「任侠山口組・織田代表」のガードマン射殺犯が逮捕 神戸山口組・井上組長が組織を解散できない理由
ガードマンを射殺
2017年に神戸市内の路上で任侠山口組(現・絆會)の組員が射殺された事件で、殺人と銃刀法違反の疑いで神戸山口組系の菱川龍己容疑者(50)が逮捕された。事件後、行方が分からなくなり死亡説も流れていたが、逮捕を受け、神戸山口組の井上邦雄組長の責任が問われるような展開も想定されるのだろうか。
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神戸山口組傘下の3次団体の幹部だった菱川龍己容疑者は2017年の9月、任侠山口組の織田絆誠代表のガードマン役の暴力団員の頭を拳銃で撃って殺害したとして殺人と銃刀法違反の疑いが持たれている。

6代目山口組の運営方針に異を唱えて井上組長が組織を飛び出して神戸山口組を結成したのは2015年8月のこと。その2年8か月後、今度は井上組長に公然と反旗を翻して神戸山口組を離脱した勢力で結成されたのが任侠山口組だった。ガードマンの射殺は組織間の対立抗争として象徴的な事件だったが、菱川容疑者は事件後、行方が分からなくなり、全国に指名手配された。
「身分証発見」の意味
「現場付近の歩道脇で見つかったカバンの中から拳銃と菱川容疑者の身分証が発見されたことも話題になりました。“別人として生きるという菱川容疑者なりの意思表示だ”とか、“神戸山口組から口封じのために消された”とか、様々な見立てが語られてきました」
と、社会部デスク。事件から約9年が経過した今月上旬、山口県警から「似た人物がいる」との情報が兵庫県警にもたらされた。兵庫県警の捜査員が同県下松市内のアパートの一室に向かい、1人でいた菱川容疑者の身柄をおさえた格好だ。
「別人として生きることの方を選んだということなのかもしれないですね。アパートの一室は当然別人名義で借りていたことなどから、逃亡を助けた人物らがいると見て捜査を進めています」(同)
事件当時と比べてヤクザ界隈の景色は大いに変わり、神戸山口組は退潮を余儀なくされ、菱川容疑者の上部組織である4代目山健組はその後、5代目山健組となって6代目山口組へと復帰した。
今後の焦点は
今後、焦点となるのは捜査の過程で組織犯罪処罰法(組織的殺人)違反の容疑に切り替えて再逮捕・追起訴があるか否か、そして井上組長が関与したのかといった点だろう。殺害現場近くの防犯カメラには拳銃のようなものを構えたフルフェイスの人物も映っていたとされ、現場の態様から複数人と共謀した組織的な犯行である可能性は高いと見られる。
組織の利益のために意思決定がなされ、指揮命令系統が存在したことが立証できるかが組織犯罪処罰法の適用を左右する。組織の指揮命令系統を利用して犯行を計画・承諾したとみなされれば、井上組長は共謀共同正犯として実行犯と同じ罪に問われる可能性がある。
「菱川容疑者は井上組長の部屋住みと認識されていたはずです。が、神戸山口組側は、『事件前に神戸山口組から抜けたので組織は無関係だ』という旨を一貫して兵庫県警に説明してきたというふうに聞いたことがあります。その説明の通りならトップの指示をにおわせる直接の証拠が存在する可能性は極めて低く、間接的な証拠を丁寧に積み上げていく作業が必要になってくるでしょう。そのため、井上組長の関与を立証するハードルは相当高いと見られています」(同)
井上組長の思い
神戸山口組は準構成員も含めれば最大で5500人規模の勢力を誇ったが、昨年末時点でそれが270人と激減してしまった。それでも井上組長が組を畳まないのは自らが生命を狙われやすくなる、組織のために抗争を仕掛けて長期懲役を務めている組員がいる……などといった理由が語られてきた。
「そうですね、それらの理由に加えて菱川容疑者が生きて逃亡しているからだとの指摘もありました。具体的な指示があったか否かは別にして菱川容疑者が神戸山口組のためを思って行動したことはほぼ間違いないわけで、井上組長はそれに敬意を表しているという見立てですね。ちなみに井上組長は菱川容疑者の逮捕について何も語っていないそうです」(元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏)
いずれにせよ、菱川容疑者には長期懲役が待ち受けている。それもまた井上組長が組織を解散しない理由になり得るのだろうか。
デイリー新潮編集部
