新型コロナによる厳格な入国制限が解除されたことなどで、海外渡航のハードルが大きく下がった昨今。ANAのホノルル初便で、最新の日本への入国手続きを体験しました。

ANAのハワイ便は前年度とくらべ5倍近い利用者

 2022年のゴールデンウィークは、条件さえ揃えば数年ぶりに海外渡航も味わえる連休となりました。たとえばANAのハワイ便は前年度とくらべ5倍近い利用者がおり、「ピーク日ではほぼ満席のご利用を頂いた」とのこと。同社は「お客様からも『2年越しのハワイで夢のように嬉しい』といったお声を頂いています」とコメントしています。

 この要因としては、新型コロナウイルス感染拡大による厳格な入国制限が解除されたことにあります。たとえば、ワクチン3回接種証明保持者に関しては帰国後の隔離がなくなったのです。いま円滑に帰国をするには、どのような手続きが必要なのでしょうか。実際にANA便のホノルル線での帰国で体験してきました。


ホノルルから羽田空港へむけ出発するANA便(松 稔生撮影)。

 ハワイから日本への帰国に必要なものは、日本で取得したワクチン接種証明、それと72時間以内(検体採取から搭乗予定便の出発時刻までの時間)に指定医療機関で実施した新型コロナウイルス検査の陰性証明のふたつです。

 今回は、ワイキキ中心部に設けられているANA保有のラウンジ施設「マハロ・ラウンジ」と同フロア(ワイキキ・ショッピングプラザ2階)に位置する「聖ルカ クリニック」でPCR検査を受診しました。結果は数時間後にメールで貰うことができます。

 これで出国に必要な書類自体は揃ったことになりますが、羽田や成田などから日本へ入国する場合、ここでとある手続きを事前にしておくと、非常にスムーズに入国することができます。それが、スマートフォンの「My SOS」アプリを使った「ファストトラック」というものです。

スムーズ入国の鍵「ファストトラック」とは

「ファストトラック」のサービスを受けるには「My SOS」をダウンロード後、質問票・誓約書・ワクチン接種証明書(「有・無」を選択)・出国前72時間以内の検査証明書を登録します。各種書類のファイルは「jpeg」、つまり書類をスマホで撮影しアップロードする形がスタンダードです。「聖ルカ クリニック」などでは、それを見込んでjpegファイルで検査証明書をメールで送付してくれていました。質問票や誓約書はガイドにそって、利用便や座席、パスポート情報など各種情報を入力していきます。

 筆者の場合すべて入力を終えるまで10分程度。登録が完了するとアプリの画面が緑色になります。これで「ファストトラック」の手続きは完了です。


「聖ルカ クリニック」の小林恵一院長。同クリニックはANAと提携もしている(松 稔生撮影)。

 ホノルルのダニエル・K・国際空港のカウンター手続きは陰性証明書の提示のみでごくスムーズに進み、ANAの羽田行きに乗り込みます。機内では紙ベースの誓約書が配られ、それを記入しておくくらいでした。

「ファストトラック」利用で入国 時系列順レポ

 羽田空港には日本時間5月3日の17時23分到着。乗客は国際乗り継ぎ客が最優先で降ろされ、17時35分に降機することができました。

 そこから第3ターミナルの北側エリアにある導線にそって各種受付をすませ、「ファストトラック」のQRコードを提示したのち、17時56分に抗原検査へ。その後各種書類、アプリの確認作業を経て、18時05分に検査結果待機エリアで、結果を待ちます。検査結果は検体番号の下4桁が、モニター呼び出される形です。


羽田空港の検査で陰性が出るとピンクの用紙がもらえる(松 稔生撮影)。

 陰性の結果が出たのは、18時46分。そこから入国手続き、手荷物の受け取りを行い、到着口に出たのは18時59分でした。17時台は羽田空港の国際線到着便が比較的集中する時間帯ではあるものの、この日の場合は1時間半程度で到着口まで出ることができました。

「ファストトラック」導入前の日本への入国は、場合によっては3時間以上かかることもまったく珍しくない状況でした。もちろん長引くこともあるとは思われますが、デジタル化で従来よりかなり早くなっているといえるでしょう。

 ただ「ファストトラック」は、搭乗便到着予定日時の6時間前までにアプリ上での事前登録が完了していることが条件なので、書類が揃っているのはもちろんのこと、とうぜん海外で電波が通じる状態の自身のスマホを持っていること、帰国便の座席指定を済ませておくことが必要でしょう。「ファストトラック」利用の場合、PCR検査を受けて書類が揃った時点で、入力作業をすることをおすすめします。