角田大河騎手

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 日本中央競馬会(JRA)で前代未聞の不祥事が発覚した。夜間、騎手が競馬場のターフを馬ではなく“乗用車”に乗って疾走したのだ。理由は「花火大会を見たかったから」。しかも、その騎手は問題発覚後、“行方不明”になっているというのである。「デイリー新潮」が複数の関係者から入手した画像に映っていた“驚愕の光景”とは――。

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【写真】ライトを点けて函館競馬場のターフを疾走する「黒っぽい乗用車」。拡大すると助手席にも人の影が

誰もいないはずの夜の競馬場に

 画像に映るのは、闇に包まれた競馬場のターフを、ライトを点けながら疾走する黒っぽい乗用車だ。セダンかワゴンタイプに見える車は、“向こう正面”を左回りにゴールに向かって走っている。

角田大河騎手

 画質が悪いのではっきりとはわからないが、拡大すると助手席にも誰かが座っている様子が確認できる。

 この画像は8月1日午後8時すぎ、JRA関係者によって撮影されたものだ。目撃した関係者は驚愕したに違いない。

 函館競馬場は7月14日で開催期間を終え現在は調教施設として利用されているが、調教は午前中に終わっていた。本来、誰もいないはずの時間帯なのだ。

 警備員が車を停止させ、運転していた人物が発覚した。今年3年目の角田大河騎手(21)だった。デビューした2022年に36勝を挙げ、新人騎手特別賞を受賞した、将来を嘱望されている若手ジョッキーである。角田はターフに侵入した理由を聞かれ、「(同日、市内で開催されていた)花火大会を鑑賞したかったから」と語ったという。

誰もが疑った「飲酒」

 だが、その言葉を聞いて納得する競馬関係者は皆無だ。ベテラン競馬記者は言う。

「騎手は馬場の荒れ具合を常に頭に入れながら騎乗します。荒れた馬場を走れば馬が転倒して大事故につながりかねないからです。ターフに車を乗り入れて芝を荒らすなんて騎手として絶対にありえない行為です」

 そのため、この話を聞いた誰もが「飲酒」を疑ったという。

「バレなきゃ大丈夫だとか、軽い気持ちでやるような行動ではありません。常軌を逸した行為と言うほかないですよ」(同)

 だが、翌2日午後3時頃にJRAが公表した角田への処分に「飲酒」は含まれていなかった。

 JRAは、自動車で侵入して芝コースを損傷させた行為について「重大な非行」があったとだけ指摘し、8月3日から裁定委員会の議定があるまで騎乗停止処分にしたと発表した。

 前述した通り同乗者もいたはずなのだが、それについても言及はなかった。

「もし競馬関係者だったとすれば併せて処分されているはずだから、知人だったのではないか。関係者の間では女性が乗っていたのではと憶測されています」(同)

「飲酒より重たい冒涜行為」

 JRAは角田の処分と同時に、別の飲酒不祥事を公表した。角田が侵入事件を起こした数時間後の2日午前3時頃、松若風馬騎手(28)が滋賀県草津市内で自動車を運転中に物損事故を起こし、酒気帯び運転で立件されていたのだ。松若にも角田と同様、騎乗停止処分が下された。

 一見、刑事事件になった松若の方が重大そうな話に思えるが、記者は首を横に振る。

「もちろん社会的には飲酒運転の方が大問題ですが、我々競馬関係者から見れば、レースをする神聖な場を荒らした角田の方が罪深く感じます。競馬を冒涜したに等しい行為だからです」

 しかも話はこれで終わらないのだ。記者が続ける。

「角田は事件を起こした翌日の午前中にJRAから事情聴取を受けたのですが、それきり連絡が取れなくなっているのです」

JRAの回答

 いま競馬関係者の間で広まっているのは、角田が「電車と接触事故を起こしたのではないか」という情報だ。角田の処分が発表される1時間ほど前の2日午後3時過ぎ、札幌市内の駅構内で20代男性の死亡事故が発生しており、報道もされている。

 いま業界の誰もがこの件を話題にしており、記者会もJRAに説明を求め続けているが、

「いくら聞いても何も語ろうとしないので事実がはっきりしないのです。いずれにしろ角田が何らかの事件・事故に巻き込まれたのは間違いなさそうです。なぜならば親族も含めて誰も本人と連絡が取れないままだからです」(前出・記者)

 JRAに取材を申し込んだところ次のような回答だった。

1、電車事故に遭ったという話は事実か。
「承知しておりません」
2、本人と連絡を取れているのか。
「お答えすることはできません」
3、飲酒していた事実はないか。
「本人は飲酒していないと主張しています。侵入した理由については『花火大会を見たかった』と話しております」
4、同乗者はどういった人物なのか。
「同乗者は1名おりましたが、それ以上についてはお答えできません」

 角田は昨年5月にも、使用が禁止されている場でスマホを利用したとして他の若手騎手5人とともに30日間の騎乗停止処分を受けていた。

「角田の家は父親が調教師、兄もジョッキーという競馬一家です。スマホ事件で処分を受けたばかりなのに、またやらかしてしまった自責の念に苦しんでいたはず。早まったことをしていなければ良いのですが……」(同)

デイリー新潮編集部