【世界初】遅延時間を50分の1に短縮「ポスト5G半導体チップ」を開発 超低遅延通信を実現 NEDOの委託事業

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NEDOの委託事業である「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、マグナ・ワイヤレス、大阪大学、NICTは共同で、世界初となる超低遅延通信を実現する「ポスト5G対応半導体チップ」を開発した。2025年度中も製品化する計画だ。

●「ポスト5Gチップ」とは

「ポスト5Gチップ」は、5G無線通信の処理時間(遅延時間)を従来の約10ミリ秒から0.2ミリ秒以下へと50分の1に短縮。これにより、超低遅延(高いレスポンス性能)が要求される制御信号などにも無線通信の適用が可能となる。

具体的には、人工知能(AI)サーバーからローカル5G無線通信を介してロボットをリアルタイムに制御できるようになる。

また、SDR機能により、遅延または帯域優先、上り/下り通信の比率、無線変調方式といった多彩な通信設定を可能にしている。

マグナ・ワイヤレスは、2025年度中に「ポスト5Gチップ」を製品化する計画であり、本成果により、スマート工場、物流、医療など、産業分野におけるローカル5Gの普及拡大と産業DXの加速が期待される。

●高レスポンス性でローカル5Gの普及促進に

5G(第5世代移動通信システム)は、高速大容量(eMBB)、超多数接続(mMTC)、超低遅延(URLLC)の三つの特徴を持つが、これらの特性は本来トレードオフの関係にある。また、産業用途に必要な数ミリ秒以下の超低遅延通信に対応した半導体チップは提供されていなかった。このため多くの用途に無線が適用できず、産業活用が期待されるローカル5Gの普及が進まない一つの要因となっていた。

このような背景を踏まえ、NEDOが実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、マグナ・ワイヤレス、大阪大学、NICTは共同で、世界初の超低遅延通信が可能なポスト5Gチップを開発した。本チップはソフトウエア無線(SDR:Software Defined Radio)にも対応しており、さまざまな応用に対して最適な無線方式を選択できる。また、ローカル5Gの通信性能を向上する新無線通信方式も併せて開発した。

今回の成果は、ローカル5Gの普及促進と産業DXの加速に加え、AIの高度活用が可能な次世代ネットワークの実現にも貢献することが期待される。

●今回の成果

●ポスト5Gチップの開発

ポスト5Gチップのアーキテクチャと特長(端末の適用例)
今回開発したポスト5Gチップは以下の特長を有している。

1:超低遅延通信の実現:

チップ内の無線信号処理を専用ロジック回路とすることで、従来10ミリ秒以上の遅延時間を0.2ミリ秒以下に大幅に短縮し、超低遅延通信を実現した。

2:多彩な通信設定の対応:

SDR機能により、遅延または帯域優先、上り/下り通信の比率、無線変調方式といった多彩な通信設定を可能にした。周波数273通り×時間280通り×変調29通り×上り・下り2通りの設定により、さまざまな用途で最適な無線設定が選択できる。

3:ネットワークスライシングの機能拡張:

信号処理部とプロトコル処理部を分離し、SDR機能を活用することで、ネットワークスライシングの機能を拡張し、ワンチップで複数かつ多種のスライシングに対応した。今回の活用事例として、超低遅延通信と高速大容量通信が混在したスライシング数3以上での動作を確認した。

4:各種基地局との接続:

複数ベンダーの基地局との相互接続性を確認済みであり、本チップは汎用的に各種無線システムに適用することが可能。

●新無線通信方式の開発

ローカル5Gの通信性能向上を目的に、以下の二つの新無線通信方式を提案・開発。これらの新方式は、ポスト5GチップのSDR機能を用いて実装することにより、システム構築が可能。

1:低遅延/多元接続5Gアサイン方式: