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ストレス社会では、誰もが他人を攻撃する「ゆるサイコパス」になる恐れがある。また、被害者になるのを避けるためには、人間関係のポジション替えが大切だ。社会問題になりつつある他者への攻撃を防ぐ考え方をプロが解説。

※本稿は、高品孝之『攻撃する人の心理がわかる本』(自由国民社)の一部を抜粋・編集したものです。

「人間ドラマの三角形」でポジションを替えていこう

 武術には合気道のように相手の力を自分の攻撃に利用するという技術があります。

 相手の力が強ければ強いほど反撃する力も増大するため、最小の力で相手をやっつけることができます。

 いじめやパワハラなどの心の攻撃にも同じような方法があります。それは、「人間ドラマの三角形」を使うこと。これは約50年前に、スティーブン・カープマンという人が提唱した法則です。

 この法則では、特定の人からいじめや暴言などの攻撃を受けた時、「攻撃をする者」「攻撃を受ける者」「攻撃を受ける者を援助する者」の三者の立場に分けて考えていきます。

 例えば、学校である生徒がいじめられている場合は、「いじめている側」「いじめられている側」「いじめられている子をサポートする保護者や教師などの第三者」という3つの役に分けられます。

 カープマンは、攻撃をする者を「迫害者」、攻撃を受ける者を「犠牲者」、攻撃を受ける者を援助する者を「救済者」と名づけているので、本書もこの用語で説明します。

 なお、救済者には、実際に犠牲者を強く救済してくれる人だけではなく、救済する立場にいるけれども実際には救済していない人をも含めます。

 例えば、いじめられている生徒を救済するはずの教師であっても、いじめられている生徒がその事実を訴えているのに何もしてくれないことがあるかもしれません。それでも、その教師もとりあえず救済者とします。

 救済しているポーズをしているけれど本質的に救済につながっていない場合もあるかもしれません。いじめられている生徒の相談には乗るけれど、いじめられている生徒に強い働きかけをしない教師などがいればこれに当たります。

 カープマンの「人間ドラマの三角形」のポイントは、「迫害者」「犠牲者」「救済者」は、簡単にポジションが替わるということです。

 救済者だった教師が迫害者に替わったり、犠牲者であるいじめられている生徒が救済者に回ったりすることがあるということです。

 ということは、迫害者であるいじめている生徒を犠牲者のポジションに導くこともできるのです。

 では、ポジションを替えるためにはどうすればよいでしょうか。

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