●「ナレーターと声優の仕事は違う」改めて実感

声優の内田雄馬が、9月28日よりTBS系情報番組『あさチャン!』(毎週月〜金曜6:00〜8:00)のナレーターに就任。“イケボ”(イケメンボイス)で朝のニュースを届け、「朝から内田雄馬くんの声が聞けるの幸せ」などとSNS上で反響を呼んでいる。情報番組のナレーター初挑戦の内田にインタビューし、オファーを受けたときの心境やナレーターのやりがいなど話を聞いた。



『BANANA FISH』のアッシュ・リンクス役をはじめ、『フルーツバスケット』の草摩夾役、『あひるの空』の花園百春役、『この音とまれ!』の久遠愛役など多数のアニメ作品に出演、2019年には第13回「声優アワード」で主演男優賞を受賞した内田。声優のみならず、ソロアーティストとしても活動している。

『あさチャン!』のオファーを受けたときは、「ナレーターのお話をいただけるとは思っていなかったので本当にびっくりしました」と驚いたという内田。出演は「すごく迷いました」と打ち明け、「朝の帯番組なので、ほかの仕事と両立するのは大変だろうなと思いましたが、ナレーターのチャンスをいただけることはすごく稀なことで、チャレンジできる機会があるなら挑戦したいなと思っていたので、思い切って受けさせていただくことに決めました」と出演を決めた思いを明かした。

「プレッシャーはものすごくあります」と本音も告白。「ニュースを伝えるので、エンターテイメントとは違う部分も必要に。今までやってきたこととは違うので、そういう意味では緊張感がありますし、しっかり伝えていくということに責任を持ってやるようにしています」と語った。



もともと「ナレーターと声優の仕事は違う」と捉えていたというが、『あさチャン!』のナレーターに就任してからその違いをより実感。「やっていることは全然別だなと思いました。大きな違いは、自分の主観で感情を入れ込んでしゃべるわけではないということ。番組で伝えるべき情報を客観的に視聴者に届けることが大事で、感情的に伝えてはいけないと思っています」

ニュースに対するSNS上の声を紹介したり、海外の人物の吹き替えをしたりするときなどは感情を込めているのかと思ったが、やはり情報番組であることを意識しているという。「ボイスオーバーも実際の芝居とは違う形でやっていて、情報が優先。『今この人はこれに感動しています』、『これに興奮しています』ということを言葉で伝えないといけないので、感情ではなく情報を伝えるようにしています」。ただ、ほかの部分と差別化してほしいと言われているそうで、「区切り方などでその人がしゃべっている感じに寄せながら情報を伝えています」と明かした。

さらに、「どちらにも解釈できるようなニュースがあったとして、僕が『これはポジティブな内容だ』、『これはネガティブな内容だ』と決めてしまうと、受け取った側はそう思ってしまうので、僕の言葉はどちらかに偏らないようにしたほうがいいと思っています。お祝い事などは完全にポジティブな話なので別ですが、基本的には『こういうことが起きた』という情報だけを伝えるようにしています」と語った。

●スピード感も必要「声優として生きると思う」



「感情ではなく情報を伝える」という新たな挑戦は、1カ月以上経った今も試行錯誤しているという。「僕らは言葉の中に意図を汲む職業なので、この言葉のときはこういう感情かもしれないと読み取ろうとしてしまう。でも、それをせずにストレートに『こういうことが起きました』と伝えなければならない。言葉に感情を乗せてきた職業なので、その逆、感情を言葉に乗せないというのは難しいなと感じています」

難しさを感じつつも、新しい挑戦は「楽しい」と充実した表情。「言葉を使うというのは同じなのに、伝えるべきものが違うだけでこれほど表現が変わるという、その面白さはすごく感じています。経験しなければわからなかったことなので、僕にとって大きな発見になっています」とうれしそうに話す。

芝居のように台本をじっくり読む時間はなく、当日渡された原稿にすぐ対応しなければならないというスピード感も必要。「言葉の大事なポイント、文章において何を伝えたいかというのを速いスピードで読み取るというのは、声優として今後すごく生きるかなと思っています」と鍛えられていると実感しているようだ。

そして、「僕はずっとブースの中にいて読むだけですが、ブースの外に一歩出ると、みなさんせわしなく動かれていて、すごい現場だなと感じています。声優は基本的にはアフレコして完成したものを皆さんお届けするのがほとんどですが、『あさチャン!』はリアルタイムの生の空気感。それを現場で感じながらできるというのは刺激的です」と目を輝かせた。









■内田雄馬

9月21日生まれ、東京都出身。2013年、声優デビュー。『BANANA FISH』のアッシュ・リンクス役をはじめ、『フルーツバスケット』の草摩夾役、『あひるの空』の花園百春役、『この音とまれ!』の久遠愛役など多数のアニメ作品に出演、2019年には第13回「声優アワード」で主演男優賞を受賞した。2018年5月30日にはアーティストとしてもデビュー。高い歌唱力はもちろん、キレのあるダンスも注目を集めている。