ジャニーズは「配信ライブ」もスゴい!“新たな沼”にハマるおすすめ公演

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新たな沼の入り口!ジャニーズのオンライン配信ライブ

近年一気に広まったオンライン配信コンテンツ。かつてはネット露出に消極的だったジャニーズ事務所も例外ではなく、さまざまな配信コンテンツを展開しています。

【動画あり】必見!「V6の25周年ライブ」ダイジェスト映像はこちら

YouTubeに加え、コロナ禍以降はライブコンサートの配信も充実。配信ライブの情報はサイト「Johnny's net オンライン」にまとまっており、会員登録すればチケットを購入することができます。

昨年末には、所属アイドルが一堂に会した有観客イベント『Johnny's Festival 〜Thank you 2021 Hello 2022』がアーカイブ有料配信され、話題となりました。

ジャニーズアイドルならではの魅力が最大限に発揮される“ライブコンサート”の配信が行われるようになったことは、筆者自身、いちエンタメファンとしてとても画期的な出来事でした。

もちろん、本来であればグループとファンたちが直接コミュニケーションできる貴重な場をコロナ禍によって奪われ、配信という形態を“余儀なくされた”という側面もあったでしょう。しかしそのマイナスをプラスに転化させる強い信念と技術とプライドで、彼らは数々の素晴らしい配信ライブを行ってきました。

またエンタメファンの側からみると、ジャニーズライブへの接点が増えたという嬉しさもありました。

ジャニーズの配信ライブは、公演によっても異なりますが、ファンクラブ会員以外の一般ユーザーでも購入可能な公演も少なくありません。

すさまじい倍率を誇るチケット争奪戦に勝利せねば観られなかった、魅力的なグループたちのライブに配信で触れられる機会が増えたことで、新たな“沼”にハマったという人も少なくないのではないでしょうか。(何を隠そう私もその中のひとりです)

今回はそんなジャニーズ所属アイドルのオンライン配信コンテンツの中から、個人的に印象に残った配信ライブについて紹介します。

とは言え私が観られた公演はほんのひと握り。この他にもたくさんの素晴らしい配信ライブがあったであろうことは、最初におことわりしておきます。

“攻めの姿勢”が随所に込められた、V6『For the 25th anniversary』

2021年、その歴史に終止符を打ったV6。彼らの最後のライブツアーは現在Amazon Prime Videoにて『LIVE TOUR V6 groove at SAITAMA』として配信されていてこちらもとんでもない名演なのですが、今回ご紹介するのは2020年に行われソフト化もされている『For the 25th anniversary』です。

こちらはタイトル通り、自身のデビュー25周年を記念して2020年11月1日に行われた配信ライブ。通常であれば全国ツアーで各地を巡る周年タイミングですが、コロナ禍の影響で一夜限り、無観客での生配信となりました。

目の前にいない画面越しのファンたちに、どんな表現を届けるべきか。ジャニーズアイドルに限らずあらゆる表現者たちが直面したこの課題に、V6はこの配信ライブで非常に挑戦的かつ魅力的なアプローチで応えました。

会場となったのは、デビュー時から数え切れないほど立ち続けてきた、彼らにとって“聖地”と言える国立代々木競技場第一体育館。この配信ライブでは、そんな聖地のこれまで観たことのない表情が詰まっています。

例えば冒頭でV6がパフォーマンスするのは、鉄筋ひとつ組み立てられていないがらんどうの会場。その模様はYouTubeで配信されているライブダイジェストの序盤にも登場します。

普段であれば巨大なセットと花道、多くの座席が設えられる会場の“素”の姿は、間違いなくあの代々木なのだけど、どこか別の場所のようにも見える。その剥き出しの床の上での6人のパフォーマンスも非常に新鮮なものとして映ります。

25周年という節目のタイミングのライブで、真っ先に新しい表情を提示する。そんないきなりの“攻めの姿勢”が、なんとも彼ららしいです。

このパートは事前に収録されたもので、このあと実際にセットが組まれた会場を舞台にした生中継パートへ展開していきます。

収録パートも織り交ぜた、未知の映像表現

事前の収録パートを織り交ぜる演出は、ともすれば生配信ならではのリアルタイム感が削がれる可能性も孕んでいるはず。しかし観進めると収録パートのクオリティの高さはもちろんのこと、生ライブの中に差し込まれる意義と必然をしっかりと感じられる構成となっていることがわかります。

