8月30日、パワハラ疑惑などの事実関係の調査を進める百条委員会による初の証人尋問に出席した斎藤元彦兵庫県知事(46)。疑惑については認めない姿勢を固めている(時事通信フォト)

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「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず付け加えないことを誓います」──今年3月に内部告発があった兵庫県斎藤元彦知事(46)のパワハラ疑惑をめぐって、同県議会に設置された百条委員会は8月30日、本人に対して初めての証人尋問を行った。同委員会は主に、自治体に関する不祥事などを調査する役割を担っており、虚偽の証言や事実関係の究明を妨げる行為には刑事罰を科すこともできる、強い権限を持つ機関だ。

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 証人尋問は約2時間半にわたり、7月31日から実施された県職員に対する調査アンケートや、8月23日の委員会で証言した職員の話をもとにパワハラに関する質問が行われた。委員会から、職員を叱責した具体的なエピソードなどを問いただされた斎藤知事だが、「そんな記憶はない」「当時は合理的な判断だった」という回答が多く、疑惑については一貫して認めないままだった。

 そんななか、すでに公開されている約4500人分のアンケートのほか、未集計だった約2000人分の回答結果がまとめられたことがわかった。それによると約2000人のうち71人が「目撃、経験等により実際に知っている」と回答。伝聞も含め知事のパワハラの疑いを認知している回答者はおよそ5割にのぼった。全国紙記者が解説する。

「9月4日、関係者への取材で新たに約2000人分のアンケートの結果が明らかになりました。自由記述欄には『会議で訪れたホテルで当日に夕食を予約しようとして断られたと伝えると、“俺は知事だぞ”と激怒した』や『斎藤知事が担当職員に対し“腹立つわ”と5回程度繰り返した』など中間報告でも多くの回答が寄せられた、職員を責め立てるようなエピソードが目立ちます。

 またなかには『県内の施設を視察した際、知事側が一般のトイレでは身だしなみのチェックができないと要望。職員らが、鏡と手洗いのある障害者らのための多目的トイレを一時的に知事用に案内した』という新証言もあった」

絶えない“わがまま”伝説「トイレは個別」

 NEWSポストセブンが入手した「調査アンケート」の中間報告では“トイレ”に関する回答だけでも、15件近い情報が記載されている。

〈会議等の控室には、姿見が必須。トイレも個別に用意し、同じフロアに一般人が立ち入ってはいけない〉(原文ママ、以下同)

〈トイレに入ると1時間ほど出てくることはなく、髪型のチェックをしている。途中で声をかけると、異常なほど不機嫌になる〉

〈日頃より、イベント主催者が県か否かを問わず、知事が出席する場合、例えば主賓でない場合であっても、ロジ(鍵付き個室、動線、ペットボトル、ハンガーの本数、姿見、トイレなど)について、秘書や関係部局から事細かな照会がなされ、主催者や関係者に負担が生じていた〉

 またあるイベント主催者は県職員の“配慮”を実際に目撃していたという。

「パワハラの告発があってからすぐ、知事や市長さんが参加するイベントを県内で開催しました。タイミングが悪かったのか、県からはギリギリまで連絡がなく、最終的に片山元副知事が参加されることになったのですが、当日ちょっとした違和感があって……。

 副知事がいらっしゃる30分前以上に、法務文書課の方が来られて『動線はどうですか。舞台まではどうやって行くんですか』とか『控え室やトイレはどこですか』とか、何度も何度もチェックするんです。それほど大きい会場でもないし、他の来賓の方がこのような事を職員さんにさせるなんて見たことがない。

 いま振り返ると、斎藤知事の周りではそういった職員さんの気遣いが当たり前になっているのかもしれないと思います」

 9月4日、登庁した斎藤知事は新たなアンケート結果を受けて、「今一度、襟を正して注意していかないといけないと思っています。そこは、おわび申し上げたいと思っています」と答えた。辞職については繰り返し否定し、“意地でも辞めない知事”と評されている。6日に予定されている2回目の証人尋問ではどういった姿勢を示すのか──。