――「奇跡をのぞむなら...」が印象深いせいか、バラードのイメージをもたれている方が多いと思うんですが、プロフィールを見るとジャズがバックボーンとなっていて、12歳の頃からジャズシンガーを目指されたそうですが、ジャズに目覚めたきっかけはありましたか?

JUJU:母方の兄弟が5人いるんですけど、歌ったり踊ったり、お酒を飲んだりが大好きな家系なんですね。その中の誰かがジャズを聴いていたり、他の誰かが酔っ払ってジャズやシャンソン歌っていたりして、子供の頃からずっとどこかでジャズを耳にしていたんですね。ちょっと裏ぶれていてやさぐれた、「フッ…」て鼻で笑いながら歌う感じが、子供心にすごくかっこいいなぁーと思って、憧れがすごく強かったんです。子供から見ると、絶対歌えないタイプの音楽じゃないですか。それで子供ながらに、いつかはと。

――ジャズを一ジャンルとして意識していなかったんでしょうね。

JUJU:多分、意識はしていなかったですね。隣の家が叔母の家だったんですけど、今考えてみると日曜日の朝、爆音でボサノバがかかっていたなぁと(笑)。昔のレコードプレイヤーって、すごく音が良かったんですよね。うちの母はどちらかというとダンスミュージックの方が好きで、車に乗るとABBAしかかかってなかったので、私と姉は子供の頃ABBAが大嫌いだったんですけど(笑)。

――ジャズ以外も、特定のジャンルにこだわって聴いてきたという感じでは全くないんですね?

JUJU:全くもう。本当にクラシックからド演歌まで、多岐に渡って。

――2曲目の「LIVE! TOGETHER〜Tokyo Girls Anthem〜」ではオーストラリアの歌姫デルタ・グッドレムと共演されていますが、松尾“KC”さんと元COSA NOSTRAの鈴木桃子さんの歌詞もすごくいいなと思っていまして。サブタイトルに「Tokyo Girls Anthem」とありますが、ニューヨーク在住のJUJUさんから見て、「Tokyo」はどんなイメージですか?

JUJU:私は関西人なので、東京ってすごく遠く感じていたんですよね。子供の頃から、東京よりも海外の方が身近に思っていて。ずっとニューヨークに住んでいて、デビューが決まって東京に来ることが多くなって、初めて東京という街を知り始めたんですね。でも、すごく冷たい街をイメージしていたんですけど、頻繁に来て色々な人と知り合うと、実際は関西よりも東京の方が人は温かいなと思いましたね。

――東京とニューヨークでは、違いを感じることはありますか?

JUJU:ニューヨークは、人が人のことを全く気にしないんですよね。みんな自分が生きることで精一杯なので、人のことを気に掛けている余裕が全く無かったり。それに加えて、本当に沢山の人種がいるので、レストランに行っても隣のテーブルの人の言語が理解できないから、気にもできない部分があるんですよね。でも、日本はほとんど日本人しかいないし、隣の会話が聞きたくなくても聞こえちゃうじゃないですか。だからこそお互いに気にしてしまうというのもすごくあると思うんです。ちょっとコンビニに行くのもスッピンでは行きづらいみたいなのとか。

 東京の方が自意識の強い人が多い気がします、良い意味で。ニューヨークの方が自意識が無いんだなって今話しながら思いました。ニューヨークの方がゆるい感じはありますね(笑)。オンとオフのメリハリをハッキリさせるのがニューヨークで、東京はずっと気を張っている感じですかね。東京の人はみんな朝からお化粧しているじゃないですか?ニューヨークって朝とか昼にお化粧しているのって本当にデパートとかに勤めている人だけなんですよね。朝とかお昼に化粧している方が不思議で。ドレスアップしなくていい時はドレスアップしなくていいじゃん!というのが当たり前で。でもその代わり、夜にディナーに行ったり、デートだったり、パーティの時にはちゃんとしなきゃいけないという意識はありますね。そのオン、オフの違いが多分ニューヨークと東京との違いだと思います。

――逆に共通点は?

JUJU:似ている所と言ったら、何でもあるところ、あと物価が高いところ。これは、すごい共通点ですよ!