“酸性雨の濃度”は岡山が高く東京が低い…その理由は

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一時期大きな話題となり、森林を枯らすなどの原因ともなる酸性雨。「全国で最も酸性雨の濃度が高い政令指令都市」は、東京などを差し置いて“岡山市”なのだという。ウェザーニューズが、梅雨シーズンに一般の人々と共に酸性雨の実態を調査した「酸性雨調査2009」によるものだ。

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“酸性雨”と言えば、東京のような大都市で特に心配が高いように思われるが、なぜ、岡山市なのだろう。

ウェザーニューズの徳丸さんによると「岡山市には工業地帯がありますが、山に囲まれた地形により、汚染物質がたまりやすいと考えられます」とのこと。雨の水素イオン濃度値(pH)が低いほど、酸性が高く、雨の酸性度の全国平均はpH5.5だが、今回の岡山市はpH5.36。ほかにも堺市、大阪市、神戸市、広島市などが高い酸性度を示しており、いずれも山に囲まれた地形だ。

一方、工業地帯にありながらも比較的高いpHを示しているのが関東エリア。横浜、川崎、千葉などいずれもpH5.5以上の数値を示し、ランキングも10位以下なのだ。「これは逆に東京湾を吹き抜ける強い南風が、汚染物質を遠くまで運んでいったと考えられます」と徳丸さん。また、梅雨前線が南下して雨が降る時は、南風が強まることが多く、雨が降る時の酸性度が低くなることも判明したという。

ウェザーニューズの酸性雨調査は、今年で5回目。梅雨の時期、全国各地に在住する一般参加者4000人と共に、雨の降り始めなどのタイミングにpH試験紙を使って雨の酸性度を計測。今年は6/23〜7/31に計3回調査した。また、昨年までの計測により“雨の降り始め”や“都市部”、“国道の近く”が特に酸性度が強いこと判明したという。

ちなみに酸性の影響としては、湖や沼などの水がpH6.0以下の酸性度になると、魚類の生息に深刻な影響が出ると言われ、またpH5以下では土壌中の微生物が生きられなく、植物の根の成長にも影響が現れる。そしてpH3以下では人々が目に痛みを感じるようになると言われている。

大気などの汚染具合だけでなく、地形も大きく関わっていることがわかった酸性雨。今回の数値によって岡山や他の都市ですぐに悪影響が現れるということではないが、今後も、注意が必要だ。【東京ウォーカー】

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