首相が３代「大嘘つき」 現実がギャグを超えている－松尾貴史インタビュー - BLOGOS編集部
※この記事は2012年07月19日にBLOGOSで公開されたものです
松尾貴史氏が企画・総合演出・主演を務めるコメディCGアニメDVD「キッチュニア」が、3巻同時リリースされた。「何故、安全神話は崩れたか？ 」、「愛すべき懲りない人々 」、「騙されない為の１７の処方箋 」の3篇。世界の後ろ暗い場所にある、俗悪でインチキな架空の街「キッチュニア」を舞台にした作品なのだが、どう見てもあの首相、どう見ても話題のあの人などが続々登場し、インチキな物語が進行する。現代社会、政治に対する風刺満載の作品を手がけた、BLOGOS読者でもある松尾貴史氏にお話を伺った。（6月25日取材）【BLOGOS編集部 田野幸伸】
情報は疑ってかかる
――昨年はBLOGOSアワードにお越し頂きました。普段BLOGOSの記事を読んで頂いているということですが、どこで見かけることが多いですか？松尾:livedoorからのメール（メルマガ）が来るじゃないですか？そこにニュースの項目がズラーッと出ていて、クリックするとそのニュースページに飛ぶ。本文とか全文というところを押すとBLOGOSに入っていく。そんな感じですね。あとはTwitterで気になる引用をしている時に、URLを押すとまたBLOGOSだったりとか。そういうことも多いですね。
――普段コメンテーターをされていて、ニュースに触れる機会もすごく多いと思います、朝起きられてどういう順番で情報に接していますか？
松尾:まず起きたら、Twitterをちょっとだけ。前は少なかったのですが、こっちがフォローしているアカウントが900とかになっちゃって。運みたいなものですよ。それをだーっと見て気になったものだけを、ほんとかなあと思いながら見て。そこから新聞受けに新聞を取りに行って、あとはテレビの情報番組とかニュースをぼやっと見る。そういう順番が多いですね。毎日不規則なので、この通りじゃないこともありますが。
――情報番組には、どういうインプットをしてから出演されていますか？
松尾:どっちかと言うと懐疑主義だと思います。大きなメディアが報じているというのと、小規模なメディアで書かれているようなことに先入観を持たないようにはしています。でも、小さい頃からテレビっ子で育っているので、テレビが言っていることには何か理由があると考えています。
「理由が」というのは、事実かどうかは別にして、こういうふうに伝えられているのには何か理由があるんだろうなって。今日も国会の女性記者の人が「民主党の議員の中で離党しようかどうか悩んでいてあがいている模様です」「あがいている」って（苦笑）。
――（苦笑）
松尾:そこまで貶める必要はないだろうって。いや、悩んでいるとかね、迷っている議員もいるでしょうならわかりますが、「あがいている」というのは、あくまでも悪感情というか。
――そうですね。
松尾:わざと貶めようとして使う単語じゃないですか。たぶん原稿通りに読んでいるでしょうから、原稿を書いた段階でそういうバイアスがもうかかっているんだなあという印象を持ってしまった。そうするとその記者の言っていることが、説得力を持たなくなってしまう。
中立でなきゃいけないと思うんです。どんな場でも。小沢が好き嫌いというレベルの話でないと思うんです。どう考えても彼、あるいはそのグループが嫌いという人が書いている文章じゃないですか。そうすると、このニュースに関しては信用出来ないなってなっちゃう。根拠じゃなくて、印象だけなんです。僕は動物的に反応するので、おやおやと思ったんです。
――良い使い方しないですからね、「あがく」という言葉は。
松尾:あがくというのは、足で掻くわけでしょ？あがけあがけということでしょ？これは言葉選びのセンスが悪いのか良いのか。良いとしたらよっぽど悪意を持っているし、悪いとしたらただ日本語が拙いだけ。どっちにしても信用ならないじゃないですか。
造反というのも前から言っています。国民との約束に造反している民主党が、それを守ろうと言った人を造反だというレッテルを貼って処分するというのは。もちろん組織としては当然なのでしょうが。気色の悪い話だと思います。
芸人は不謹慎だからこそ「芸人」
