女子サッカー史上初の五輪銀メダルを獲得したなでしこジャパン。だが、3年後のワールドカップで世界王者の称号を取り戻すためには、さらなるレベルアップが不可欠だ

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なでしこジャパンはロンドン五輪で、女子サッカー史上初の銀メダル獲得という快挙を成し遂げた。しかし、なでしこたちを五輪のメダル獲得、そして昨年のワールドカップ優勝へと導いた佐々木則夫監督は、9月末で契約が切れる。後任にはどのような人材が求められるのか。

「本命視されているのは、現在U−20女子代表の監督を務めている吉田弘氏です。彼の率いる“ヤングなでしこ”はU−20女子ワールドカップ予選をトップ通過するなど、アジアでは無敵。吉田氏は佐々木監督とコミュニケーションを密に取り、ほぼ共通したコンセプトでチームをつくってきているので、なでしことの戦術的親和性が高い。しかも、U−20代表はもちろん、なでしこ選手の特徴もよく理解していますからね」(スポーツ紙なでしこ番記者・A氏)

ただ、それではあまりに手堅すぎる人選だとの意見もある。吉田氏では佐々木路線の継承はできても、プラスアルファの上積みができるかどうかに不安があるからだ。

サッカー誌編集者のB氏は、日本の強みを維持した上でさらにチーム力を飛躍させるために「すでに手腕が評価されている、現役バリバリのJ監督経験者あたりを引っ張ってきたいところです」と語る。

だが、力量のある指導者なら現在どこかのJクラブで指揮を執っているはず。優秀な上に、遅くとも来年早々から就任できるような人材が果たしているのだろうか。

「現在、札幌で監督をしている石崎信弘氏なんてぴったりだと思いますよ。札幌はJ2降格が確実ですから、石崎氏は解任される可能性が高い。しかし、今季の不振は選手層の薄さが根本的な原因。監督の責任にするには気の毒です。石崎サッカーのトレードマークでもある激しいプレスディフェンスは、なでしこで佐々木監督が導入している守り方よりもさらに先鋭的。もし、なでしこがマスターできれば、チームは一段上のレベルに上がれます」(B氏)

ただ、石崎氏は、もっぱら守備組織の整備に定評がある指導者。なでしこの攻撃面での特徴である、テンポのよいパス回しを進化させられる人物としては物足りなさがあるのではないかとの指摘もある。

「だったら、アシスタントコーチに名波浩氏(解説者)を招聘できれば面白いでしょうね。将来的に男子サッカー界での指導者を目指しているようですから、まずはプレッシャーの少ないなでしこで経験を積むのはいい経験になる。彼は、攻撃を論理的に語れる数少ない人物のひとり。なでしこのアタックをよりスペクタクルに進化させてくれるはず」(前出・A氏)

もし、この石崎・名波コンビが実現すれば話題性は抜群。サッカーファンなら、ぜひ見てみたい組み合わせといえるだろう。

(撮影/井上太郎)

■週刊プレイボーイ36号「なでしこジャパン、世界一奪回への正しい強化策!!」より