わかりやすいナマっぽさよりも、一夜限りだからこそまだ誰も観たことのない映像表現を届けたい。表現者としてのそんな意思が「生配信=すべてのパフォーマンスをリアルタイムで届ける」という固定概念をも取っ払ったのでしょう。ここにも彼らの攻めの姿勢は貫かれていると思います。

一方、本編の大部分を占める生配信パートも非常に濃密。配信ライブではアリーナ席に座席を並べ有観客の雰囲気を踏襲した演出を行うアーティストも多いですが、本配信ではアリーナ内にセットを組み舞台演出に活用。さらにスタンドのコンコースなども活用するなど各所をセットリストの中に組み込んでいて、ここでも聖地・代々木の新たな表情をみることができます。メンバーの戯れに多幸感があふれまくるスタンド通路パートは必見です。

そこにV6持ち前の撮影技術(こちらはぜひ過去のライブ作品、そしてラストツアーの映像配信も合わせてご参照を)と6人の気迫のこもったパフォーマンスが加わることで、ポジティブな意味で本当に生配信なのか?と疑いたくなるクオリティのライブ映像が実現しました。

選曲にも表れたアグレッシブな姿勢、特に響いた1曲

また選曲についても触れたいところ。この配信ライブは、セットリストを見ると分かる通り、所謂誰もが知るパブリックイメージとしての代表曲がほとんどと言っていいレベルで歌われていません。代わりに近年の新作群、また過去作からはアルバムやシングルのカップリングからの選曲がメインとなりました。

先述の通りジャニーズの配信公演はファンクラブ会員でない一般層でもチケットを購入できることも多く、本公演も一般チケットが販売されていました。つまり、熱心に追いかけているファン以外のアイドル・音楽ファンが、初めて彼らのライブに触れる機会でもあったわけで、そのセットリストから誰もが知る鉄板の代表曲の割合を下げることは、大きな挑戦だったはず。

しかしその結果は、前述した先鋭的かつハイクオリティな演出も相まって、25周年のアニバーサリーライブであるにも関わらず、集大成感よりも徹頭徹尾“最新系のV6”が炸裂した、非常に挑戦的かつ記念碑的な配信ライブとなったのです。

このライブが仮に有観客ツアーとして行われていたとしたら、たとえ同じセットリストでも演出面では全く違った内容になっていたでしょう。『For the 25th anniversary』は、コロナ禍という不測の事態によってもたらされたであろう“一夜限りの無観客配信”という形態だからこそ生まれた、異形かつ至高の映像作品なのです。

最後に。すでにソフト化もされている公演ではあるものの、これから初めて観るという方のために具体的なパフォーマンスの細部については記述を控えますが、1つだけ楽曲にも触れておきます。

ごくごく個人的な好みも含まれますが、私にとって本配信ライブにおける最も観るべきパフォーマンスのひとつが、『GOLD』という楽曲です。

シングル『COLORS / 太陽と月のこどもたち』のカップリングに収録された、真部脩一の作による電子音が心地よい極上のエレクトロ・ポップ。その世界観を類まれな想像力と技術力で具現化した演出、発見に満ちたカメラワーク、そのなかで見せる彼らの表情や佇まい――。V6という表現集団のひとつの極点がこの曲のパフォーマンスに刻まれていると、個人的には思います。

彼らの歩みは終わりましたが、残した作品は消えることはありません。この配信ライブには、自らの終わりを見据えながら、最新×最高を更新し続けたV6の姿が鮮やかに記録されているのです。

村上信五のバラエティスキルが最大限に発揮された『Johnny's Village』

もうひとつ、まったく異なるアプローチでオンライン配信ならではの面白さを表現した公演を紹介します。関ジャニ∞・村上信五さんがホストを務める配信『Johnny's Village』です。

関ジャニ∞としても先日、最新ツアーのファイナル公演の配信を実施。またこれまでには、自身の一人舞台シリーズ『If or…』や、後輩タレントを招集した即興劇シリーズ『もしも塾』を主宰するなど、意欲的な公演を展開してきた彼が仕掛けたのは、「アーカイブなしの生配信・初サシの相手とのトーク」という挑戦的な企画でした。

