元浪費家の蓄財系整理収納アドバイザー・なごみーさんが語る、整理収納と節約の関係とは?(写真:なごみーさんのブログより)

2LDKの賃貸アパートに夫婦と子ども4人の6人で暮らしながら、10年かけて1100万の貯蓄(投資による含み益を含む)をしたなごみーさん。自身の実体験から「片付けは節約貯蓄につながる」と考え、インスタグラムやブログではすっきり暮らすアイデアや整理収納のコツを発信している。

8月31日にはKADOKAWAから『ポンコツ4児母ちゃん、家を片付けたら1000万円貯まった!』の発売を予定している(※本執筆当時は貯蓄1000万、現在は1100万に)。

前回は、なごみーさんが消費者金融から100万の借金を抱えてしまった頃から、節約貯金ができるようになり、子育てをしながら働き方を選択した今までの道のりを紹介した。今回は、整理収納と節約の関係や、子どもの教育費、家族みんなが楽しめるお金の使い方について、節約系YouTuberである私くらま(「倹者の流儀」)が話を聞いていく。

(前回記事:6人家族、借金生活から1100万貯金に転じた節約法)

部屋の整理整頓が節約につながる

家計のやりくりを試行錯誤していく中で、なごみーさんは「貯金と部屋の整理収納には密接な関係がある」の気づきに至ったという。


浪費家から節約家に転身したなごみーさん(写真左)に、くらまがインタビューします!(東洋経済オンライン編集部撮影)なごみーさんとくらまさん

「身をもって実感した出来事があります。頂き物のお下がりの子ども服を、まだサイズが合わないからと押し入れの奥にしまっていたんですよ。その後すっかり忘れてしまい、必要になった時は新たに買っていました。お金がかかるなと思いながら……。物をきちんと管理できていればもっと節約貯金ができていたのにと痛感しました」

そこから部屋を片付けることにのめり込み、整理収納アドバイザー1級資格を取得するほどハマったという。部屋が片付くと心も頭もすっきりする、その上貯金も増えるようになった。

「収納が限られている分、物の厳選が必要になります。基本的に物はすべてレギュラーで、使うものしか持たないようにしました。選ぶ過程で『自分にとって1番大事なことは何だろう』と向き合うチャンスにもなりました」


部屋を片付けることは、節約マインドを育てることにもつながる。「自分にとって何が大事か」と向き合うことになるからだ(写真:なごみーさんのインスタグラムより)

服は1人につきワンシーズン3セットで賄っている。服をたくさん持っていても、自分の体は一つ。だから3セットあれば十分との考え方だ。衣類が少ないのでかさばらず、家族6人分を収納スペースにすっきり納められる。


なごみーさんの節約術&収納術は多くの共感を集め、テレビ取材も相次いでいる(出所:YouTube)

子どもたちの物は「思い出ボックス」を1人に1つ与えて、そこに入るものを自分で選別して管理してもらうように対応。

2LDKで家族6人でも、部屋が片付いているからこそ十分暮らせるのだという。子どもが成長したらどうするかはまだ決めていないが、現時点では今以上の広さは求めていない。だから家賃を上げずに生活できている。

「自立できるように」が子育ての基本方針

節約する一方で、お金をかけているのが教育費だ。現在貯金している目的も、子どもの教育費。1人につき1000万円で、4人で4000万貯めるのが目標だ。現在の貯蓄額は1100万円で、大体1人分が貯まったところだ。

「うちは子どもが18歳になったら家を出すと決めているんですね。教育費に500万円、仕送りで500万円という内訳で、1人当たり1000万円を貯めておきたいと考えています。ずっと家にいたら親に守られている環境なので、いずれ巣立って自立できるようになるためにも、18歳から家を出たほうが経験も積めるかなと考えています」

