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「娘がバレーボールチームのレギュラーに選ばれてから、ママ友にシカトされるようになりました」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。

相談者の娘は地域の運動クラブでバレーボールチームのレギュラーメンバーに選ばれました。しかし、同じ時期に入部した娘の友人(A子さん)は、残念ながら補欠に。するとA子さんは、娘を無視するようになったそうです。

ある日、相談者はA子さんが娘を無視したり、ほかの友達には手作りクッキーをあげているのに娘だけにあげないところを目撃しました。たまらず、A子さんママに無視されていることを伝え、「何か娘に原因があるなら教えてほしい」と話したそうです。

ところが、その後の展開は思いもよらないものでした。

A子さんママからは、挨拶をしても無視されるように。また、チームのボスママからも無視をされ、チームの食事会なども相談者一家のみ呼ばれなくなりました。学校でもいろいろな噂を流されているそうです。

このような毎日が続き、相談者はストレスで体調を崩し、娘もクラブをやめることになりました。ママ友に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。浮田美穂弁護士の解説をお届けします。

●慰謝料請求ができる場合もある

ーー無視をするという行為は法的に問題ないのでしょうか。また、ママ友によるこのような行為に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

無視されることは存在を否定されるつらいことです。しかし、犯罪ではありませんので、直ちに「違法」とはいえません。

ただ、慰謝料を請求できることもあります。集団であからさまに無視したり、その他いろいろな事情が加わって、社会通念上、許される範囲を超えた「いじめ」ないし「嫌がらせ」にあたる場合です。このような場合は「人格権を違法に侵害された」として、慰謝料を請求することができます。

慰謝料請求をする場合には、証拠を提出する必要があります。たとえば、日記、他のママ友の証言などが考えられるでしょう。具体的にどのような嫌がらせがあったのか、それによってどのような被害を被ったのか立証できると良いでしょう。

●無視するようなママ友との関係は必要ない

ーー相談者によると、学校でもいろいろな噂を流されているとのことです。この点についてもママ友に慰謝料請求ができるのでしょうか。

その「噂」が名誉毀損にあたるような場合は慰謝料請求ができます。メールやラインで流されている場合はそのメールやライン、噂を聞いた人の証言が証拠として考えられます。

ただ、裁判で慰謝料を認められたとしても判例上その額は低く、数十万程度でしょう。

逆恨みで無視してくるようなママ友と仲良くする必要はないと思います。無視されるのは辛いことですが、相談者の価値がさがるわけではありません。そのようなママ友とは付き合わず、他のよい友達、理解してくれる人を見つけてほしいと思います。

(弁護士ドットコムライフ)

【取材協力弁護士】
浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年度金沢弁護士会副会長。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
事務所URL:http://kenroku.net/