――キッチュニアを拝見させて頂きました。風刺ですとか皮肉というのは昔から世界中で、政治や権力に対してずっとやられてきたと思います。今日特に伺いたいと思っていたのは、どう政情を楽しんで見るのか。皮肉りながら、問題提起をしながらも、どうやったら少しでも政治を面白く見ることができるのかと。松尾:現実の方がギャグを超えているような。
――感じました。
松尾:だってそこまであからさまに嘘をつきますか？ということが平気で行われている。まず、三代の総理大臣がみんな大嘘つきだけど、みんな質が違うんですよね。
――鳩山さん、菅さん、そして野田さん。
松尾:鳩山さんの場合は、単に心をこめた能力不足なんですよ。
――能力不足（苦笑）。
松尾:菅さんの場合は、心ない能力不足なんですよ。
――なるほど。
松尾:野田さんはおためごかしのお役人のための政治。
――そうですね。
松尾:ちょっとずつ質が違うんですが、共通しているのは大嘘つき。
――よく泣く政治家のエピソードがありました。
松尾:あれは多分発想は海江田さんからです。人の命と財産と生活を預かっている、不特定多数の生活や命を守ろうという政治家が、個人的な感情で泣いてしまう。ほんとになんでしょう、あまりにも人格が稚拙でどうしようもないなと思いましたね。
――天気予報が外れて泣きながら謝罪し続けるお天気キャスターの話もありました。あれはコンプライアンスみたいなことをおっしゃりたかったのでしょうか？
松尾:昔はおおらかだったでしょう？たとえば天気予報が外れようが、外れるものだって。天気予報は昔は気象庁がやっていたじゃないですか。お役人が裏を覗いてみると下駄を投げていたという笑い話があるじゃないですか。小咄なんかでも。
それくらいおおらかだったんですよ。阪神タイガースが負けるということと、天気予報が当たらないということはそのことに対して目くじらを立てる人はいなかった。昔からそうではあるけれど、利益を害することがあったり、アメリカのようなギスギスした権利主張をするとか。あるいは、誰それのせい、難癖・苦情・抗議・訴訟というようなところにいってしまう。
気持ちの悪い世の中になった。コンプライアンスは大事でしょうけど、今なんでも行き過ぎていて。もちろん犯罪を犯すのは良くないんだけれど、芸人にあまりにも行儀作法とか道徳を求め過ぎている。不謹慎だからこういう仕事をしているんですよ芸人は。バカな奴だねダメな奴だねというところが無いとね、みんなの憧れの的であってはいけないんですよ。芸人は。
なのに芸人のことを公人呼ばわりするような人まで出てきて、ちょっとどうなんだろうという非常に疑わしいことがいっぱいあって、それを皮肉りたいなという部分があって。
――最近泣いて会見する人も多い。
松尾:会社の社長さんなんかで、泣くことでガス抜きしようという了見もあろうかと思います。本当に心が弱くてそうなっちゃうという人もいるでしょうし、演技でやる人もいるでしょうけど。政治家は涙を流しちゃいけないでしょうね。基本的にはね。
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デモをしない日本人がデモを起した
――現実のほうがコントみたいだから、若い子たちが政治に愛想をつかしているのではないかと。それをもう一歩ツッコんでなのか、引いてなのか。楽しめるようになる方法はありませんか？松尾:これから先ちょっと変わるんじゃないかと言われて、長い間投票に行っていなかった若い層が投票に行く気になっている。そこまで（世の中が）ひどくなっているということですね。なんで日本人はデモを起こさないんだ？と外国人にずっと言われていたのが、もう我慢出来ないというところまで野田首相を見て思っているわけですよ。
だから普段デモに参加しない人までデモに行っていますよね？もちろんひとつのファッションとして行く人もいるだろうし、自己陶酔型もいるかもしれないけど。少なくとも動員型のものじゃないものに、これだけ多くの人が集まっている。行動を起こすというのは次選挙をやった時に大変なことになるだろうなって。
それでなくとも後ろめたいと思うくらいの年配の方たち、もうこれから減っていくわけじゃないですか。そうなった時、物事が動く時ってダンダンダンダン！って、たとえば成長率や犯罪防止率増加率や検挙率やなんとか率、出生率というのは徐々に上がったり下がったりするだろうと思う。でも世の中の仕組みが変わる時って、びっくりするくらいあっという間なんだと思う。
