井上尚弥VSネリに異例の“控え”選手用意 突然の中止対策、元世界王者ドヘニーが東京D興行参戦
井上尚弥が練習公開
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）が10日、神奈川・横浜市内の所属ジムで練習を公開した。5月6日に東京Dで元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ（メキシコ）との防衛戦を予定。公開練習は試合10日ほど前が通例だが、今回は31歳の誕生日当日になった。陣営の大橋秀行会長は体重超過など不測の事態に備え、メインイベントのリザーブカードを用意。興行内でスーパーバンタム級8回戦が行われ、元IBF世界同級王者TJ・ドヘニー（アイルランド）が参戦する。戦績は井上が26勝（23KO）、29歳のネリが35勝（27KO）1敗。
日本では異例の準備が整えられた。この日は練習前に井上、父・真吾トレーナーと会見した大橋会長。元世界王者のドヘニーが井上―ネリ戦のリザーバーになることを明かした。スーパーバンタム級8回戦でブリル・バヨゴス（フィリピン）と対戦する準備を進め、万が一メインイベントに欠場者が出れば、もう片方の選手と対戦する。
大橋会長は「ドヘニーは（大橋ジムの興行に）過去2回出ています。信頼関係もありますので。リザーバーの条件も承知してくれている。そうならないことを祈りますが」と説明。「井上が体重オーバーして、ドヘニーとネリがやることはないでしょう」と井上の準備に自信を見せ、体重超過の恐れのあるネリの調整にプレッシャーをかける意味もあるかとの問いに「そうですね」と明かした。
オーストラリア在住のドヘニーは、アイルランド国籍を持つ37歳のサウスポー。2012年4月にデビューすると、18年8月には初防衛戦だった岩佐亮佑に判定勝ちし、IBF世界同級王座を奪取した。19年4月にWBA王者ダニエル・ローマン（米国）との統一戦に敗れて王座陥落。昨年10月には後楽園ホールでジェフ・ラミド（米国）に初回TKO勝ちし、WBOアジアパシフィック同級王座の初防衛に成功した。戦績はドヘニーが25勝（19KO）4敗、バヨゴスは7勝（2KO）1分け。
井上とネリは6日にWBC独自ルールの試合1か月前計量に臨んだ。スーパーバンタム級のリミットは55.3キロ。1か月前はリミットの10％、15日前は5％、7日前は3％が上限とされ、両者ともそれぞれの調整場所で上限60.83キロをクリアした。大橋会長によると、ネリは130.5ポンド（約59.19キロ）でパス。「体重も（拠点の）米国でしっかり管理されて集中していると聞いています」と説明した。
この日の井上は公開練習ではシャドー2回、サンドバッグ2回をこなし、キレのある動きを披露。異例のリザーバーが用意されたことには「日本では珍しいですが、海外ではよくあることかなと。しっかり対応したいと思います」と話すに留め、標準はもちろんネリに。「この試合をクリアしたら次は夏と12月。今年3試合をこなしたい」と息巻いた。
（THE ANSWER編集部）
