By Maurizio Pesce

Googleはペンタゴン(米国防総省)にAI技術を提供し、国防技術の向上に貢献しています。これに対してGoogleの約3100人の従業員は、「Googleは軍事技術開発に関わるべきではない」との意思を明らかにして、サンダー・ピチャイCEOに対してペンタゴンのプロジェクトから手を引くよう求める嘆願書を提出しました。

Microsoft Word - Letter to Google C.E.O.docx - googleletter.pdf

(PDFファイル)https://static01.nyt.com/files/2018/technology/googleletter.pdf

‘The Business of War’: Google Employees Protest Work for the Pentagon - The New York Times

https://www.nytimes.com/2018/04/04/technology/google-letter-ceo-pentagon-project.html

Google employees petition CEO to drop out of Pentagon AI project

https://www.engadget.com/2018/04/04/google-employees-petition-ceo-to-drop-out-of-pentagon-ai-project/

Googleは、同社が開発する人工知能開発向けのTensorFlowプログラムキットをペンタゴンの「Project Maven」に貸与していると米Gizmodoがリークしました。

Googleはペンタゴンが開発するドローン用の映像解析AIを極秘で手伝っている - GIGAZINE



Project Mavenでは敵を攻撃する無人機(ドローン)を開発していますが、敵や物体を把握、識別するアナリストの負担を減らすためのAIを研究しています。軍人の負担を軽減し、さらには攻撃の精度を高めるためのAI開発に、GoogleはTensorFlowを提供しているというわけです。GoogleがProject Mavenに協力しているという情報がリークされると、Googleの一部の従業員は強く反発したそうです。

その後、軍事技術へ関わるべきではないと考える3100人以上のGoogle従業員は、ピチャイCEOに対して「私たちは、Googleは戦争ビジネスに加わるべきではないと考えています。したがって、GoogleはProject Mavenを今すぐ中断し、『今後、Googleとその請負業者は戦争技術を開発することがない』という明確な方針を打ち出し、公表することを求めます」という、戦争に関わらない方針表明を求める嘆願書を提出しました。



嘆願書で従業員たちは、「Project Mavenへの参加は、Googleの築き上げたブランドや競争力に回復不可能な被害をもたらす可能性がある」と指摘しています。さらに、「ペンタゴンとの技術協力をライバルのMicrosoftやAmazonが行っているという事実から、Googleも参戦すべきという議論は、Googleにとってこの上なく危険なものだ」とも指摘しています。これらの従業員たちは、ペンタゴンへの協力行為はGoogleのユニークな歴史や創業時のモットーである「Do not Be Evil(邪悪になるな)」というGoogleのコアバリュー(核となる価値)に反するとも述べています。

Google広報は嘆願書に対して、「Mavenは公開されたDoDプロジェクトであり、Googleはその一部に協力しています。特に非攻撃的な目的に限定されており、ソフトウェアはGoogleのクラウドサービスの顧客が利用可能なオープンソースプログラムを用いています。機械学習の軍事的な利用はどんなものであれ、懸念を提起するのはごく自然なことです。Googleは機械学習技術の開発と利用に関するポリシーを構築中であり、このような重大な課題については社外の専門家を交えて包括的な議論に積極的に取り組んでいます」と述べた上で、「嘆願書の署名の大半は、会社が状況を説明する前に集められたものです」としています。