これが近いんじゃないかなって気がします。一番怖いのはマスコミですよね。僕もマスコミの中で仕事をして、普通に出入り業者としてその辺をうろうろしているじゃないですか。なんとなくここ数年、明文化出来ないけど、ムードが変わってるんじゃないかなって気がします。
大きなマスコミもこの先命運を分けるようなことになるんじゃないかなって、ぼやっとしていますが。
――テレビに対しても、「データ暴走族」という一発目からちょっとドキッとするエピソードがありました。「飛ばせ飛ばせ！CM飛ばせ！」みたいな。昔、乱一世さんがなんか言って大変だったなと。（「トイレはCMの間に」と発言して番組を降板）
松尾:乱一世さんがそんなことがあったというけれど、それより前は大橋巨泉さんがゲバゲバ９０分でCM入る前に、「トイレの時間です」みたいなことは平気で言っていたんですよ。ヒッチコック劇場なんかだとCM前に、「それではこれからスポンサーの生きがいを」なんて言っていた。
それ自体をギャグにするというのはあって当たり前だった。今はそれより深刻なことが起きていると思うんです。それはCMの前に大事なことをにおわせて、CMの後で！と引っ張るでしょ？
――「またぎ」ですね。
松尾:ということは、ペットだったら待て、STAYと言われている状態。視聴者はそれで待たされている。その我慢させられている状況でCMを見るわけでしょ？これ、CMを提供しているクライアントは、それで喜ぶのかどうか？絶対良い感情で見ない確率が高くなるじゃないですか？そのCMを。
気分悪いわけですよ。待たされているわけですから。ストレスなわけでしょ。そこら辺に関しては番組の数字が上がっても、ほんとはスポンサーは喜んじゃいけない気がするんですよね。で、蓋を開けたら同じようなダイジェスト版ばかりで。
――必ずやりますよね。
松尾:さっき聞いたっちゅうねん！（苦笑）ということばかりじゃないですか。生放送しかなかった時代はそれは無かったのですから。
――政治以外にも「占い」だったり「子役ブーム」だったり、いろいろなことを風刺しています。コメンテーターとしてテレビに出ながらも、これは言わずに持ち帰っておこうみたいなアイディアがキッチュニアに入っているのでしょうか？
松尾:そうですね。これは言わずに持ち帰ろうみたいな大人の発想ではなくて、単に言う時間が無くてということもありますけどね。
――元々こちらの企画は最初にラジオから立ち上がったということですが、やろうというきっかけは何だったのでしょうか？
松尾:ラジオで放送して、なんとなくじゃあその後、不気味な映像・アニメと一緒に掛け算になるような感じでやりたいなと思っていたんです。これにもし映像をつけるなら、こんなアニメの雰囲気にしようかなとかモヤモヤと考えながら徐々に。逆算しているつもりは無かったのですが。
「前例がない」のは当たり前
――なるほど。作品ではいろんな問題を取り上げていらっしゃいます。松尾さんが個人的に考える、今日本が抱えている最初にやらなきゃマズイんじゃないかっていう課題は何でしょうか？松尾:政治や行政のことは問題点が山積みだと思いますが、一番の問題点は一般の人と政治家という一組、二組というかそれと官僚の差の激しさじゃないかな。でもね、こないだ外務省のあるエライ人とたまたま酒を一緒に飲んでいました。
僕は官僚が悪いという話を、官僚と聞いてからわざとぶつけちゃったんです。その官僚もモチベーションが無くなってきますからって。これだけ一生懸命やっている人間もいるのに、社会から悪者だというふうに思われてしまっている。つまり官僚になるインセンティブがこれから格段に減るんですよね。
優秀な人材が集まるということが少し減ってくるかもしれない、という読みをされていました。官僚の独裁が続くということは多分無いんじゃないかと思います。
――今まで優秀な方は東大を出て、試験を通って官僚になった。民間企業にいたらもっと（高い）給料をもらえるような人が「給料下げろ」と言われる。よほど志がないと心が持ちませんよね。
松尾:一番の問題点は想像力の欠如だと思うんです。権力を持っている人たちの。前例主義でしょ、全部日本って。喫緊の問題はシステムとしての前例主義。これはね、官僚がモノを断る時に前例が無いと言って断る。これはひどい話で、自然災害だろうが世の中で起きている現象だろうが、初めて起きているんですよ。
