日本フィギュア界に「19位以上」の歴史的な一歩 ゆなすみ初五輪、男泣きに見た曇りなき未来
ミラノ・コルティナ五輪
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート・ペアのショートプログラム(SP)が15日(日本時間16日)に行われた。初出場の“ゆなすみ”こと長岡柚奈・森口澄士組(木下アカデミー)は59.62点。19位でフリーには進めなかった。夢舞台で結果は伴わなかったが、日本のペア競技の歴史でも大きな一歩を刻んだ。
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夢の五輪。3回転ループで長岡が転倒すると、スロー3回転サルコーでも転倒。2人の背中を押すように、会場から大声援が上がった。「すごく大きな歓声を上げて応援してくださったことに、すごく感謝」(長岡)。フィニッシュ直後に長岡は失意の表情を浮かべたが、森口はその頬を優しく触り、肩を抱いて労った。
「もちろん悔しい気持ちもあったけれど、2人でつかみ取った五輪だから。今まで聞いたことのないような、自分たちのミスを忘れられるような歓声のおかげでこの五輪が特別なものになった」(森口)
結果だけ見れば、19組中19位。自己ベストの71.95点に10点以上及ばなかった。それでも“ゆなすみ”がこの五輪の舞台に辿り着いたプロセス、成果は日本フィギュア界にとって計り知れないものがある。
世界選手権覇者の“りくりゅう”こと三浦璃来、木原龍一組とともに、日本勢はペアに2組が出場。これは史上初めてのことだ。結成3季目。昨年9月の五輪最終予選で出場枠を掴み、うれし涙を流した。
1月下旬に行われた四大陸選手権では、主要国際大会で初のメダルとなる「銅」。弾みをつけて臨んだだけに、2人にとってはほろ苦い五輪デビューとなった。
森口の男泣き「僕たちはこんなところじゃ終われない」
ミラノで記録した59.62点は、単純比較できないが結成7か月で出場した23年12月の全日本選手権の56.07点とそこまで差はない。ただ当時の全日本ではハイタッチで笑顔を見せ、今回は悔し涙。2年ちょっとの間に、このペアがすさまじいスピードで成長してきた証しでもある。
演技後の中継インタビュー。いつも隣の長岡を温かく包みこむ、優しく頼もしい森口が男泣きした。
「僕たちはこんなところじゃ終われないぞっていうのを、これから見せていけたら」
声を震わせながらの決意表明。パートナーの長岡いわく、関西人らしいユーモアと研究熱心な一面を持ち合わせる男。長岡も、森口に言わせれば「すごくストイック」。同じ目標に、変わらない熱量で滑ってこられた。
昨年11月のNHK杯。サラ・コンティ、ニッコロ・マチー組(イタリア)は“ゆなすみ”について「我々には聞こえないくらいの早さで上達していた。一緒にいるのがたまに怖いと思うくらい」と絶賛。「彼らこそ未来を体現していると思う」とまで言った。簡単に「この悔しさは4年後」と言えるものではないが、19位という数字が未来を曇らせることはない。
結果は望んだものではなくても、大舞台での経験は心をプラスに揺さぶった。「強い気持ちで、これからも2人で頑張っていくので、これからもよろしくお願いしますって伝えたいです。すべての皆さんが本当にもう大好きです!」。森口はあふれ出る感謝をカメラにぶつけた。
リンクを所狭しとスピード感満点に滑走し、ダイナミックなリフトも世界的に評価が高い。イタリアから持ち帰るものは、順位や数字以上の財産になる。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)
