スピルバーグとともにやって来たアップルの「特別な1日」
映画監督のスティーブン・スピルバーグ、女優のジェニファー・アニストン、大物司会者オプラ・ウィンフリー。発表会にアップルが呼び寄せた豪華な顔ぶれが新サービスにかける思いを物語る。
後発となるアップルの成功のカギとなるのはオリジナルコンテンツだ。アップルはアプリを通じて配信するが、このアプリが関係者内で「ネットフリックス・キラー」と呼ばれていることからも競合相手は明確だ。
米ネットフリックスは放送局やハリウッドの映画スタジオも上回る規模の資金を番組製作に投じた。今や映画賞レースの常連であり、動画配信サービスの世界最大手だ。
2018年は85億ドル(約9400億円)をコンテンツ製作や外部の番組の調達に使う。ネットフリックスだけでなく、米アマゾン・ドット・コムも有料会員向けオリジナル作品の提供を拡大するほか、米ウォルト・ディズニーも今秋以降に参入予定だ。
アップルはオリジナル番組の費用に10億ドル規模の予算を投入する。今後、独自コンテンツにどこまで巨額投資できるかが成長市場の覇権争いの焦点だ。
「アップルはサービスの会社になる」「終わりの始まり」―。アップルの業績減速を受け、市場関係者の視線は年明け以降、厳しいものとなっている。
1月に発表した18年10―12月期決算は約10年ぶりの減収減益となった。スマホの買い替えサイクルが長期化し、iPhone販売の伸び悩みは隠せない。そこでアプリ販売や音楽配信などサービス事業の強化を打ち出しており、動画配信サービスもその一環だ。
実際、18年のサービス事業売上高は400億ドル弱で、前年に比べて3割以上伸びた。20年には500億ドルを目指すが、これは16年比2倍だ。25日の発表会でも、ニュース配信や定額制のゲーム配信サービスの開始を動画配信サービスとあわせて発表した。
iPhone頭打ち 市場は懐疑的…
ただ、市場では懐疑的な見方も多い。ニュース配信への参加は、主要メディアは米ウォール・ストリート・ジャーナル以外は見送った。ゲーム配信も米グーグルがすでに参入を打ち出している。「すべて後発」との指摘は一見もっともだ。
発表会の軸だった動画配信はアマゾンなどサードパーティーにもアプリを提供し、コンテンツを配信する。サービスの提供を自社端末に限定しようとしてきたアップルからすると異例の一手にも映る。これを巨大IT企業「プラットフォーマー」であるアップルの凋落(ちょうらく)と見る向きもある。
アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズは自社を「ライフスタイル企業」と位置付けた。ソフトウエアの普及にはハードウエアが必要と強調していたことも有名だ。アップルの本質は以前から、単なるハードウエアの企業ではない。
アップルはすでにサービス業での十分な成功体験がある。03年に始めた音楽配信事業「iTunes Store(アイチューンズ・ストア)」だ。競合する米マイクロソフトの基本ソフト、ウィンドウズにも対応した過去がある。外部に自社のサービスを開放するのは初めてではない。