過去に起きた出来事で似たものを探したり、共通点を探すということはいくらでも出来る。だけど必ず初めて起きていることなんですよ。にもかかわらず前例が無いと言って断る。これは理由にならないのに。前例主義というのはこれは実はテレビの世界にもありまして。
テレビも最初はなんだかわからずに作っていたから、面白い盛り上がりをしていたんだと思います、時代として。ところが視聴率を調べるようになったら、前にこれをやったからというので似たような要素のものを。この人が出ていたから数字が取れたんじゃないか？その時犬が映っていたからじゃないか？グルメものがいいんじゃないか？子役を出したらいいんじゃないか？このグループを出しておけばいいんじゃないか？そうすると今度はだんだん数字が取れなくなってくるんです。だって前と同じものを見るわけですから。実は見たことも無いような変なものがあったほうがいいのに。
昔のドラマの良いところを取って、ちょっと焼き直したものって数字（視聴率）が悪いじゃないですか。最近特にそうだと思うんです。見ている方もわかるんです。いつかどこかで見たなって。だからそれも前例主義なんですよね。つまりマーケティングリサーチというのは前例主義なんですよ。そうするとその世界からお客様は離れていっちゃうわけですよね。
――こないだたまたま政党の広報の方とお話ししている時に、国民は前例の無いものに憧れるというか新しいものがなんとかしてくれると思ってしまう。だから橋下さんを応援してしまうという話題になって。
松尾:前例あるじゃないですか、ああいう劇薬を求めるという。そういうメソッドがありますよね？あれは実は前例なんですよ。その悪い前例に飛びつこうとしている人がいっぱいいるんですよ。橋下さんが悪い前例かどうかわかりませんが。
――政権交代でとりあえず変えてみようよと言って変えて、こんな目にあったのに。
松尾:小泉さんがどれだけ暮らしやすい世の中に変えたのかと考えると、郵政というみんな集団ヒステリー状態になって踊らされた挙句が、この状況を完全に招いてますよね。着実にこうやって崩壊させていってくれている序曲を奏で始めたのが、小泉さんじゃないかなって。日本をぶっ壊すというところにものすごいくさび、ヒビを入れるためのね。
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情報を見分けるためには
――最初に出た、報道記者の言い方が気になって、全体が信用出来なくなるというお話。そのニュアンスを感じられるようになるためにはどうしたらいいでしょう？松尾:少なくともちょっと昔は、ネットの記事は信用出来ない（というのがあった）。その間に関所がない、チェックされていない。いい加減な思いつきでも全世界に発表することが出来てしまう。だから信用出来ないというところがあったんですよね。
テレビやラジオは多くの人や耳に触れるまでの間に、チェックがいっぱい入るじゃないですか。でもそのチェックが悪い方向に作用する場合だって大いにある。客観的事実かどうかということは、他に調べる術が出来ている。そうするとその中でどう判断するか。
これは記者の意訳なのか、そう持っていきたいのか。そのことを読む余地はね、今度は読む側に与えられてきているんじゃないかという気がします。あれ？読売新聞と東京新聞が書いていることはこんなに違うぞって。昔は産経と朝日が違うということで、その間あたりで判断すれば良いのかって思っていましたが。
――東京新聞さんは思いっきり頑張ってというか、反原発に舵を切られました。
松尾:そうですね。自分のところで記事を書いている人たちの文章を読むと、どっかの通信社が配信したものにちょっと鱗をつけてアレンジしているのと比べて、わかりそうな部分が出てきますもんね。そういうことでもメディアが選ばれていくようになるのかもしれないと思うんですよね。
――ここ数年記者会見がノーカットで出てくるようになりました。私も2008年にラジオからネットの世界に来たのですが、その時でもこんな時代が来るとは思っていなかったです。
松尾:リアルタイムで会見場からtsudaる人がいるなんて信じられない（苦笑）。
――今回の作品のエピソードでいくつかお気に入りのものがあれば、ぜひ。
松尾:僕は年配のロッカー（内田裕也さんっぽいキャラ）が出てくるのが割りと好きですね。
