名古屋に新天地を求めた浅野。決定的な仕事で存在価値を示したい。写真:元川悦子

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 2024年にクラブ2度目のルヴァンカップ制覇を成し遂げたものの、J1は11位とまさかの低迷を強いられた名古屋グランパス。ガンバ大阪での国内3冠(14年)、FC東京でのルヴァンカップ優勝(20年)など、数々の成果を残してきた名将・長谷川健太監督体制3年目としては納得いかない結果だったに違いない。

 迎えた2025年。名古屋は22年カタール・ワールドカップ日本代表GKのシュミット・ダニエル、清水エスパルスのJ1昇格に貢献したDF原輝綺、アビスパ福岡で23年ルヴァン制覇の原動力となったDF宮大樹ら実績ある新戦力を補強。23年夏にサウジアラビアへ移籍したマテウス・カストロも復帰し、充実した戦力が揃った。

「今年は2024年頭に比べると、高いベースでスタートできると思います。チーム自体を一から構築していくわけではなく、ある程度のベースがあるなかでどう勝っていくかにフォーカスできている。どれだけ結果を出せるかっていうところに関しても、期待しておいてほしいなと思います」と、チームの大黒柱・稲垣祥も1月27日の沖縄キャンプの練習後、改めて自信をのぞかせた。

 長谷川監督は同日、翌28日の東京ヴェルディ戦を視野に入れ、戦術やセットプレーの確認に時間を割いていた。負傷離脱中のシュミット、宮は不在で、この日に契約解除が発表されたホセ・カラバリももちろんいなかったが、主要メンバーの大半が元気そうな様子でプレーしていた。

 期待の新戦力の1人である浅野雄也は右ウイングバックでプレー。今季はウイングバックと右シャドーの2つのポジションで勝負することになりそうだ。
 
「ウイング(バック)で出ても、シャドーで出ても、ゴールに向かう動き出しを増やすことによって、自分の得点チャンスが生まれてくると思う。最前線にいるキャスパー(・ユンカー)や(永井)謙佑さんのプレースタイルや特徴をしっかり見つつ、自分の良さをチームのために活かしていきたいと思っています」と本人は新天地でやる気満々だ。

 快足FWである兄・浅野拓磨(マジョルカ)とは異なるタイプの技巧派アタッカーが、大阪体育大から加入した水戸ホーリーホックでプロキャリアをスタートさせたのは2019年のこと。翌20年にサンフレッチェ広島へステップアップし、23年に北海道コンサドーレ札幌へ移籍。同年は34試合出場で12ゴールと大ブレイクし、兄との日本代表共演への期待も高まった。しかしながら、24年は怪我もあって試合出場数が減少。ゴール数も4点にとどまり、本人も悔しい思いをした。

 そこで心機一転、2025年は地元・三重の隣県である名古屋へ移籍。「今年の目標は二桁ゴールです」と目の色を変えている。

「それを達成するためには、自分のサッカーをしっかり出すことが大事だと思います。チームが変わるからといって、自分のプレーが変わるわけじゃない。ただ、自分が行ける場所っていうのは戦術次第。今、キャンプで試行錯誤しているところです。

 違うチームに来た分、いろいろ変化があって難しいところもありますけど、このチームで自分が結果を出すために何をするべきかと考えながら取り組んでいきます」と、浅野は2つのポジションで躍動する術を見出そうと躍起になっている。

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 右ウイングバックであれば、主に中山克広と定位置を争うことになる。中山は縦への推進力を武器とするウインガー。長い距離を走ってクロスを入れたり、チャンスメイクという意味では彼に分がある。浅野の場合は、本人も語っているように、中に絞ってシャドーに入るであろうマテウスや和泉竜司ら、1トップのユンカーや永井と関わりを持ちながら、ゴールに突き進んでいくことになるはずだ。

 ただ、広島最終年だった2022年、ミヒャエル・スキッベ監督から右ウイングバックで起用された時は、本人もかなり苦戦していた。

「あの時は難しく考えすぎていたのかな。やっぱり自分のプレーをするだけかなと。どのポジションでもそれができる準備をしたいですね」と、今季の彼は過去の反省も踏まえながら、具体的なイメージを作り上げているという。そういう形が実戦でより多く出るようになれば理想的だ。

 一方のシャドーでは、マテウスや和泉、菊地泰智、ボランチ兼任の森島司など選択肢は多い。そこに浅野が食い込もうと思うなら、やはりゴールで違いを見せるしかない。

「名古屋での浅野雄也? 得点のところはこだわっていきたいですし、左でのカットインシュートでは違いを見せたいなと思います」と本人はキッパリと言い切った。
 
「雄也は抜け出しのところもそうだし、仕掛ける力、シュートのうまさというのを練習試合でも証明していると思います。輝綺とかもそうだけど、新戦力たちが思った以上に自分の色を出してくれている。みんなパーソナリティを持った選手たちですし、本当に力になってくれると思います」

 ベテランの稲垣も太鼓判を押したが、やはり浅野を筆頭に新たな面々がチームに活力を与えられるかどうか。それがカギになるのは間違いない。

 長谷川監督体制の過去3年間は8位、6位、11位と中位をウロウロする形になったが、今季こそはその停滞感を打破すべく、選手個々が眩いばかりの輝きを放つ必要がある。背番号9という偉大なナンバーを付けることになった27歳のレフティは、二桁得点という目標を有言実行してほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)