by Jillian Northrup

ゲーム開発プラットフォームのUnityが2023年9月12日に、突然「ユーザーがダウンロード・インストールした回数をもとに利用料金を決める」という新しい料金システム「Unity Runtime Fee」の導入を発表しました。この料金システムの導入について、多くのゲーム開発者が怒りや失望の声明をコメントしています。

Unity’s new “per-install” pricing enrages the game development community | Ars Technica

https://arstechnica.com/gaming/2023/09/game-developers-unite-against-unitys-new-per-install-pricing-structure/

Unity reveals plans to charge per game install, drawing criticism from development community | Eurogamer.net

https://www.eurogamer.net/unity-reveals-plans-to-charge-per-game-install-drawing-criticism-from-development-community

Unity Runtime Feeがどういう料金体系なのかは、以下の記事を読むとわかります。

Unityが「ゲームがインストールされるたびに手数料発生」の価格体系を導入してゲーム開発者が激怒、年額約5万円の「Unity Plus」も新規受付停止に - GIGAZINE



デッキ構築型のローグライクカードゲーム「Slay the Spire」の開発元であるMega CritはUnityを用いて2年以上にわたって新作の開発を続けていたことを明らかにし、「Unity Runtime Feeの導入は開発者、特にインディーズにとって限りなく有害であるだけでなく、信頼を損なうものです」とUnityを批判しました。さらに、GitHubからUnityが利用規約を削除したことについても言及し、料金システムと利用規約を元に戻さない限りはUnityではなく別のエンジンを使うと表明。Mega Critは最後に「私たちはこれまで公式声明を出してきたことなんてありませんでした。それだけあなたたちが最悪にめちゃくちゃなことをしたということです」と怒りのコメントを述べています。



2020年に突如として世界中で大ブームとなった宇宙人狼ゲーム「Among Us」の開発スタジオであるInnerslothは、「Unityの料金改定によって、他のプラットフォームに移植したいゲームのコンテンツや機能の実装が遅れることになります」と語り、Unityの料金改定に異を唱えています。



カルト教団運営アクションゲーム「Cult of the Lamb」の開発スタジオであるMassive Monsterは、Unity Runtime Feeの導入反対を強く訴えました。



また、Unity Runtime Feeが2024年から導入されることを受け、「Cult of the Lamb」の公式Xアカウントは、2024年1月1日でSteamをはじめとするゲームストアから「Cult of the Lamb」を削除することを表明し、プレイしたい人は今のうちに購入するよう促しました。

スマートフォン向けゲームアプリなどを手がけるNecrosoft Gamesののブランドン・シェフィールド氏は公式ブログに「The Death of Unity(Unityの死)」と題した記事を投稿。その中でシェフィールド氏は、「新しいゲーム開発プロジェクトを開始する場合、Unityを使用しないでくださいとはっきり言えます。Unityはまったく信頼できる企業ではありません」と主張しました。

さらに、シェフィールド氏は「ジョン・リッチティエロ氏がUnityのCEOに就任してから、Unityはメンテナンスされていない機能を実装して不安定になり、同時に奇妙なビジネスモデルを展開するようになって、着実に衰退していきました」と述べ、「Unity は金を求めて必死に墓穴を掘っています」と批判しています。

海外のオンライン掲示板サイト・Redditでは、子ども向けモバイルゲームの開発者であるNo_Storm7311氏が、「Unityの新しい料金システムを適用した場合、2024年は自分たちの収益の109%をUnityに支払わなければならない計算になります」と報告しました。No_Storm7311氏は「私たちは自分たちのゲームに広告を表示していません。このゲームを収益化する唯一の方法はアプリ内購入を通じてです。ユーザーを収益化する方法と金額を決定するのは、Unityではなく私たちの責任であるべきです」と述べ、リッチティエロ氏は「ゲーム市場についての無知」を理由に解雇されるべきだと主張しました。

Unity wants 108% of our gross revenue
byu/No_Storm7311 inUnity3D


ゲームスタジオ・Size Five Gamesのクリエイターであるダン・マーシャル氏はゲーム関連ニュースサイトのEurogamerに対して、「これは完全に大惨事です。私はできるだけ早くUnreal Engineに移行するつもりです。しかし、ほとんどのインディースタジオには、この種のクソみたいなロジスティクスに対処するためのリソースがまったくありません」と述べています。また、インストール回数に応じて料金の支払いを求めることについて、「インストールの回数がどのように追跡されているのかは非常に曖昧で、中途半端に設定されているように感じます。誰かがSteamでゲームを購入して、3台のPCにインストールした場合、開発者は3回料金を支払わなければならないのですか? そうなったら最悪です。Gamepassのようなサブスクリプションサービスが突然大きな頭痛の種になります」と述べています。

オープンワールドアクションゲーム「The Falconeer」の開発者であるトーマス・サラ氏は「私はすでに新作ゲームのためにUnityにコミットしています。リリース間近の今になって、Unityは私に何か新しいことを言ってきました。値上げではなく、一緒にビジネスをする方法の根本的な変更です。私に選択肢はなく、後戻りもできない。これは一種の恐喝です」とコメント。



ステルスホラーFPS「Gloomwood」の開発者であるディロン・ロジャース氏は「例え料金改定がなかったことになったとしても、GloomwoodがUnityで開発する最後のゲームになることは間違いありません」と述べ、Unityを今後開発に使わない意思を示しました。