――事業仕分け会場で初めてお見かけした時はびっくりしました。
松尾:出来るだけご本人に聞かれないようにしとかないと、とは思っているのですが（苦笑）。
――まとめの前にひとつ個人的な質問を。ラジオ時代塚越さん（塚越孝・元フジテレビアナウンサー・6月逝去）とずっと仕事をさせていただいていたのですが、松尾さんもご交流がありましたよね？
松尾:落語がお好きでしたよね・・・（立川）談春さんと（立川）談志師匠の回を聞きに行った時に、あれは新橋演舞場だったかなあ。どこだっけ、どっちか忘れましたが。志の輔さんの時かな？塚越さんが僕の隣に座っていて、しきりにいろんな落語のネタのことを聞いて来るんですよ。ご本人もものすごく詳しい人なのに、僕に子供のようにいろんな質問をされて。僕もちょっといい加減に答えた記憶が。こんなに痛ましい亡くなり方をするとは思わなかったです。仕事人間だったんでしょうね。
僕が名前を隠して歌っていたHな歌、「ピエールとカトリーヌ」という歌があるのですが、それを夕方の塚越さんの番組でかけてもらったんです。いいのかなAMでこんなのかけてもらってという歌なんですが、一回だけでやり逃げしようと思っていたら塚越さんが気に入っちゃって、三日連続でかけちゃって、三日目にお偉いさんが聞いて放送禁止ソングになっちゃったという。
――塚越さんらしいですね（笑）
松尾:そういうことを楽しめる人だったのに。もったいないですよね。
――では、最後です。今、政治が節目で変わろうとしているところです。僕らは政治がひどいとか言ってるだけでなく、監視しないといけない、厳しい目で見ないといけない。でも、滑稽な大人というか社会全体を、ユーモアのある皮肉や風刺で伝えることも大切だと思うんです。
松尾:皮肉というか笑いというものが持つ力って実は大きくて。ただ、蛙の面にションベンにしかならないです。一瞬はというか表面的な現象は。ところがそれって、ちゃんとたゆまなくやっているといつか気がつくと、それこそシロアリが家を倒すくらいのことになるんですよね。
笑いって実は大きな力を持っている。もうひとつは笑っていいんだという、こういうことを笑う自由を僕らに与えられているよ、持っているという確認のために連帯感として笑いってすごく力を持っているんですね。
――自由の無いの国ならアウトですものね。
松尾:そうなんですよ。イスラム圏なら許されないでしょうし。これだけひどい目にあっていても寛容な国だからこそ、持ちこたえているんじゃないかって気がするんです。ここでコンプライアンスとかちょっとしたニュアンスで悪く解釈して、この発言がと言って、間違い探しみたいに祭りあげて。
祭りあげてというのは間違いですね、祭りみたいにして糾弾するというのがネット上でよく行われています。そうなってくると、すごく窮屈で不健康な世の中になると思います。笑い飛ばせる。少々不謹慎な言葉も善意に解釈するという寛容さをネット社会も持たないと。
どんどん足を引っ張りあうだけになって、それこそ毎年毎年総理大臣が変わることの元凶が起きていると思うんです。
――ほんの一言で何人の大臣が変わったか。
松尾:早く大臣が変わると、能力を持っている大臣がついたってね。
――ころっといっちゃう。
松尾:防衛大臣の森本さん（森本敏氏）もいつまでやるかわからないですもんね。
――最後に、BLOGOSの読者へメッセージを。
松尾:「キッチュニア」もう一度嗅ぎたくなる臭いニオイです。是非一度お試しください。
――ありがとうございました。
◆プロフィール
松尾貴史（まつお たかし）
1960年、神戸市生まれ。大阪芸術大学卒業後、デビュー。「キッチュの朝までナメてれば」などで人気に。現在はテレビ・ラジオをはじめ、映画・舞台、ナレーター、折り顔など広く活躍。テレビ「情報ライブミヤネ屋」(YTV)、「住人十色」(MBS)、「モーニングバード！」(EX)などに出演中。京都造形芸術大学映画学科客員教授も務める。ドラマ出演に「ちりとてちん」「龍馬伝」(NHK)、「Around40」(TBS)。近著に「ネタになる『統計データ』」(講談社＋α文庫)、「なぜ宇宙人は地球に来ない？」(PHP新書)がある。
・Twitterアカウント @Kitch_Matsuo
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