感じる視線 振り返るといつも目が合う秋田犬 高齢の飼い主は散歩が困難に 大きな甘えん坊が出会った人は
いつも人間の後ろを追いかけ、「遊んで」アピールをしたり、体をすり寄せてくる大きな体の甘えん坊、キング。推定3歳ほどの秋田犬です。
人間が構ってくれない間も、その様子をジッと見つめるほど。視線を感じて振り返ると、キングはいつもこちらを見ています。その真っ直ぐな瞳に「しょうがないなぁ」と気を許せば、すぐにすり寄ってきて顎を乗せてきます。
こんなに愛らしいキングですが、紆余曲折を経験したワンコなのです。
子犬のときに、高齢者がペットショップで買ったワンコだった
キングは子犬の頃、92歳のおじいさんがペットショップで購入したワンコでした。
成犬へと成長するにつれ、キングの力が強くなり散歩などの場面でもリードを引っ張るように。おじいさんは毎日散歩に連れて行くことができなくなり、キングの幸せを考えて手放すことにしました。後に静岡県の保護団体・スリール〜犬達の幸せ探し〜のスタッフが交代で、キングの日々の散歩をサポートし、里親募集を呼びかけることになりました。
秋田犬と言うと、飼い主に従順な一方、そうでない人間や初対面の人には懐かないようなイメージを持つ人も多そうです。しかし、キングは初対面の人間や他のワンコともすぐに打ち解ける明るい性格。人間になでてもらったり、他のワンコと触れ合う場面では屈託のない笑顔を見せる性格良好のワンコでした。
外飼いだったキングが初めて室内生活に挑戦
キングは団体が主催する譲渡会などにも積極的に参加。約3カ月が経過した頃、「キングの姿に一目惚れした」という里親希望者さんが現れました。
「今はおじいさんの元で過ごしているのでしょうが、毎日散歩に連れて行ってもらえないのはかわいそうだ」と、トライアル時期を早めてくれました。外飼いだったキングは、里親希望者さんの家での室内生活に戸惑う様子でしたが、持ち前の明るさと甘えん坊ぶりですぐになじみました。
日を重ねるごとに笑顔を見せる時間が増えていった
夜、里親希望者さんが寝室に入ると、「僕をひとりぼっちにしないで」と鳴いてしまうほど。また、この家にいる先住犬ともすぐに打ち解け、良い意味での犬社会の師弟関係もでき、見事キングはこの家に迎えられました。
「キングにとって不安がない犬生にしてあげたい」と里親さんは言います。その優しさはキングにきっと通じているでしょう。
(まいどなニュース特約・松田 義人)