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 高円寺界隈でよく飲んでいる知り合いから、「東高円寺駅からちょっと行ったところにある豚丼屋さんに、大盛りがあったよ~」との情報を得て、向かったのは青梅街道沿いにある『どんぶり屋 ぽん』。

 店に入ってメニューを見ると、豚丼、塩豚丼、味噌豚丼などなど、様々な豚丼があり、その数27種! 「辛口豆板醤ガーリック豚丼」(950円)や、卵とじ系「とま玉豚丼」(1080円)など、他の豚丼の店では見たことのない、オリジナルメニューもいろいろあります。

メニューの下に書かれていた肉3倍増盛の文字。これを期待してきましたっ!

 どれにしようかずーっと迷っていると、店主が「うちが初めてなら、まずは看板メニューの豚丼を食べてみて」、とアドバイスいただき、「豚丼」(790円)を肉3倍盛&ゴハン大盛で注文。出来上がるのを待ちます。

 店の張り紙を何気なくみていると、食材のご紹介として、スペインでも数少ないブランド豚「ガリシア栗豚」と、カナダ産極上ロースを使っていることが判明。米は山形産のはえぬき、玉ねぎは北海道産または兵庫県の淡路島産を季節に応じて使っているそう。素材へのこだわりが伝わってきます。

 さらに、「食事中 携帯 その他機器の操作使用お断りします」と大きく書かれた張り紙も。注意事項として、香水使用の方お断り、麦茶のお代わりはセルフでお願いします。の文字。麦茶のお代わりは、おそらく、店主1人で切り盛りしているから、自分で好きにやってね、ってことなのかも。とにかく、丼が出てきたら携帯は閉まっておこうっと。

まさに山になってる丼! ゴハンが見えない、高さ約17cmの肉3倍盛!

「豚丼」790円+肉3倍盛750円+ゴハン大盛り100円。豚肉と玉ねぎの山でゴハンが見えない!

 目の前にやってきたのは、どんぶりを自分で動かした瞬間に肉と玉ねぎが落っこちてきそうなほど高く盛られた具沢山丼。さすが肉3倍盛です。直径15cmの器に高さ約17cm、重さは1091g(器の重さを除く)。ほぼ1.1kg。

 崩れる前に、山を減らさねば! ということでまずは一口。醤油ベースのタレに、キリッときいた黒コショウ。豚丼って、甘辛醤油のイメージが強かったんですが、ここのはコショウがしっかりきいた味わいです。

玉ねぎの飴色、そして豚肉のツヤツヤが食欲をそそる。香ばしい香りもたまらない

「豚肉はスペインのガリシア産で、栗を食べている豚の肉なんですよ。前は国産にこだわっていたんですが、肉屋さんから、一度これ食べてみなって言われて。で、食べてみたら、これだ~! って思うくらい美味しかったんですよ」と話す店主。厚めにスライスした肉の表裏を一度焼いたのち、一口サイズにカットし、タレを絡めて仕上げています。

 そのタレは、醤油ベースに様々なスパイスを加え、10日間ほど寝かせて作ったもの。素材同様、タレや焼き方にもこだわりが随所に感じられます。

ゴハンが見えたところで合わせて一口! 米自体も美味しいので、食が進むっ!

 そもそも、なんで肉3倍盛を出すようになったんですか?「自分が若い時に、あともう一握り食べたいって思うことがよくあったんですよ。だからお店に来る若者が、ここで食べた後にコンビニでおにぎりやパンを買うなんてことがあったら気分悪い。うちでしっかりお腹いっぱいになって欲しいんですよ」。なるほど。やはり、腹ペコの気持ちは腹ペコを経験したからわかる、ってことですね。

 と言いつつも、「肉3倍盛は正直やりたくなかったんだよ~。ただでさえ利益薄いし、作るのだって大変なんだから」と笑顔で語る店主。負担大だけど、お腹いっぱい食べさせたい。そんな、お客さんへの愛情を感じます。

 ちなみに、肉3倍盛は、肉はもちろん玉ねぎも増量。「ゴハン大盛りを頼んだ人にもね、途中でおかずがなくなっちゃったらかわいそうだから、玉ねぎを多くしているんですよ」。

肉3倍盛の場合、通常はカレー皿で提供しているとのこと。「丼だと、具が全部乗り切らなかったら困るからね」。だから高さ約17cmにもなっちゃったんですね!

 お弁当も販売していて、豆腐やネギ、きのこ入りの「豚すき焼き丼」(990円)と、肉の旨みをダイレクトに感じられる「ガリシア豚丼」(739円)の2種は弁当限定メニューになります。

 ちなみにスマホなど電子機器の操作禁止の件ですが「食べる前に写真を撮るのはいいけれど、食べ始めてから携帯をいじったり話したりするのはダメ。食べるときは集中して食べて欲しいからね」とのこと。

 肉、玉ねぎ、米、自家製ダレなどこだわり満載の豚丼は、肉の旨みをしっかりと感じられる、キリッとした味わいの丼。ほんのり甘みを生かした豚丼が多い中、甘くない豚丼っていいわ~。コショウ効果でゴハンが進むっ!

 夜10時過ぎても食べられるなら、今度高円寺あたりで飲んだ時のシメにまた来よう! と思える、こだわりたっぷりの美味しいお店でした。

(取材・文◎石澤理香子)

●SHOP INFO

店名:どんぶり屋 ぽん

住:東京都杉並区和田3-60-9
TEL:03-3313-7877
営:11:15~23:00(L.O.22:45)※時短営業中はお弁当販売も含め22:00まで営業。(店内L.O.21:30)
休:木曜、コロナ対策期間中は第2,3水曜も休み、2020年12/30~2021年1/4