二度の離婚を経験し、今は独身生活を謳歌している野崎真紀子さん(筆者撮影)

アラフォーというと仕事が波に乗って楽しくなり始めたり、育児に追われている人もいたりする世代だ。そんなアラフォー世代が離婚をすると、仕事やプライベートでどんな変化が待っているのか――。20代のときと38歳のとき、二度の離婚を経験した45歳の女性に話を聞いた。

二度目の離婚前は貧乏生活

今回取材したのは官能小説家とネイリストの二足のわらじを履いている野崎真紀子さん(仮名、45歳)。約束していた喫茶店に現れた野崎さんは可愛らしい童顔の女性だった。野崎さんは20代のときと38歳のとき、二度離婚をしている。

「最初の結婚のときは相手がお金持ちだったので専業主婦をしていました。でもその優雅な生活に飽きてしまい、駆け落ちして二度目の結婚をしたのが30歳のときです。でも、二度目の結婚相手の浮気癖がひどくて離婚裁判までして38歳のとき二度目の離婚をしました」

二度目の結婚相手はフリーターで月に15万円ほどしか稼いでいなかったので野崎さんも飲食店でパートをする生活が始まった。パートでは5万円ほどしか稼げないのでカツカツの生活を送っていた。実は野崎さんは結婚前の20代前半に、一度ティーン向け小説家としてデビューしている。

「もともとは漫画家志望で高校卒業後はいろんな出版社に漫画の持ち込みをしていました。でもなかなかデビューに至らず、小説に路線変更したら大手出版社からデビューできたんです。結婚後しばらく本は出していませんでしたが、趣味として官能小説を書いて自分のホームページにアップしていたら、個人サイトにもかかわらずものすごい閲覧数で、世の中にはエッチな小説を読みたい人がこんなにいるんだと思いました」

自活するために手に職を得る

転機は二度目の結婚で元夫の浮気が発覚したとき。離婚すると決めたら自活しないといけないと思い、本格的に官能小説を執筆し官能小説の大きな賞を受賞した。受賞後は官能小説や恋愛エッセイの仕事が増え、自活できるほど稼げるようになった。

「離婚を決めたら自活できるだけの収入を得ることが大事です。私はダメンズが好きなので今までにたくさんのダメンズネタがあります。それをエッセイのネタにして書いてきました。

離婚後はお金を自由に使えるようになったことがうれしかったです。結婚していた頃はとにかく貧乏だったのですが、化粧品や服が買えるようになって、昔の自分はなんてかわいそうだったのだろうと。友達も、『お金がなさそうだったから気軽に遊びに誘えなかった』と言っていて、離婚後はお金を気にすることなく友達とも遊べるようになりました。

結婚前はずっと実家で暮らしていたので、38歳にして初めての一人暮らしになったんです。一人暮らしを始めたら家事も一人分で済むしとても楽で自由を手に入れられました。ストレスがなくなったせいか白髪も減りました(笑)」

ちなみに一度目の結婚でも二度目の結婚でも子どもはいない。野崎さんは子どもの扱いが得意でないため、子どもが欲しいと思ったことがないという。

執筆業で稼げるようになった野崎さんだが、現在は出版不況と言われている。雑誌が次々と廃刊し、野崎さんが執筆している媒体もどんどんなくなってしまったので、収入が少ない月は熟女パブで働くようにもなった。そんな頃、世がコロナ禍に突入して熟女パブにも出勤できなくなってしまった。

「あるとき友達がジェルネイルのセットを持ってうちに遊びに来て、ネイルをしてくれたんです。それで、こんなに簡単にネイルってできるんだと思い、自分でもネイルセットを購入してネイルの練習を始めました。友人の爪やネイルチップでひたすら練習をしていたらどんどん上達して、コロナ禍に自宅でネイルサロンを開業しました」

もともと漫画家志望だった野崎さんはイラストも得意だ。そのため、漫画やアニメのキャラを爪に描く「痛ネイル」も引き受けているそうだ。今は午前中に原稿を書き、午後から3人ほどお客さんにネイルを施している。

今後の結婚願望はなし。独身生活が最高

離婚後は恋愛もしたが、婦人科系の病気をして入院や手術をしていたことからしばらく恋愛はお休みしていたという。以前はとにかく衝動的に恋愛していたが、今は4年前にSNSを通じて知り合った男性と落ち着いた恋愛をしている。

「毎日電話をしていた時期もありましたが、今は数日に一度程度で会うのも1〜2カ月に一度です。今後の結婚願望はありません。もう男の人の世話をするのが嫌になってしまって。また、男性読者の多い官能小説家としては恋人がいることの公表を控えていたのですが、イベントを行った際にストーカー気質の読者さんに悩まされたこともあり、今はSNS上で恋人がいることを公表しています」

野崎さんはフリーランスだ。筆者もそうだが、フリーランスに退職金はないし、もらえる年金も微々たるものだ。野崎さんは体が動く限り小説家とネイリストとして働き続けたいと語る。また、老後に独身だと寂しくないのかという問いに関しては、周りにアラフィフで独身の友達が何人かいるので、その独身女性同士シェアハウスで暮らせたらいいと思っているそうだ。

独身生活が最高だと語る野崎さん。今後も野崎さんは小説家兼ネイリストとして活躍していくことだろう。

本連載ではアラフォー世代で離婚された人が離婚後にどのような変化があり、どんな生活を送っているかの体験談を募集しております。取材の申し込みは以下(https://form.toyokeizai.net/enquete/tko2210b/)よりお願いいたします。


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(姫野 桂 : フリーライター)