自立できるように育てるというのが、なごみー家の基本方針。子どもへのお小遣いは、お手伝いしたら1回20円がもらえるルール。働いてお金を稼ぐことを学ばせているのだという。その後、元旦に最終的に貯金箱に残っているお金に対して10%の利子をつけてあげることで、元手によって差が出ることを知ってもらうそう。家の本棚にも、マネー系の漫画を置いて子どもが手に取れるようにしている。

さらに、教育費の積み立て以外にも、子ども4人で月に7万3000円の予算を組んでいる。

「子どもがやりたいと言ったことはかなえてあげたいのが夫婦共通の思いです。習い事は『文武両道』の考えで、勉強系1つとスポーツ系1つ、と1人につき2つまでで考えています」

月謝は1つ7000〜8000円くらい。1人大体1万5000円ぐらいが習い事の費用になる。習い事には、習う内容以上の効果もあるのだという。

「家庭学習は私が見てあげられなくなってきたというのもあります。そして、プロに教えてもらえることや、私や夫ではなく先生に褒めてもらえる経験は、子どもたちにとって貴重なのではないかと思い、そこにはお金をかけたいと思うようになりました」


子どもたちの習い事にはしっかりお金を出している。管理が大変で、カレンダーは基本ぎっしりだ(写真:なごみー☺︎6人家族2LDK賃貸暮らしインスタグラムより)

家計の中で、夫婦のお小遣いは夫は2万円、なごみーさんは5000円と少なめ。教育費にお金をかけている分、ここは削らざるを得ないそうだ。「ポイ活で得たポイントで賄えるのでこれで十分なんです」となごみーさんは語るが、それでも豪遊はできないだろう。仕事に家事に子育てにと、忙しいと「自分のための時間やお金」が欲しくなることはないのだろうか?

夫婦のお小遣いは少なめ、でも家族で楽しむことで活力に

「でも、結局みんなで楽しむことにお小遣いを使うのが楽しいんですよね。夫は甘いものを食べたくなった時によくミスドを買ってきてくれて家族みんなで食べます。私も夫も家族で楽しめることが、ストレス解消やまた明日頑張る気力にもつながっているように思います」

なごみーさん一家の一大イベントは、年に一回の家族旅行。ここでは大奮発すると決めているそうだ。

「去年は星野リゾートの『リゾナーレ熱海』に行きました。旅行中は、子どもたちに『ママは旅行にお金を使いに来ている!』『今日は何でも買ってあげる』と宣言しています。その分すごくいい思い出になっていて、その後もずっと、子どもたちがホテルのあれが楽しかったとか、あのプールもう一回行きたいとか、たくさん言ってくれるんですよ。そうしているうちに一年経って、今年はどこ行こうかと話しています」

家族旅行の費用は、毎月積み立てた「特別出費用積み立て」から予算を組む。「特別出費用積み立て」は家族旅行以外にも、家賃の更新料、車検費用、車の税金、子どもの誕生日、クリスマスと、1〜2年以内に出ることが決まっているお金を計算して積み立てている。大体月々5万円を積み立てだ(家計簿は前編に記載)。

こうしておくと、積み立てたお金はしっかり旅行に使えるので、「貯めるのがクセになってお金が使えなくなる」といった事態を防げる。そして、貯金額とは別に考えられるので、「今月は出費が多くて貯金が減った」とモチベーションが下がらないのが利点だという。

「特別出費用積み立てをやる前は、一生懸命苦労して貯めたのにまた税金で減る、みたいな感じでがっかりしていたんですけど。違う、これは払わなきゃいけないってわかっているんだからプールしておかなきゃと、分けて考えるようになりました」

こうした家計管理方法で、メリハリのあるお金の使い方ができているそうだ。



上は特別費の管理の写真。翌年以降分も意識しつつ、管理していることがわかる。下は憧れだった星野リゾート『リゾナーレ熱海』に行った時の写真。使うときはしっかり使うのも、節約生活を続けるコツだ(写真:なごみーさんのブログとインスタグラムより)

なごみーさんは独身時代も含めると、節約や貯金に失敗しながらも、何度も立ち上がり試行錯誤をして取り組んできた。節約や貯金がうまくいかずに断念してしまったり、停滞してしまう人も多い。その状態を打開して1000万の貯蓄ができた秘訣は何なのだろうか?