2020年12月の有岡大貴さん(Hey! Say! JUMP)を皮切りに、2021年は3月に菊池風磨さん(Sexy Zone)、6月に藤井流星さん(ジャニーズWEST)を迎えて配信され、シリーズ化しています。

こちら、アーカイブやソフト化はされておらず、今から過去公演を観られない中でのご紹介が心苦しいのですが、個人的に今後もシリーズとしての継続を楽しみにしているプログラムなのです。

自分が観たのは、2021年10月に配信された第4回。こちらでは初めてサシではなく、村上の後輩にあたる関西ジャニーズJr.・Aぇ! groupから末澤誠也さん・小島健さん・佐野晶哉さんの3名が招かれました。

大きな見どころはやはり、サシでちゃんと話すのは初めてという村上さん×ゲストたちの化学反応。生配信のみ、しかも22時開始という遅めの時間帯も相まって、適度な緊張感もありつつ、内輪トークを覗き見しているような親密さが心地よいのです。

この回では関西ジャニーズの大先輩であり百戦錬磨のバラエティスキルを持つ村上さんと、そこに3者3様のアプローチで食らいついていく3人のコントラストに何度も笑わされました。(特に配信終了間際、ラスト数分の佐野さんの立ち回りに爆笑&ポテンシャルに震撼。アーカイブなしのため記憶を辿るしかないのが残念……!)

冒頭で、ジャニーズアイドルならではの魅力が最大限に発揮されるのがライブコンサートであると書きましたが、各グループの持ち味とメンバーの個性が存分に発揮されるMCタイムの存在もとても重要。『Johnny's Village』には、そんなジャニーズライブのMC・バラエティ面の魅力を濃縮還元して楽しめるような趣があります。

その立役者はやはりホストである村上信五さんでしょう。

トーク&企画の両面で、配信ならではの面白さを発信

地上波バラエティでも看板を貼る実力の彼による企画構成と、本番での適度に力の抜けたMCぶりはさすがの一言。

テレビではなかなか観られないつっこんだトークも含め、ゲストの素が垣間見える配信ならではの絶妙な“ゆるさ”を保ちつつ、ときには含蓄のある発言で場を締め、バラエティとして成立させていく手腕が見事でした。(……と今は冷静に振り返られますが、視聴中はシンプルに大笑いしていた記憶しかありません)

また私はAぇ! groupの3人を生で観るのは初めてでしたが、関西の血と言うべき笑いへの貪欲さがすばらしく、まんまと新たな沼への入り口に立ってしまったのでした。こういう新たな出会いがあるのも、レアな組み合わせによるトークという企画の妙、そして気軽に参加できる配信ならではの利点と言えるでしょう。

会場は東京グローブ座。ジャニーズ所属タレントの舞台公演が頻繁に行われるファンにはお馴染みの劇場です。

番組内では無観客配信であることを逆手に取って、ふだん観客として利用している座席や通路を出演者が所狭しと駆け回る場面もあり、その通路通ったことある!と思った人もいたのでは。こちらも有観客では難しいであろう、配信だからこその可能性が追求されていました。

ライブ公演に比べると時間はコンパクトめで、その分チケット代もリーズナブル。予想外の展開もあり満足度は想像以上でした。さらなる沼入りには注意しつつ、次回があればぜひまた観たい配信です。

繰り返しになりますが、今回ご紹介したのは、数多く展開されてきたジャニーズのオンライン配信コンテンツのほんの一部。実はこれ以外の配信ライブもいくつか観ましたが、どれもそれぞれに工夫をこらした充実の内容ばかりでした。

またライブ以外にも、所属タレント出演の演劇公演の配信などもコンスタントに行われており、配信を通じて演劇シーンへの裾野も広がっていくかもしれません。

ジャニーズエンタメに明るくない人でも、配信ライブを通じてそのパフォーマンスに触れてみると、新たな“沼”との出会いがきっとあるはず。コロナによって配信の取り巻く状況がどうなるのかは未知数ですが、個人的にはこれからも多くの配信ライブを観られるといいなあ、と思っています。

独自の美意識と方法論でエンタテインメントを更新してきたジャニーズだからこそ生み出せる未知の配信コンテンツの登場に、今後も期待です。