AKB48を去った元劇場支配人が「弁当ビジネス」に人生を懸けた理由…「子どもの学資保険を解約」して挑んだ先に待っていた「裏切り」と新たな野望

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元AKB48劇場支配人の戸賀崎智信さんは現在、行商スタイルの弁当販売に従事している。意外な転身の理由、弁当ビジネスに懸ける思いを聞いた。 

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ほかに選択肢はなかった

--戸賀崎さんは2018年8月にAKB48グループの運営から去っています。キャリアを踏まえると現在取り組まれているお弁当ビジネスとはだいぶ距離があると思うのですが……。一体どんな経緯があったんですか?

AKB48グループの仕事を辞めてすぐに「海の家をプロデュースしてほしい」という依頼があって、引き受けることにしたんです。そしたら、その仕事で一緒になった男の子から「パートのおばちゃんに500円の唐揚げ弁当を作ってもらって、1日4000食をオフィス街で売っている知り合いがいる」という話を聞いたんですよね。ただ、そのときは「へえ、すごいなあ」という感想を持っただけで。

本気で考え始めたのは9月に入ってからです。海の家の仕事がなくなって、これからどうしようかというときに、「そういえば、お弁当が儲かるって言ってたよな」と思い出しまして。実は、AKB48グループの運営に携わっていた時代に唐揚げ屋に知り合いがいたんですよ。すぐに連絡を取ったら修行させてもらえることになり、そこから本格的にお弁当のビジネスの立ち上げに向けて動き出しました。

--迷いはなかったんですか?

そんなのないない!だって、もうそれしかないって状況だったから。ただ、そのときは選択肢がなかったと嘆いていたとしても、振り返ってみると「あの選択をして良かった」と思うんですよ。人生は不思議と繋がっている。

--ちなみに、行商スタイルは修行と同時並行で始めたんですか?

リヤカー自体は9月に買いました。ただ、オーナーが料理に厳しい人で、からあげを上手に揚げられるようになるまで行商はやらせてもらえなかった。料理なんてしたことないから、もう四苦八苦しながら覚えて。ようやく街に繰り出せるようになったのは、2019年の2月頃だったと思います。

AKB48ファンの協力

--行商は場所選びがけっこう重要になってくると思うんですけど、最初から良いポイントを見つけられたんですか?

それが始めて2日目で売れる場所を見つけたんです(笑)。そもそも行商を始めるとき、Twitter(現・X)でAKB48のファンに声をかけたら、3人くらい買いに来てくれたんですよ。そのうちの1人が「もっとお客さんが多い場所がありますよ」と情報提供までしてくれて。

翌日、早速教えてもらった場所に行ってみたら、20個のお弁当が10分も経たずに売れちゃった。その翌日は欲張って30個も持っていったのに、こちらもすぐに完売でした。本当にただのビギナーズラックなんですけど、最初に成功体験を味わって、良い意味で「あれ、いけるじゃない?」と勘違いできたからこそ、その後もめげずに続けられた感覚はありますね。

--では、そこからはけっこう順調だった?

当時はそう思っていましたね。というのも、行商スタイルの販売を始めて半年後ぐらいに、ビジネスパートナーと出会えたんです。

ある場所でお弁当を売っていたら、隣のリヤカーの売り子が「うちの社長からです」って電話を渡してきたことがありまして。文句でも言われるのかなと思ったら「そこだと通報される可能性があるので、もう少し手前で売ったほうがいいですよ」とアドバイスをくれたんですよね。「こいつ、いい奴じゃん」と思って連絡先を交換して、一緒に飲みにも行きました。

その後、売れる場所の情報を共有したり、お互いの弁当を売ったりしているうちに「一緒にやったほうがいいよね」という話になり、彼と一緒に会社を立ち上げることになったんです。販売拠点も一気に広がって、利益も月200万円くらい出るようになりました。

方向性の違いで決裂

--いま、その方と一緒にビジネスをやっていないのはなぜなんですか?

方向性の違いってやつです。僕はノウハウを横展開して「1日100万食」を目指していました。「お弁当の調理方法はマニュアル化したほうがいい」とずっと言っていたんです。

でも、彼らは全然乗り気じゃなかった。例えば、使っている調味料が何グラムなのか聞いても「少々です」としか言わない。挙句の果てに「僕たちで5000食作れる巨大な工場を作りましょう」なんて言い出したから参っちゃいましたよ。

さすがに埒が明かなくなってしまって、「もう一緒にやっていけないからやめてほしい」と伝えたんです。そしたら逆に「戸賀崎さんが辞めてください」って(笑)。彼と一緒に会社を立ち上げるために、こっちは子どもの学資保険も解約してフルベットしているんです。そりゃないだろうって思うでしょう。

結局、追い出される形で僕のほうが辞めることになりました。

--すごい話ですね……。

だから、いまは飲食業経験の豊富な弟と一緒に新しく会社を立ち上げて、行商スタイルのお弁当ビジネスを続けています。「こういうビジネスモデルで一緒に弁当屋をやりたい」という説明を聞いて、「兄貴の話はいつも胡散臭いけど、これはいけそうだ」と思ったみたいです。結果、これで良かったんじゃないでしょうか。

他に真似できないフランチャイズビジネスをしたい

--ゆくゆくはお弁当ビジネスをフランチャイズ展開をしていくというお話ですが、計画は着々と進んでいるんでしょうか?

大手フランチャイズ企業の元役員の方にサポートしていただきながら、オペレーションなどを調整し、来年には1次募集がスタートできたらいいなと考えています。

馬車馬のようにオーナーも働いているのに、本部へのロイヤリティ支払いがきつくて儲けが全然出ない。そういうフランチャイズビジネスには絶対にしたくないんですよね。でもそんな店、世の中にいっぱいあるじゃないですか。せっかくリスクを取って経営の道に踏み出したのに、あまりにも夢がなさ過ぎる。

確かに、お弁当ビジネスの朝は早いです。でも、お昼すぎにはだいたいの仕事が終わります。自由な時間と収入のバランスはおそらく他のフランチャイズビジネスには真似できないレベルです。少しでも関心がある方はぜひ応募を検討してほしいですね。

最終的にはいろいろと仕組みを整えて、ロイヤリティをゼロにしたいとも考えているんです。ただ、こういう真っ当なビジネスの話をしても全然響かないことがあるんですよね。僕の顔を見て、「反社の人じゃないか?」と警戒する人がけっこういるんです(笑)。本当に全然違いますからね。

とにかく、いまは着実にお弁当ビジネスの地固めをして、フランチャイズにも夢があるってことを示すしかないかなって思っています。

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