節約はつまずいても、続けるのが大事

「今まで節約をしてこなかった人がつまずくのは当たり前なんですよね。でも、今までできなかった状態から抜け出すには、苦労すると思います。だからつまずいてもいいと思います。大事なのはつまずいても辞めないことです。例えば毎月3万貯金すると決めていたけれど、途中で何かあって厳しくなったとします。こういう時には少しの金額、5000円くらいでもいいから貯金を続けるのは大事だと思います」

そして、ある程度貯金ができるようになったら、投資などで「お金に働いてもらう」ことを考えるのも大事だという。

「最初『お金に働いてもらう』という言葉を聞いたときにめちゃくちゃ違和感があったんですね。『え!? お金って働けるの?』みたいな。最初は投資と聞いただけで怖かったのですが、調べて理解を深めていくと、恐怖感はなくなりました。もちろん投資にはリスクもありますが、今はNISAやiDeCoなど税制が優遇される制度もありますし、貯金を引き出しやすいところに置いておくと使ってしまう可能性があるので、いいかなと判断して始めました」

生活防衛資金として100万円を預金に残し、あとは積み立てNISAやiDeCo、ジュニアNISAに。非課税口座の枠を最大限に活用している。


インデックスファンドの長期投資も始めている(写真:なごみーさんのインスタグラムより)

子どもたちを送り出して、将来孫が生まれたら、三世代旅行に連れていくのが夢だという。

「お金は全部ばあちゃんが出すから、休みだけを取ってって言いたい。そういうばあちゃんになりたいですね。家族を笑顔にする方法はお金をかけなくてもいくらでもあると思うんですけど、お金をバーンと使って楽しむっていうのもまた一つの手かなと思っています。お金持ちのおばあちゃんになりたいですね。お小遣いもらいに孫が会いに来るので全然いいんですよ」


今年は、両親との3世代旅行にも行った。若い頃に不安な想いをさせてきたこともあり、親孝行は今後もしっかりしていくつもりだ(写真:なごみーさんのインスタグラムより)

夢は金持ちばあちゃん

借金時代を振り返ると、お金のことばかり考えていたという。「どうやって返そう」とか「あといくらある」という不安ばかり募る日々だった。

「お金は人生を楽しむための道具なのに、あの頃はすごく振り回されていました。今は心の余裕ができて、老後も含めた未来に対して前向きな気持ちになってきました」

なごみーさんにとって節約とは、欲望に優先順位をつける手段だという。なんでも節約していると苦しくなる、しかし全部にお金をかけていたらいくらお金があっても足りない。

「例えば来年ハワイ旅行に行くという目標があったら、毎日のコンビニコーヒーとか少し我慢できますよね。目標や楽しみがあるから節約できる、この優先順位をつける手段が節約かなと思います」

最後に、お金を貯めたい人へのメッセージをもらった。

「今はYouTube、インスタグラムやブログなどお金の情報を無料でたくさん収集できる時代です。そういうのをいかに自分の生活に活用していくかが本当に大事だと思います。

そして、節約のコツについては、大体みなさん同じことを仰っているので、やるべきことの答えはすでに出ています。あとは、やるかやらないか、それだけです。今頑張っておけば将来の自分を助けてあげられますし、私自身『頑張ってくれた過去の自分に感謝』と思わない日はありません。

人それぞれ収入や状況の違いはあると思うんですけど、違うからと遠ざけずに、参考になる情報を自分の糧にできたらいいなと思います。みんな、節約や生活を頑張る同志のようなもの。だから一緒に頑張りましょう!」


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(くらま : 倹者の流儀/節約系ユーチューバー)