29日、南アフリカ・ワールドカップ決勝トーナメント1回戦、パラグアイ対日本の一戦が行われた。試合開始前からイタリアにとって悔しい一戦だったこのゲームは、終了のホイッスルが吹かれてさらになお悔しいものになった。まったく輝くことのなかったパラグアイが、0−0で終了した実にぱっとしない試合の最後に、今大会初となるPK戦で勝ち上がることとなったのだ。

PK戦は5−3で終了。カルドソのPKが決め手となり、日本は駒野のミスに罰せられることとなった。こうして、パラグアイは同国の歴史上初となるベスト8進出を決めている。ウルグアイ、アルゼンチン、ブラジルに続き、南米勢はこれで4チームが準々決勝へ駒を進めたこととなる。

前半を統括すると、ちょっとひどい内容というところ。もしもイタリアがグループFを首位で突破していれば、争うというより走るという日本を相手に、ベスト8を争えたはずだ。だが、実際にプレトリアのピッチにいたのは、いつものようにソリッドで(彼らの失点はここまでデ・ロッシの1ゴールのみ)、それ以上はあまりないパラグアイだった。

両チームは似たフォーメーションで対峙した。4バックのディフェンスラインの前にMFが1人(オルティゴサと阿部)、中盤2枚にサイドアタッカーが2人、そしてバリオスと本田が1トップに入る。違いはパラグアイのサイドアタッカーがFWだったのに対し、日本はMFをプラスさせた点だ。

ともに史上初となるベスト8進出に向けての緊張感が、両チームにブレーキをかけさせたのだろう。だが、最初の20分間はあくびが出るようなもので、ミスもたくさんあった。日本はあらゆるポジションから、行きすぎなまでにロングレンジのシュートを放つ。最初に震えが来たのは、バリオスのチャンス。だが、日本のGK川島が驚くことはなかった。

日本もすぐに反撃し、松井のシュートがクロスバーを叩く。パラグアイはさらに攻め、彼らが試合を進めるが、中盤でのアイディアが少なく、前線ではベニテスが活躍できなかった。エレガントなサンタクルスがパラグアイの選手たちを鼓舞しようとするが、彼の左足シュートはわずかに外れる。またも日本はすぐに応じ、スピーディーなカウンターの最後に本田が左足で狙うが、枠をとらえない。両チームはタイスコアのままハーフタイムを迎える。妥当な結果だ。

日本は後半、少し攻撃への意識を強め、4-2-3-1でスタートする。闘莉王がヘディングで危険となるが、ピンで刺した程度。パラグアイはベニテスに代えてバルデスを投入するが、試合は非常にもつれた状態から動かない。両チームは乱雑に次々と押していくが、多くのぶつかり合いでチャンスはゼロ。当然、試合は延長戦へ突入する。

パラグアイは延長戦に入り、ようやく攻めに出て、バルデスが先制点に迫る。だが、ここも川島がうまかった。すでに見た映像のように、日本は本田が反撃。延長後半には玉田がカウンターのチャンスを無駄にする。そしてPK戦に突入し、パラグアイが勝利を収めることとなった。