米航空宇宙局(NASA)が11月29日、「地球外生命体の証拠の探索に影響するであろう、宇宙生物学上の発見」について、12月2日に記者会見を行うと発表したことについて、日本の“宇宙ファン”の間では、「それほど、すごい発見とは思わない」との見方が出はじめた。「日本の『はやぶさ』の快挙や、中国の宇宙開発に刺激され、PRせねばならないと焦っているのでは」などの声すらあるという。

 NASAは、米東部時間の12月2日午後2時(日本時間、同3日午前時)に記者会見を行い、その様子をインターネットで中継する。思わせぶりな事前予告に、「宇宙人発見か?」とする報道も続出した。

 しかし、NASAは「地球外生命体の証拠の探索に影響するであろう発見」と表現しただけだ。「生命体そのものを発見したのではなさそうだ」と読み取れる。

 さらに、「地球外生命体」とは、地球外にある「生命体とみなせる存在すべて」を指す。いわゆる「宇宙人」を意味する言葉ではなく、地球上の細菌や、さらにシンプルな生命体も含む概念だ。もちろん、存在は確認されていないので、「地球外生命体」を発見しただけでも「世紀の大発見」ということになるが、NASAの予告を素直に読めば、2日の記者会見では、「そんな、サプライズはないだろう」と考えることができる。

 問題は、記者会見やインターネットによる中継まで予告したことだが、NASAには“前科”がある。2004年3月に、火星で活動中の無人探査車2号機「オポチュニティー」が重要な発見をしたとして、記者会見を予告した。一部では「生命あるいは生命の痕跡を発見か」などとする期待もあったが、結局は「水の存在が確認された」だけだったという。

 重要な発見には違いないが、「思わせぶりな予告」を行ったことに対して、「予算確保のためにもったいぶって、話題を盛り上げたのだろう」との見方が出た。

 このところ、日本では「はやぶさ」が、アポロ以来初めて、地球外天体から物質(微粒子)を持ち帰った。金星探査衛星「あかつき」も順調に飛行中だ。中国は、神舟による有人宇宙飛行や、嫦娥1、2号よる月探査を実施した。

 そのため、いわゆる宇宙や宇宙探査のファンの間では、今回のNASAによる「予告」について、「はやぶさの快挙や中国の動きに刺激され、PRしておかねばならないと、焦っているのでは」などの声が聞こえるようになった。(編集担当:如月隼人)



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