都議会の特別委で質問に答える石原元都知事

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豊洲新市場の問題で、石原慎太郎元東京都知事(84)の証人喚問が都議会で行われ、石原氏は、質問を一蹴して「記憶にない」との答弁を繰り返した。ネット上では、「内容がなくガッカリだ」と失望が出て、むしろ直接関係ない発言などが話題になっていた。

2017年3月20日の調査特別委員会(通称・百条委)は、冒頭から傍聴席で誰かが突然、大声を出し、「退場! 退場!」と声がかかる一幕もあった。

退場者も出る

特別委では、まず最大会派の自民党議員が質問に立ち、石原氏に対し、豊洲移転を様々な意見を聞いて政治判断したのか独断で決めたのかを聞いた。

これに対し、石原氏は、2年前に脳梗塞を起こし、その後遺症から左手が使えないほか、「すべての字を忘れ、ひらがなも忘れました」と発言。「記憶を思い出せないことがある」と告白しながらも、当時は、前任の青島幸男氏(故人)から豊洲に移転と引き継ぎを受けたとし、築地が限界に来ていることを受けた政治判断であることを強調した。

豊洲移転の決裁も石原氏本人がしたことを認め、「汚染を解決できるのか」と担当局長に聞くと、「今の技術なら可能」と言われたからだと説明した。石原氏は、東京都というピラミッドの頂点に自分がいたとし、決裁したことについて、「その責任は認めます」と明言した。

築地現市場については、アスベストが飛散するなどするとして、「市場として非常に不適格だ」と指摘し、小池百合子知事が都議会に諮らずに延期を決めたとして、「速やかに移転すべき」と訴えた。小池知事については、「彼女の不作為の責任が問われる」とこれまでの主張を繰り返している。

自民議員2人の質問が終わると、傍聴席からまた大声が上がり、委員長から注意に従わないとして退場を命じられた。大声を出したのは、都知事選に何度も出馬しているマック赤坂さん(68)だった。

小池知事「会見以上のことは出なかった」

続いて、公明党議員からは、市場用地地権者だった東京ガスと2011年3月に結んだ土壌汚染対策費の協定で、追加負担の「瑕疵担保責任」を東京ガスに免除したことを知っているかの質問が出た。

これに対し、石原慎太郎氏は、当時は震災の様々な相談で混乱して記憶がなく、知ったのは16年になってからだとした。東京ガス側が売りたくない難しい物件だったため、側近の浜渦武生副知事に一任し、報告は受けていないとも明かした。議員からは、「部下に任せるのではなく、適切な指示を出すべきだった。不作為の責任がある」と追及されたが、「ものによっては、一任せざるをえない」と突っぱねた。

一任したので記憶にないとの発言を繰り返す石原氏に対して、質問に立った共産議員が巨額の契約なのに考えられないと批判した。すると、石原氏は、「ですから何なんですか? 私は記憶にないものはないんですから」とイラ立つ場面もあった。

特別委は、休憩をはさんで2時間弱で終わり、その後、小池知事が都庁玄関に現れて囲み取材に応じた。石原氏の委員会発言について、石原氏が3月3日に行った会見以上のことは出なかったとしたが、移転時期などの判断については「精査したい」と述べるに留まった。

ネット掲示板などでは、退場者が出たことや石原氏がひらがなも忘れたといったことが話題になった。しかし、特別委の議論については、ニュースのコメント欄で「肩透かしな委員会だったな」「1番盛り上がったのが、マック赤坂の退廷」「質問が下手過ぎる」などと失望の声が出ている。