石川vs豊見城
伊波 和（石川）
「一番おいしい場面で回ってきたぞ」まるでそう言ってるかのような笑顔を見せた石川の3番伊波哲幸。外の球に逆らわずライトへ高々と打ち上げると、三塁からサヨナラの走者が生還。延長13回の激闘を制した石川が23年振りの新人中央大会勝利を収めたのだった。
試合は1回裏、四球とエラーで回ってきた伊波哲幸がセンター前へはじき返して石川が先制する。なおも無死一・二塁であったがここは豊見城先発の金城良太郎が後続を抑えて最小失点で防いだことが、豊見城の後半の粘りへと繋がっていく。
6回、豊見城は二死二塁から2番赤嶺優が左中間へ運ぶ二塁打で同点にする。しかし石川はその裏、5番嘉陽錬がレフト前ヒットで出塁すると犠打で進める。ここで7番石川泰志がライト前へ運ぶと、チャージを掛けたライトが後逸する間に二塁走者が生還した。
そして迎えた9回、豊見城は二つの四球でチャンスを得ると8番仲村勇亮がセンター前タイムリー。土壇場で追いつく見事な粘りで試合を振り出しに戻したのだった。
そして試合はタイブレークへ9回同点打を放った仲村勇亮（豊見城）
延長11回、豊見城は先頭の4番島袋瑶平が右中間へ二塁打を放つ。次打者がキッチリと送ると石川のバッテリーは少し焦ったのだろうか。ワイルドピッチを犯してしまいこの試合初めて豊見城がリードした。だが石川もその裏、9番新里優作がレフト前ヒットで出塁。手堅く送って2番久高舜がライト前へ運び追いついたのだ。一進一退の攻防と、勝利への執念を感じさせる好ゲームは続く12回を終えても決着が付かず、ついに無死一・二塁から始まるタイブレークへと入っていく。
先攻の豊見城が選んだのは2番から。その赤嶺優が絶妙なバントヒットでオールセーフとなり満塁。3番金城良太郎が振り切った打球はライト線を抜けるかというような当たりであったが、ファーストの真正面。一塁走者が戻れず悔しい併殺打となってしまった。続く島袋瑶平もショートライナーに終わり、無死満塁で得点することが叶わなかった。
こうなると圧倒的優位の石川は、同じく2番からの打順を選び送りバントを決めて二・三塁。先ほどライナーを制し併殺を完成させた伊波哲幸は、打席で楽しそうな表情を見せながらライトへのサヨナラ犠飛を放ちサヨナラ。3時間を超える熱戦に終止符をうったのだった。
（文＝當山 雅通）
