夫元副知事も再出馬を固辞しているといいます。“斎藤下ろし”をしたとして、県民に新たな候補者を提案できるか、自公も維新も実際、手詰まりの状況です。

 現在の斎藤知事による“メディアジャック”が功を奏し、風向きが変われば再選もあり得なくはないんですよ。県外の人からすれば、驚くべきことでしょうが……」(同前)

 有権者への“投票おねだり”が始まるわけだ。